霊霖とは、東方projectの作品に登場する博麗霊夢と森近霖之助のカップリングである。
概要
霊夢は「東方香霖堂」で名無しの本読み妖怪を何となく不意打ちして本を奪ってそれを霖之助にあげたり、スカートが破れて霖之助の服を勝手に着るなどと原作でも面識がある。
彼女の身に着けている服や道具(お払い棒など)は霖之助が作ったもので、香霖堂には彼女専用の湯のみがある。
やり取り
本編より一部抜粋。
~幻想郷の巫女と十五冊の魅力~
「霖之助さん?」
久々に店に誰か来た様だ。
僕はまだ本を読みたかったがお客様は神様だ、居留守を使う訳にも行くまい。
「居るんでしょ?」
赤い服を着た神様は、僕が居留守を止めるまでもなく既に後ろにいた。
「なんだ霊夢か。勝手に居間まで上がってくるなっていつも言ってるだろ?」
「そんなことより聞いてよ。酷い目に逢ったんだからー……」
これだ。目の前の赤い少女は人の話を聞かない。----「スカート、こないだ新調してもらったばっかりなのに……」
「見事に切れているな。なるほど図々しくもそれを僕に直せという訳だ。」
「今すぐにね。」
はいはい。霊夢が寒そうに見えたのでストーブ脇にもう一人分のスペースを空けた。
「今すぐ、ってそんなに速くは仕上がらないよ。取り敢えずこっちに座り……」
パタパタパタ……。
「この服借りるわねー。着替えるからちょっと待ってて。」----「お待たせ。もー、この服ちょっと大きすぎよ。歩きづらいじゃないの。」
霊夢は戻ってくるなり不満を言い放った。まぁ僕の服だからしようがないだろう。
霊夢とはかなりの身長差がある、というか勝手に僕の服を着てるのだが。----「まったく、霊夢が来るとろくなことがない。」
「この店事態がろくなことがないのよ。はいお茶。」
僕は隣に座って霊夢が入れたお茶を受け取った。
差し出されたお茶は凄く良い香りがした。
「あ、このお茶。棚の奥にあったお茶使っただろ。」
てっきり霊夢が買ってきたお茶だと思っていたのだが、
「そのお茶が一番良い香りがしたのよ。」
「一番貴重なお茶だ。特別な時のために取って置いたのに……」
「あら特別じゃない日なんてあるの?」
霊夢はすっかりくつろいでいて、期限も良さそうだった。
~夏の梅霖堂~
その人間だったら放っておけばいつか来るだろう。
いつもどうでもいい時に店に来るか、どうでもよくない時も店に来るのだ。
便利なような、邪魔なような……。
―――カラン、カラン。
「ちょっと!何であんたの店の周りだけ雨が降っているのよ!」
ほら来た。こういった異変調査の専門家だ。
「霊夢じゃないか。」
ちょうど良い―――、と言いかけたが、
とりあえず調査の専門である霊夢の様子を見てみることにした。
この異変について何かわかっているかも知れない。
「じゃないか、じゃないでしょ?
もう、霖之助さんは自分の店が今どういう状態になっているかわかっているの?」
そう異変とは、梅雨は空けてからなぜか再び天気雨が降り続いて一向に止む気配がないということだ。
空は雲一つない青空でというのに……。
それも店の周りだけである。でもとりあえず僕は知らないふりをしてみることにした。
「どういう状態って、何のことかな?」
「呆れたわ、まったく外に出てないのかしら?
この店の周りだけ外から見えないくらい雨が降っているじゃない。雲一つないのに……。
遠くからみてこのへん一帯だけ白い布で覆われたようになっているわ。
もしや、またおかしな実験とか始めたんじゃないでしょうね。」 ----「それはともかく、この前は大変だったな。」
「この前、っていつの話のこと?大体いつも大変だから覚えてないわ。」
「梅雨になろうって頃まで雪が降っていたことがあったじゃないか。
あれを解決したのは霊夢なんだろう?」
「ああ、そのこと?あんなの大したことじゃなかったわよ。
もっと酷い目に遭ったことなんていっぱいあったわ。
まぁ、どれも大したことじゃないけど。」
「大変なのかそうじゃないのかさっぱりわからないな。」
「普通よ、普通。どっちかっていうと、放っておく方が大変になるの。
春が来なかったら困るから解決する訳だし、霧が晴れなかったら困るから解決する……
って、やっぱり霖之助さん、困ってるの?」
「よくわかってるじゃないか。そう、困っている。」
「最初からそう言えば良いのよ。
仕様がないわね、この狐の嫁入り、調べてみてもいいわよ。」
~幽し光、窓の雪~
「いったい何よ?霖之助さん。人を呼び出したりして」
霊夢が来た。あの幽霊ちゃんと役目を果たしてくれたようだ。
「何って、この状況を見らればわかると思うけど、君にこれらの幽霊を退治、いや追い払ってもらおうかと思って」
「幽霊?でも、最近多いわよね。神社にも幽霊がいっぱいくるわ。困るのよねぇ。」
それは暗に「私では幽霊は退治できない」と言っているのだろうか。
「寒いんだ。こいつらがいると」
「幽霊だからねぇ。
でも、追い払う前に何で集まっているのかを調べる方が先じゃないの?」
「……寒いからなぁ。それは部屋が暖かくなってから調べられればよい」
「そんなもんかしら。そんなんじゃ根本的な解決には繋がらないと思うけどねぇ」
霊夢はそう言いながらお札の準備をしていた。幽霊除けの護符だろうか。
「いくつかのお札を貼っておくわよ。気休めにしかならないけどね」
「ありがとう。でも直接手を出さないなんて霊夢らしくないな。幽霊は苦手かい?」
「私は、妖怪退治をする人間よ。幽霊は妖怪ではないの」
~無々色の桜~
桜を見て騒ぎたくなるのも、死にたくなるのも、集まりたくなるのも、至極自然なことなのだ。
何しろ桜は、紅と白を併せ持つので色の誕生を意味し、色の誕生は正の誕生である。
まさに季節の始まりなんだから、本当は桜が咲いたときを正月にするべきなのだ。
流石にそれは無理かも知れないが、せめて僕だけでも正月気分で居るとしよう。
桜の魔力に操られるのも悪くない。
「どうしたの? 何かお目出度い顔をしてるわよ」
「そりゃ正月だから『目出度い』さ」
「随分と遅い正月ね」
「ちなみに紅白が目出度い理由を知っているかい?」
「そんなの……巫女だからに決まってんじゃないの」
~名前の無い石~
「あ、居た居た魔理沙、ってあんたじゃないわよ!霖之助さんの方は居る?」
「ああ霊夢か、居るよ。今日は何の用かな?」
「霖之助さんに見て貰いたい物があるの」
と言いながら、霊夢は勝手に店の奥へ上がっていった。
「何だい?お茶ならこっちに出してあるよ」
「ああそう。準備が良いじゃないの」
戻ってくると手には煎餅を持っていた。ちゃっかりし過ぎだ。
~働かない式神~
「霖之助さん。居るわよね?」
「ああ居るよ」
「魔理沙から聞いたわよ。何か拾いもので食いつないでいるありさまだって?」
「拾いもので食いつないでいるって、僕はただコーラを飲んでいただけだよ」
「コーラ? なんだかよくわからないけど拾いものでしょう?
余り得体の知れないものは飲まない方が……」
霊夢はコーラの空き瓶を手に持ち訝しんでいた。----「それから昨日、魔理沙がコンピュータを手に入れたって喜んでいたけど、あれってこの店の売りものでしょ?
勝手に持って行っているとしたら一応報告だけでもしておかないと……」
~神の美禄~
「何か、機嫌が良さそうね」
「今年の新酒を造る準備をしてるんだ。機嫌が悪い訳がない」
霊夢は訝しむ様子で、お酒なんて造っていたの?
と訊いてきたが僕は、ここは香霖堂だからね、とだけ返答した。
今日は魔理沙と霊夢と僕の三人で、秋の味覚の茸でお酒を一杯呑む事になっている。
霊夢と僕はその時間を待っていた。肝心な茸は、まだ店には居ない。
「へぇ、霖之助さんも、お酒を造っていたなんて知らなかったわ。今度呑ませてよ」
「まあ、呑んでもらうのはいいけど……」
「けど?」
「大量に呑まなければね」
霊夢や魔理沙達は勿体ないくらい味わわずに呑む。
折角造った貴重なお酒も、それでは意味がない。
「そんな大量に呑まないわよ。美味しくなければ」
「いや、美味しいさ」
「じゃあ呑むかもね」----「この店で醸造ねぇ。こんなに様々な神様が住んでいるような場所でねぇ。美味しくできるのかしら?」
話しぶりからして、霊夢はお酒に関して造詣が探いようだ。
「で、いつからお酒を造っていたの?」
「今年が初めてだ」
霊夢は怪訝な顔をした。
「げげ、そんな簡単には神様は醸してくれないわよ。
最初は凄い液体が出来そうね。大量に呑まなくて済むかも」
そんな顔をされる事は予想していた。
「良いんだよ。何年も続けていくうちに良い物になっていくだろう。
失敗すると判っていても、最初が彿ければ成長はあり得ないんだから」