概要
ローラン・トポール(仏)のオリジナルデザインのイラストと、「商業アニメーションで広く使われる<セル・アニメーション>ではなく、紙に直接書いたものを切って、それを背景の上で動かす<切り絵アニメーション>の手法(ファンタスティックプラネットBlu-ray封入特典ブックレットより抜粋)」によって生み出される独特な世界観で一部のファンの間で絶大な人気を誇る、70年代を代表するカルトアニメのひとつである。
原作の設定や登場人物が一部変更され、全体、シンプルで映像表現に特化した内容にまとめられている。
ストーリー
惑星イガム。ここは高度な知能と、青い肌と真っ赤な眼球、魚の様な容姿を持つ巨大な種族・ドラーグ族が支配していた。ドラーグ族の手のひらサイズの小さな種族で、我々人類と酷似しているオム族は、野生で原始的な生活を行い、虫やネズミのように扱われ一部はペットとして飼育されていた。
ある日、ドラーグ族の悪ガキ達がイタズラでオム族の母親とその赤ん坊を虫ケラのように扱い、母親を殺してしまう。独り残された赤ん坊は偶然通りかかった、イガムの県知事であるシンとその娘ティバに拾われ「テール」と名付けられ飼育されることになるが……。
キャラクター
テール/本作の主人公。ドラーグ族の悪ガキ達に母親を殺されるも、ティバに割と愛情を持って育てられる。ドラーグ族の学習器でティバと一緒に勉強するうちに高度な知能を持つようになった。
原作では、お隣の家で生まれた子でティバはそこから譲ってもらい、テルと名付ける。
ティバ/ドラーグ族の少女。テールの名付け親でもあり、テールを可愛がって育てていたが、ドラーグ族の生命維持活動「瞑想」を行ってからはあまりテールに構わなくなった。友人とオム族バトルをしたり、オム族風アイラインを引いてみたり、至って普通の少女である。
シン/ティバの父で惑星イガム・テレーズ県の知事。オム族に対して穏健派だが、扱いは雑。娘と一緒に歩いていたら、たまたま見つけたオム族の赤ん坊を娘が飼いたいと言ってきたのでそれを許した。
原作では、人間族に対して抹殺計画を立案・実行した敵方の総大将的存在。
タージュ/惑星イガム・ゴアム県の知事。オム族に対して強硬派で、季節ごとにオム族狩りをしている。
原作の粗筋
オム族と言われる人間は、この星の宇宙人にさらわれ家畜にされた地球人の子孫で、テルの世代は初代からかなり年代を経ている。テルは、ティバのお隣さんで生まれティバにもらわれるー話の展開はおおむね映画と同じだが、ティバは普通の家庭の子で、シンは高名な自然科学者であるがオム族を危険視し、最終的には市民を不安をあおる記事を新聞に載せ、それに乗せられた市民が政府を倒して自分がそのトップになり、オム族抹殺計画を発令する。
テルたちオム族は、テルがもたらした学習マシンで高等知識を身に付け、宇宙人の古代遺跡がある旧大陸に自分たちの住む場所を求めて、潜水艇を建造して旧大陸へ。
旧大陸で、やっと自分たちの居場所を見つけたテルたちオム族に対して、シンが軍隊を差し向け、テルたちも防衛システムや浮遊鉱山で抵抗・反撃で軍隊は劣勢になる。そのため、シンはテルが提案する条件をのみざる負えなくなる状態になった。
最終的には、テルとシンはそれぞれの代表として海上で和平協定に署名し、ドラーグ族とオム族は共存する事となった。
原作が発表されたのが1957年という事もあり、そうした時代背景を強く感じられる内容になっている。ファンタスティック・プラネットは、人間たちが理想郷としていた所が野生の星に変更され、ロケットでそこに向かうという流れに変更されている。