概要
「マーキュロクロム液」の俗称、1918年アメリカ合衆国で発見。
「赤チン」の呼称はそれ以前に普及していたヨードチンキに対して赤いため。ヨードチンキなどに比べると傷にしみにくく、1980年代までは傷の処置に消毒液としてよく使われていた。
「患部に赤い色がつく」などの欠点があり、製造工程で水銀が発生するという理由から1973年頃に国内での原料の製造が中止(マーキュロクロム液自体にも微量の水銀を含むが、外用剤として使う限りにおいては安全とされている)。以降は同時期に登場したマキロンや、1960年代に現れたポビドンヨード液(商標名イソジン)に押されて徐々に需要が低下していった。さらに21世紀に入ると、消毒液自体を使わない「湿潤療法」が勧められるようになる。
それでもマーキュロクロム液は価格の安さから新興国を中心に使われていたものの、日本政府は水銀の環境汚染を理由として2020年限りでマーキュロクロム液を使った製品の流通を禁止、長く親しまれた「赤チン」も国内から姿を消すことになった。