概要
乗馬の練習法の一つであり、ブリティッシュ乗馬の技術を競う競技でもある。
いわゆるグループレッスンであり、馬が前の馬についていくという習性を利用したもので、「部班運動」とも呼ばれる。
乗馬競技において、個人でなく集団で行うものも部班と呼ばれる。
指導者(大会のときは号令者)の号令に従い、複数の人馬が同時に運動する。指導者にとっては限られたスペースの中で複数頭の馬を同時に運動させることになるため効率的であるとともに、注意力も要求される。
部班の号令は、人によって多少の違いはあるが基本的な決まりがある。
主な運動
輪乗り - 蹄跡から輪を描いて円周上を進むこと。
巻乗り - 直径が 6メートル、8メートル、または10メートルの輪乗りを巻乗りという。
山形乗り - 中央線に入り左右にジグザグに動く。
競技としての部班
複数の馬で隊列を組み、号令者の指示に従って列を乱さないように運動を行う。騎乗者の姿勢や馬の活発さなどの項目ごとに採点され、その合計点の高さを競う。
競技としての部班で審査されるポイントは以下の通り。
(1) 正しい経路
部班であっても、号令(運動課目)には、それぞれの望ましい動きがありいつ(あるいはどこで)どのような運動をしたかによって、本来の正しい動きとの差をもって採点される。ポイントずれ(指定の地点で運動が行われないこと)や、図形の不正はペナルティとなる。
(2) 部班の維持
部班、特に 2番以降に強く求められるのは、部班を維持、継続すること。一人でやっているわけではなく、美しい流れをチーム一体で作り出し、これを崩してはいけない。指定された馬間距離を保ち、基本的には先頭(1番)が作るペースに合わせた運動をすることが必要。号令どおり行えばとりあえずは足りる先頭よりも、実は 2番以降の方が難しいともいえる。
馬間距離が一定で、指定の歩法(常歩、速歩、駈歩)を続けており、各個の運動でタイミングが合っていれば、まずは部班を維持しているといってよい。
部班競技のルール
指導者(号令者)は、乗馬練習がスムーズにかつ安全に行えるよう騎乗者全員に、部班運動におけるルール、マナーを理解させ、守らせなければならない。騎乗者は指導者(号令者)の号令に従わなければならない。
その以下、基本的なルール、マナーについて示す。
1. 号令者より特別の指示がない限り、部班の順番を変えてはならない。
2. 号令者より特別の指示がない限り、蹄跡を行進する。
3. 号令者より特別の指示がない限り、運動中、同じ手前を維持する。
4. 号令者より別の指示が下されない限り、歩度は常に一定不変とする。
5. 号令者より特別の指示がない限り、騎手はあらかじめ指示された前の馬との距離を正しく保たねばならない。
6. 号令者より特別の指示しない限り、距離が開きすぎた騎手は自主的に距離を調整する。この場合、歩度を伸ばして調節するのではなく、馬場の短蹄跡にかかる際に隅角の手前で曲がって距離をつめるように調整する。それ以後の騎手は、これに従う。
7. 軽速歩の号令がかかっていた場合、蹄跡を行進する場合は軽速歩をとることとするが、蹄跡を離れる輪乗り、巻乗り、半巻き等の運動を実施する際には、軽速歩をやめ正反撞を受ける速歩で行う。また、「歩度を縮め」の号令がかかった場合には軽速歩をやめる。
8. 軽速歩の号令がかかっていた場合、部班が手前を変える直前に軽速歩の手前も変える。
9. 先頭より(又は順次に)巻乗りや半巻きを実施する際、特に大きさに関する指示がない場合は、部班の先頭の騎手がその部班の頭数や長さを考慮して、全員の廻れる大きさで部班を行う。
10. 巻乗り及び8字乗りの号令がかかった場合は、特に指示のない限り1回その運動を実施したら蹄跡行進に戻るが、輪乗りの号令がかかった場合は、次の指示があるまで輪乗りを続けなければならない。
11. 歩度について、特別な指示のない常歩、速歩、駈歩の号令がかかった場合は、すべて尋常の歩度で運動を行う。
12. 馬場内で運動中、他馬とすれ違う場合は、特に指示のない限り以下の原則に従う。
(1) 蹄跡上における同速のすれ違いは、左側通行とする。
(2) 蹄跡上における異速のすれ違いは、低速者が進路をゆずる。
(3) 追い抜きをかける場合は、追い抜く騎手が声をかける。
これらを怠ると減点となる。