概要
2017年8月、オンライン小説投稿サイト『小説家になろう』にて連載開始。作者は槻影(つきかげ)。
商業化においてのタイトルは『嘆きの亡霊は引退したい ~最弱ハンターによる最強パーティ育成術~』。
WEB版のタイトルは『嘆きの亡霊は引退したい ~最弱ハンターは英雄の夢を見る~』となっている。
タイトルにある「嘆きの亡霊」は作中に登場するパーティの名でもあり、そちらの場合は「ストレンジ・グリーフ」と読む。
略称は「嘆霊」もしくは「ストグリ」。
GCノベルズから書籍化。既刊10巻。イラストはチーコ氏が担当。
電撃コミックスNEXTからコミカライズが出版。既刊7巻。蛇野らい氏が作画を担当。
最強の幼馴染達に守られ、後輩や同業者から不相応に期待されてしまい、トレジャーハンターを夢見て挫折した主人公が何とかして円満引退を目指すだけの勘違い系ファンタジー。
「このライトノベルがすごい!2021年」の単行本部門で第7位に選ばれている。
あらすじ
富と名誉、そして力。
栄光を求め、危険を顧みず、
世界各地の宝物殿を探索するトレジャーハンター達の黄金時代。
クライ・アンドリヒと幼馴染達との誓いは、
挫折を余儀なくされたはずだった。
クライには何一つ才能がなかったから……。
にも関わらず、何故かいや増していく周囲の期待。
跳ね上がるのは命の危険。
人間離れしていく幼馴染達が大暴れするたびに、
クライの土下座スキルは高まっていく……!
これは一人の青年が円満引退を目指すだけの物語。
登場人物
嘆きの亡霊 (ストレンジ・グリーフ)
主にクライと幼馴染達で結成されたパーティ。クラン『始まりの足跡(ファースト・ステップ)』に所属してる。
- クライ・アンドリヒ
『嘆きの亡霊』のリーダーを務める青年。クラン『始まりの足跡』を設立したクランマスターでもある。認定レベル8。
才能がないままレベルだけが上がってしまったため、相応の実力を持たない。当人は何もしていないのだが、彼の謀略で状況が動いていたと誤解されるような偶然が重なった結果、実態に反して「神算鬼謀」と評されるようになる。
探索者協会に与えられた二つ名は『千変万化』。
- リィズ・スマート
クライの幼馴染の一人で、喧嘩っ早い女性。認定レベル6。役割は盗賊(シーフ)。
好戦的な性格で、スピードに特化して体を鍛えている。宝物殿の探索では、幻影や魔物との戦闘で活躍する。盗賊の役割である索敵や罠の解除の技術も高い。
探索者協会から与えられた二つ名は『絶影』。
- シトリー・スマート
クライの幼馴染の一人で、リィズの妹。認定レベル2。役割は錬金術師(アルケミスト)。
宝物殿の探索では、事前準備や後始末を担う。幻影との戦闘では司令塔を務めるが、ポーションを投げて攻撃役に加わることもある。また自ら開発した(婉曲表現)ラジコン兵器(婉曲表現)のキルキル君などを使役し戦力に充てている。
探索者協会から与えられた二つ名は『最低最悪(ディープ・ブラック)』。
- ルーク・サイコル
クライの幼馴染の一人で認定レベル6。役割は剣士(ソードマン)。
多数の剣術流派を納めながらも、それらを交ぜて複雑化させるという、型破りな剣術を使い宝物殿の探索では、幻影や魔物との戦闘で活躍する。
人や物を問わず何かを斬ることに執着し異常者ムーブをとる剣術馬鹿な青年。
探索者協会から与えられた二つ名は『千剣』
- ルシア・ロジェ
クライの義妹。認定レベル6。役割は魔術師(マギ)。
多彩すぎる魔法を使いこなす。そのレパートリーの数々は、既存の魔法を組み合わせて新たな魔法を生み出すことで実現している。
宝物殿の探索では、高火力の攻撃魔法で幻影や魔物を殲滅する。多彩な魔法により戦闘以外でも活躍する。
探索者協会から与えられた二つ名は『万象自在』。
- アンセム・スマート
クライの幼馴染の一人で、リィズとシトリーの兄。寡黙な大男。認定レベル7。役割は守護騎士(パラディン)。
宝物殿の探索では、幻影や魔物から仲間を守る盾役や、神聖系魔法による回復役も担う。
探索者協会から与えられた二つ名は『不動不変』。
- エリザ・ベック
砂漠精霊人(デザート・ノウブル)の女性。認定レベル6。役割は盗賊(シーフ)。
幼馴染同士で結成されたパーティ『嘆きの亡霊』において、結成後に追加で加わった唯一のメンバー。
探索者協会から与えられた二つ名は『放浪(ロスト)』。
- ティノ・シェイド
リィズに弟子入りしている少女。認定レベル4。パーティを組まず、クラン『始まりの足跡』に属する。
リィズにはしごかれシトリーには改造されそうになったり怪しい画面に寄生されたりと、加入して以降散々な目に遭い続けている不憫枠。
- クリュス・アルゲン
精霊人のパーティ『星の聖雷』に属する少女。尊大な口調と丁寧語が入り混じった風変わりな口調が特徴。
クライから付けられたあだ名の『ツヨノウブル』が各方面に定着した結果、ファンからの愛称も『ツヨノウブル』に。
クライに付き合うとろくな目に遭わない事が多い。
用語
- マナ・マテリアル
- 作中世界の根幹をなす力。空気中に存在している物質であり、目に見えずともどこにでも満ちている。大地から湧く物質であり、地脈が地表に近い場所などでは、マナ・マテリアル濃度が高くなる。
- マナ・マテリアルは生物に吸収されると、その生物が自らの望む形へ肉体を強化する性質をもつ。
- 高濃度のマナ・マテリアルが起こす現象として、作中世界の記録や情報を基にした再現物『宝物殿』の発生がある。
- 宝物殿
- 地脈が地表に近い場所など、マナ・マテリアルが一箇所に集中している地域に存在する魔境。過去の遺物や希少な自然現象などを基に再現されたもの。
- 城・塔・迷宮などの人工的な構造物や、森・砂漠などの自然物など、マナ・マテリアルによって構築された多種多様な環境である。
- 宝物殿に出現するものとして、特殊な効力を持つ道具『宝具』や、生きた幻『幻影(ファントム)』などがある。
- トレジャーハンター
- 富と名誉と力を求めて、宝物殿を探索することを生業とする職業。単にハンターと呼ばれることが基本である。宝物殿での探索によりマナ・マテリアルを大量に吸収したハンターは、人間離れした身体能力を有する。
- 支援団体『探索者協会』でハンター登録を行うことで活動が認められる。
- 探索者協会は、ハンターや宝物殿などへ『レベル認定』を行う。また、優れたハンターには『二つ名』を与える。
- クラン
- 複数のパーティが結託した組織を指す。個人+個人=パーティ パーティ+パーティ=クランという構成かと思われる。
- 始まりの足跡(ファースト・ステップ)
- 帝都で最も勢いがあると評されるクラン。
- 発足時からのパーティには『嘆きの亡霊』『聖霊の御子』『黒金十字』『星の聖雷』など、帝都でも名だたるパーティが揃っている。