ミレニアム懸賞問題
みれにあむけんしょうもんだい
アメリカ・マサチューセッツ州にある非営利組織「クレイ数学研究所」によって2000年に発表された非常に難解な計算問題。
全7問で構成されるが、現在まだ1問しか解かれていない。
1問正解するごとに賞金100万ドル(約1億円)がもらえる。賞金を受け取るためには、自分の回答を数学雑誌などで発表し、その理論が世間から支持されるか様子を見るために約2年の間隔が必要になる。
- ヤン=ミルズ方程式と質量ギャップ問題
- 任意のコンパクトな単純ゲージ群Gに対して、非自明な量子ヤン・ミルズ理論がR⁴上に存在し、質量ギャップΔ>0を持つことを証明せよ。(任意の数学で定義される空間に、量子力学的な物理法則が常に成り立つことを考えるという矛盾性をどう考えるか?)
- リーマン予想
- リーマンゼータ関数ζ(s)の非自明な零点sは全て、実部が1/2の直線上に存在する。
- P≠NP予想
- 計算複雑性理論(計算量理論)におけるクラスPとクラスNPが等しくない。
- ナビエーストークス方程式の解の存在と滑らかさ
- 3次元空間と(1次元の)時間の中で、初期速度を与えると、ナビエ–ストークス方程式の解となる速度ベクトル場と圧力のスカラー場が存在して、双方とも滑らかで大域的に定義されるか。
- ポアンカレ予想(解決済み)
- 単連結な3次元閉多様体は3次元球面S³に同相である(3次元閉多様体の中で単連結という条件を満たすのは、3次元球面だけだろう)。
2003年にロシアの数学者グレゴリー・ペレルマンによって解決された。
ペレルマンは、ポアンカレ予想を直接解決したのではなく、ポアンカレ予想を内包する「サーストンの幾何化予想」を解決する事で、間接的にポアンカレ予想を解決した。
「サーストンの幾何化予想」とは、「コンパクトな3次元多様体は(3次元閉多様体は)、幾何構造を持つ8つの部分多様体に分解される」というもの。
要は「この世に無数に存在する、どんな形状の3次元閉多様体でも、それらを球面分解し、トーラス分解して出来る3次元閉多様体は8種類しか存在しない(=この世の全ての3次元閉多様体は、この8種類の3次元閉多様体のどれかと同相である)」というもの。
ペレルマンによってその主張が正しい事が証明された。
そして、この8種類の3次元閉多様体の中で「単連結」という条件を満たすのは「3次元球面(S³)」だけなので、「サーストンの幾何化予想」が解決されると同時に「ポアンカレ予想(※3次元版の)」も解決された。
- ホッジ予想
- 複素解析多様体のあるホモロジー類は、代数的なド・ラームコホモロジー類であろう。つまり、部分多様体のホモロジー類のポアンカレ双対の和として表されるようなド・ラームコホモロジー類であろう。
- バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想(BSD予想)
- 楕円曲線E上の有理点と無限遠点Oのなす有限生成アーベル群の階数(ランク)が、EのL関数 L(E, s) のs=1における零点の位数と一致する。
コラッツ予想:ミレニアム懸賞問題以外で懸賞金が掛けられている数学上の未解決問題。
ABC予想:数学上の未解決問題の1つ。2012年に京都大学の望月教授によって「解決した」とされる論文がネットに公開され、2021年に国際的な数学誌「PRIMS(ピーリムス)」に掲載された。しかし、論文の内容は極めて難解であり、証明を疑問視する数学者もいる。
ウルトラマンZ:第6話にて、ギルバリス打倒のための切り札として扱われた。
トリビアの泉:番組内で「解くと100万ドル貰える計算問題がある」と紹介された。
gifted(ギフテッド):2017年公開のアメリカ映画(ヒューマンドラマ)。
ミレニアムサイエンススクール:この問題を解明しようとする科学者達が設立したとおぼしき説明がある。