「悪魔くん」原作漫画およびアニメに関しては、当該項目を参照。
概要
水木しげる「悪魔くん」は、1966年に実写ドラマとして製作され、TVで放送された。
内容は、水木しげるの原作漫画(貸本時代の作品内容)と異なる、親しみやすい内容に修正されたものを下敷きにしており、今でいえばリメイクに近い。
少年マガジンに原作漫画を同時に連載させる、メディアミックスに近いかたちで製作がスタート。全26話が製作され放送された。
なお、本作は白黒作品だが、それゆえにカラーには無い不気味さが出ており、本作独特の魅力が感じられる画面作りになっている。
内容
一万人に一人の、ほくろを持つ少年、山田真吾。
彼は、悪魔を研究する老人・ファウストに出合う。彼の死の間際に、地下の悪魔召喚の魔法陣、および悪魔の召喚方法を教えられ、その悪魔を操るためのソロモンの笛を授かった真吾は、悪魔メフィストを召喚。
ソロモンの笛を用いて契約書に捺印させ、人間を惨殺する魔物「百眼ガンマー」と戦いこれに打ち勝つ。
ここから真吾は、メフィストとともに、世の中に現れる様々な悪魔・怪物・妖怪と戦う事になるのだった。
登場人物
山田真吾
(演:金子光伸)
ファウスト博士と出会い、魔法陣の使い方とソロモンの笛を授かった少年。一万人に一人の天才少年で、身体にはその証であるほくろがある。
普段はVネックのセーターを着ている。身体能力はごく普通の少年であるが、優れたひらめきと直感力を有し、魔物との戦いに際してもメフィストへ的確な指示を出す事ができる。
また、勇敢な一面も有し、第一話ではメフィストのステッキを用いてガンマーへと止めをさしていた。
メフィスト(兄)
(演:吉田義夫)
第一話~十話、十九話に登場。
ファウスト博士の残した魔法陣から、真吾により召喚された悪魔。その姿は黒いスーツにマント、シルクハットを被りステッキを手にした中年紳士。本名は「メールセデス・ニチ・メフィスト」。
当初は呼び出された事に対し不満を訴えていたが、ソロモンの笛の音を聞いて苦しみ、しかも空腹だったために昏倒。真吾が差し出したチョコレートを口にして好物となり、真吾とともに悪魔退治をするための契約書へと捺印する。
その性格は、やや頑固だが同時にどこか人間臭い。
悪魔と言えども正義感も有しているようで、一話では少女を襲ったガンマーに対し、義憤からの怒りを表していた。
強力な魔力を有しており、「魔力・〇〇」と唱えて、ステッキを振って様々な魔力を発揮する。
その一例として、
- 「魔力・ストーンファイアー」と唱え、ステッキの先端から火炎を放つ、
- 「魔力・ボーリング」で、ステッキの先端をドリルと化して飲み込まれた敵の体内に穴を開ける、
- 「魔力・分身」で、五体に分身する。
など。
ステッキは、武器としても用いることもあった。
身に付けているマントは飛行能力を付加し、飛行が可能。また、真吾にも魔力でマントを付けさせ、共に空を飛ばせる事が可能。
十話で、シバの大魔神と戦った際、シバの神殿内で魔力を使ってはならないという禁忌を破ったために地獄警察に連行される。以後は、弟に後を任せる事に。
※演者の吉田氏が体調不良で降板することになったため、このような処理となった。なお、兄メフィストは十九話でゲスト出演し、地獄に落ちた悪魔くんと再会する。
メフィスト老の項目も参照。
メフィスト(弟)
(演:潮健児)
メフィストの弟。本名は「シラーサルタン・モメット・メフィスト」。
上記兄がシバの大神殿で禁忌を犯したため、兄に後を任される。当初は地獄から地上に遊びに来たかたちで登場しており、派手なデザインのスーツや帽子を身に付けていた。
兄が連行される際に、兄の魔力で兄と同じ無地の黒スーツにマント、帽子姿になる。
兄同様に人間臭い性格で、兄よりも茶目っ気がある。その魔力もまた、兄と同様に強力で、ステッキを振るい「魔力・〇〇」と唱えて発動させる。
チョコレートが好物な所も兄と同じ。
貧太
(演:渡辺義文)
丸眼鏡の、真吾の友人。彼とともに様々な魔物に襲われる事が多い。
情報屋
(演:鈴木芳生(第1話・第2話)→塩屋浩三(第3話-第26話))
野球帽とブレザー姿の、真吾の友人。先祖は、妖怪「カマキリ仙人」の鎌を盗んで、その魔力を封じている。そのためにカマキリ仙人は復活後に、この一家を皆殺しにしようとした。
ファウスト
(演:浜村純)
300歳の老人。死の間際に魔法陣と悪魔召喚の方法、ソロモンの笛を真吾に託す。
最初に魔法陣を使った際には、「土精」を召喚した。
登場怪物・魔物・悪魔
- 百眼ガンマー
一話に登場。百目塚の妖怪で、全身に目が存在する肉塊といった姿をしている。以前より真吾の周辺にて、人間を惨殺し、その目をくりぬくという事件を起こしていた。
ファウスト博士から魔法陣を託された真吾とメフィストが初めて戦った相手で、顔面の口部分と思しき場所にある口から、怪光線を発射する。
少女に対しても襲い掛かったため、メフィストの怒りをかい、大風を浴びせられたが堪えなかった。
しかし、ステッキから火炎を放たれたじろぎ、さらには顔面部の右目をステッキで潰される。そのまま、メフィストのシルクハットにより頭部を切断されるが、頭部だけで浮遊し、真吾とメフィストに襲い掛かる。が、マントをかぶされて、その上から真吾にステッキで深く突き刺され、絶命した。
- 土精
一話に登場。ファウストが魔法陣を用い、召喚したもの。
地面がひび割れ、そこから出てきた「爪のある巨大な手首」という異様な姿だが、ファウスト曰く「なんでもないもの」との事。「土精よ消えろ」と命じられ、すぐに引っ込んだ。
- 化け烏
2話に登場。巨大なカラスの妖怪で、旅客機を襲い墜落させていた。正体は烏人で、等身大の妖怪。静かだった空を、人間の飛行機により荒らされた事に怒りを覚えている。
墜落させた旅客機の乗員たちが自分の住む無人島に流れ着くと、魔力によって自分と同じ烏人の姿にしていた。
メフィストの魔力を奪わんとして、彼に成りすまし烏人にしてしまう。しかしソロモンの笛で正体を見破られ、再び化け烏の姿になり、セスナに乗ったメフィストたちを狙い空中戦を行った末、噴火口に落とされ焼け死ぬ。
化け烏が倒された後、無人島の洞窟で烏人の姿に変えられていた乗客たちは、メフィストの魔力で元に戻る。
- ミイラ男
三話登場。正体は古代エジプトの魔術師・ビアンカ。かつて子供たちを誘拐しミイラにしていたが、そのために自身もミイラにされて封じられていた。巨大な手を出して、夜な夜な貧太や情報屋など、子供たちをさらっていた。
真吾とメフィストに追い詰められるも、自身も巨大化して対抗。そのまま空を飛んで自身の隅かであるエジプトのピラミッドに逃げ込むが、追跡してきた真吾とメフィストと対決する。
魔力・分身で五体に増えたメフィストも退けるが、日光に弱く、ピラミッドの壁面を壊され、そこから入って来た日光を浴びせられ消滅した。
- 大海魔パイドン
四話登場。海に潜み、海難事故を起こしていた。
アンコウに化け、ドライブにやって来た真吾とその家族の乗った車に水をかけ、走行不能にした。その後、尼僧に化けてメフィストたちに妖怪退治を依頼。船に乗った真吾とメフィストに襲い掛かる。
メフィストに催眠術をかけて操ろうとするが、真水が弱点であることを見破られ、メフィストの魔力に敗れる。
- ペロリゴン
五話登場。源田家の祖先により、池の傍らに安置された地蔵に封印されていた巨大妖怪。見た目はほぼ怪獣。誤って地蔵を壊されたために復活した。
その唾液は強力な溶解液で、人間も簡単に溶かす。また、長い舌を伸ばし、人間を巻き込んで飲み込んでしまう。
遊園地にて、貧太を追いかけ飲み込んでしまった。対戦したメフィストの魔力も効かず、真吾とともに飲み込んでしまうが、「魔力・ボーリング」にて、ドリルに変化したメフィストのステッキにより胃壁に穴を開けられる。
そこから脱出され、溶解液が身体に逆流。身体を溶かされ、池に再び沈んでいった。
なお、週刊少年マガジンの記事では、似た外見の「ビチゴン」という巨大妖怪が登場する。
- マネキン妖怪(首人形)
六話登場。廃品のマネキンが倉庫から動き出した妖怪。口から吐く石膏の粉末で、人間をマネキンにしていた。
一見すると普通のマネキンだが、首が落ちると変化し、一つ目で巨大な口を持つ姿に変形する。メフィストを翻弄し、真吾を石膏に閉じ込めた後、倉庫に逃げ込む。更に、命を吹き込んだ複数のマネキンを操ってメフィストを襲わせ、真吾を人質に取りつつ、巨大ファンへ放り込もうとした。
メフィストの「魔力・山嵐」を受けて、自身がファンに放り込まれ、絶叫しつつ砕け散った。
- 山彦妖怪
- 水妖怪
- ドクトル・キューラ
- シバの大魔神
- 油絵妖怪
- 狼男
- ドクロン
- 妖術師バラモン
- としぬすみ
- モルゴン
- 黒猫妖怪
- 雪女
- 妖術師ブラッガー
- 未来人兄妹ロロとピッチ
- 化石人ジュラタン
- 鬼婆
- 化けぐも
- カマキリ仙人
- ダイヤモンド妖怪
- 死神第四号
その他
- ソロモンの笛
ファウストが真吾に授けた笛。
見た目はオカリナで、それを吹いた音色を聞くと、メフィストは苦しみだし、頭部から煙を放つ。これを用い、ファウストはメフィストに契約させた。
一度失われた事があり、メフィストがそれを手に入れた事があったが、「これはお前が持っていろ」と彼の手から真吾に返された事があった。
動画
OP・ED
余談
本作の成功が、後の「墓場鬼太郎」を「ゲゲゲの鬼太郎」としてTVアニメ化される原動力の一つとなる。