お前、タヌキにならねーか?
おまえたぬきにならねーか
概要
奈川トモ氏による癒し系現代ファンタジー漫画。
基本的に一話完結式。
化け狸の「こがね丸」と、悩みを抱える現代人たちの交流が主な内容。
登場人物
こがね丸
オスの化け狸。人間をタヌキに変える能力を持つ。
こがね色の毛色が特徴。
主要キャラクターで、16話(タヌキチメイン回)を除く全話に登場(回想シーン含む)。
山のタヌキが減ってきたことを憂え、都会で人間をスカウトしている。
作品名の「お前、タヌキにならねーか?」はその際の決めゼリフ。
だが、実際にスカウトに成功した人間は、(作中で描かれている限り)野々原ユキのみ。
唐揚げが好物らしく、よく食している。
言動には謎が多く、仲間の化け狸らも彼の過去をよく知らない模様。
ぶんぶく薬湯堂のおばあちゃんの若かりし日の回想シーンに、こがね丸と瓜二つの化け狸が出てくるが、関係は不明。
こがね丸人間態
キャップを被った金髪の美青年。
山で山菜や虫を取り、人里で売って生計を立てている。
箸を器用に用い、文字もある程度読むことができる(食べ物以外は苦手)。
敬語は壊滅的に下手。
野々原ユキ
人間の女性。こがね丸に次いで登場回数が多い。
踏切で飛び込み自殺を図ろうとしたところをこがね丸に助けられ、タヌキとして生きる道を選ぶ(人間としての生活も捨ててはいない模様)。
当初はこがね丸の力でタヌキに変化していたが、14話以降、こがね丸からもらった木の葉を使い、半自力で変化できるようになった。
こがね丸に好意を寄せているようだが、まだ恋愛には発展していない。
長老
高齢のオスの化け狸。本名不明。
非常にノリの良い性格で、宴会で「キンタマ踊り」をよく踊るらしい(当たり前だが本編未描写)。
鶏皮焼きが好物らしい。
長老人間態
様々な人間に化けるが、基本的にはニット帽を被った老人の姿になることが多い。
小豆丸
オスの化け狸で、長老の孫。
自称「都会の闇に紛れ人の姿を借り、この世界を陰から動かす闇の獣」。
蛇が苦手であることが示唆されている(3巻)。
小豆丸人間態
自称「始まると終わりを司る者、AZ(アズ)」。
外見は黒尽くめの青年で、野々原ユキからは「雰囲気のある人」と評された。
17話以降、ラーメンが好物になる。いつも金欠に悩んでいる。
「人間の心をグチャグチャにするのが大好き」と自称し、実際に自殺教唆までしているが、毎回結果的に人間たちに幸運をもたらしている。
タヌキチ
オスの化け狸。
人間であるリクと結婚し、人間として生活を送っているが、タヌキとしてアイデンティティーも捨ててはいない。
その意味で、野々原ユキとは対照的な立ち位置と言える。
田沼小吉(タヌキチ人間態)
作中の描写を見る限り、職業は恐らく専業主夫。
リク
人間の女性。フルネームは不明。タヌキチの妻。
作中の描写から、在宅ワーカーと思われる。
両親は彼女が幼少の頃に他界している。
リン
メスの化け狸。
頭に付けている小さな花がトレードマーク。
子狸のころに和一に助けられ、以降、彼に想いを寄せている。
リン人間態
正体を隠し、ぶんぶく薬湯堂で働いている。
おばあちゃん
人間の女性。名前は不明。
ぶんぶく薬湯堂の店主で、夫は既に他界している。
若い頃、家の決めた結婚を嫌い家出し、崖から落ちて死にかけたところを、こがね丸と瓜二つの化け狸に救われた過去を持つ。
和一
人間の男性。おばあちゃんの孫。
フルネームは不明。
化け狸の存在はまだ知らない。
栗之介
オスの化け狸。
人語は解するが、変化はできない。
おっとりとした性格で、一人称は「オラ」。
東みみこ
人間の女性。年齢は明言されていないが、小さい女の子。
長老と出会い、仲良くなる。
母親は他界しているが、その霊が見守っていることが長老の口から示唆されている。
ハヤト
人間の男性。職業はホスト。
登場当初は乱暴な人物で、後輩に暴力を振るったり、子供に当たり散らしたりしていた。
4話の一件でユウタから優しさを学び、少しずつ変わりはじめる。
ユウタ
人間の男性。作中の描写から小学生と思われる。
4話の一件以降、ハヤトから「師匠」と呼ばれる。
ハヤトとは家族ぐるみで付き合っている模様。
ラーメン赤石店主
人間の男性。名前は不明。
こがね丸が常連のラーメン店「ラーメン赤石」の店主。
命に関わる持病があるが、回復の兆しがある。
ラーメン赤石店主の娘
人間の女性。名前は不明。
こがね丸が常連のラーメン店「ラーメン赤石」の店主の娘。
こがね丸の正体にはうすうす気づいており、「タヌキに似てるって言われない?」と訊いたが、はぐらかされた。
中年男性
人間の男性。名前は不明。
飛び降り自殺を図ろうとしたところを、こがね丸に助けられた。
以降、度々タヌキの宴会に参加しているらしい(5話)。
嵐山
人気男性アイドル。ジョニーズ事務所所属。
登場人物によって度々言及されるが、本人は未登場。
世界観・用語
本作はファンタジーであるため、多彩な独自設定を持つ。
以下に、物語を理解する上で必要と思われる設定を概説する。
化け狸
人語を解する知的な種族。
作中では、単に「タヌキ」とも呼ばれる。
食性は通常のタヌキと変わらないが、人間用の食品も食することができる。
本来は山で暮らしているが、近年は人間に擬態して町で暮らす個体(タヌキチなど)が増え、過疎化が進んでいる。
多様性に寛容な種族であり、元人間の野々原ユキや、2話の人間男性も快く受け入れられている。
通常のタヌキとの違い
本作の世界には、通常のタヌキも生息していることが言及されている。
本作における化け狸の外見は、通常のホンドタヌキにおける夏毛と冬毛の中間のようなもので、季節変化はない。
また、幼体と生態の毛色も同じである。
メタ的には、読者の混乱を避けるためにこのようなデザインになったという(作者ツイート)。
寿命について
作中で化け狸の寿命について名言されていない。
タヌキチとこがね丸の会話から 通常のタヌキ<化け狸<人間 と察せられるが、詳細は不明。
作中で人間と化け狸のライフスケールの違いを確認できる唯一の事例として、和一とリンの成長速度が挙げられる。
リンが幼児から飲酒可能な身体に成長するまでの期間に、和一の外見上の変化はほとんど見られない。
そのため、少なくとも少年期の成長速度は人間より速いと思われる。
化け狐
化け狸と同様、人語を解する知的な種族。
化け狸と違い、独自の社会は持たず、人間社会に密かに潜伏して生活している。
そのため、変化能力は化け狸に劣るにも関わらず、生活に変化が必要不可欠であり、変化できない個体は家族からも疎まれる。
変化の術
化け狸や化け狐が行使する術の総称。
一般的に、化け狸の方が化け狐よりも変化の術に長けるとされる。
だが、全ての個体が変化の術を使えるとは限らず、栗之介のように一切使えない個体も存在する。
ぶんぶく薬湯堂
化け狸たちが集う薬湯屋。
店主であるおばあちゃん(名前は不明)は人間だが、若かりし日に化け狸に救われたこともあり、化け狸に深い理解がある。
リンが従業員として住み込みで働いている他、薬草の業者であるこがね丸の得意先でもある。
番(つがい)
人間における婚姻に相当する社会的関係。詳細は不明。
一般には認知されていないが、異種族間の番も存在する(例:タヌキチとリク)。
また、化け狸の社会ではオス同士の番も受け入れられているらしい。
書誌情報
単行本(一迅社comic POOL)
お前、タヌキにならねーか?: 1
2021/05/01発売
お前、タヌキにならねーか?: 2
2021/11/25発売
お前、タヌキにならねーか?: 3
2022/05/25発売