ミレニアム懸賞問題
みれにあむけんしょうもんだい
概要
アメリカ・マサチューセッツ州にある非営利組織「クレイ数学研究所」によって2000年に発表された非常に難解な計算問題。
全7問で構成されるが、2021年現在まだ1問しか解かれていない。
1問正解するごとに賞金100万ドル(約1億円)がもらえる。賞金を受け取るためには、自分の回答を数学雑誌などで発表し、その理論が世間から支持されるか様子を見るために約2年の間隔が必要になる。
問題
- ヤン=ミルズ方程式と質量ギャップ問題
任意のコンパクトな単純ゲージ群Gに対して、非自明な量子ヤン・ミルズ理論が'R4上に存在し、質量ギャップΔ>0を持つことを証明せよ。
リーマンゼータ関数ζ(s)の非自明な零点sは全て、実部が1/2の直線上に存在する。
- P≠NP予想
計算複雑性理論(計算量理論)におけるクラスPとクラスNPが等しくない。
- ナビエ–ストークス方程式の解の存在と滑らかさ
3次元空間と(1次元の)時間の中で、初期速度を与えると、ナビエ–ストークス方程式の解となる速度ベクトル場と圧力のスカラー場が存在して、双方とも滑らかで大域的に定義されるか。
- ポアンカレ予想(解決済み)
単連結な3次元閉多様体は3次元球面S3に同相である(3次元閉多様体の中で単連結という条件を満たすのは、3次元球面だけだろう)。
2003年にロシアの数学者グレゴリー・ペレルマンによって解決された。
ペレルマンは先に「サーストンの幾何化予想」を解決し、それに関連して「ポアンカレ予想」を解決した。
「サーストンの幾何化予想」とは「コンパクト3次元多様体は、幾何構造を持つ8つの部分多様体に分解される(球面分解し、トーラス分解した3次元閉多様体の形状は8種類に大別される)」というもの。
この「8種類」の3次元閉多様体の内、「単連結」という条件を満たすのは「S3」だけなので、ポアンカレ予想の主張が正しい事が証明された。
- ホッジ予想
複素解析多様体のあるホモロジー類は、代数的なド・ラームコホモロジー類であろう。つまり、部分多様体のホモロジー類のポアンカレ双対の和として表されるようなド・ラームコホモロジー類であろう。
- バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想(BSD予想)
楕円曲線E上の有理点と無限遠点Oのなす有限生成アーベル群の階数(ランク)が、EのL関数 L(E, s) のs=1における零点の位数と一致する。