烏は主を選ばない
からすはあるじをえらばない
概要
「烏は主を選ばない」とは、阿部智里の小説。
「烏に単は似合わない」に続く、【八咫烏シリーズ】の第2作目。
本作は「烏に単は似合わない」の対になっており、「烏に単は似合わない」でほぼ出てこなかった若宮サイドについてが描かれており、時系列は同じになっている。
ジャンルも一作目同様、宮廷物語と和風ファンタジーを合わせた内容に、陰謀渦巻く朝廷での権力闘争が主なミステリーとなっている。
本作もコミックDAYSにて、コミカライズが連載されている。単行本は既刊3巻まで刊行されている。
舞台
前作同様、人間の代わりに「八咫烏」の一族が住まう異世界。
日本の平安王朝に近い舞台設定であり、朝廷や貴族・豪族の身分制度、服装や植生、四季の存在から月日の概念も同様で、移動手段と烏に変身すること以外は日本の中世と共通している。
宗家とそれに仕えている四家(東家・西家・南家・北家)はある事情から、兄宮派と若宮派で派閥が対立。次代の金烏について朝廷で争っており、若宮を廃太子させようとしている者が多数存在している状態にある。
用語
招陽宮…族長一家の皇太子、次の金烏となる「日嗣の御子」である若宮の住まい。
紫宸殿…政治の場である朝廷の中心地。招陽宮とも繋がっている。
谷間…遊郭や賭場が認められた裏社会。表社会とは異なる独自のルールが確立された自治組織でもある。
山内衆…宗家の近衛隊。優秀な成績を収めた物だけが護衛の資格を与えられる。
内容
優秀で人望の厚い兄宮を退け、「日嗣の御子」の座に就いた若宮に急遽仕えることになった、北の領地・垂氷出身の雪哉。
しかし朝廷は大貴族の権力闘争から一触即発の事態に陥っており、周囲は兄を次の金烏にと推す強力な派閥と敵だらけ、若宮の命を狙う過激派も次々に現れる。
雪哉は御身を狙う陰謀に孤立無援の宮廷で巻き込まれていく。
同時に本作は、「忠誠」とは何か、の物語である。