概要
本作の特徴はそれまでの徳弘作品とは一線を画すハードな設定にある。
優生学思想を基にした超管理社会、戦争と殺人の心理、民主主義の矛盾と危険性、安きに流れる人間の弱さ、「理想郷」の現実など人間の負の部分に切り込んだ骨太なストーリー展開が繰り広げられている。
その一方で徳弘作品特有のギャグも健在であり、暗く乾いた世界観を潤す清涼剤となっている。
ストーリー
第三次世界大戦後、日本は優生学思想を根本に宿したゲノム党による独裁政治が敷かれていた。
男女隔離政策を始めあらゆることが国家に監視される超管理国家となった日本で、一人の屈強な男が一人の女に会うために北海道を目指し旅立った。
彼の名は廻狂四郎。彼は旅先での出会いを通じ、この世界の根幹、人間の正と負に直面する・・・・・。
登場人物
廻狂四郎
本作の主人公。第三次大戦中は激戦地をくぐり抜け、要人暗殺や破壊工作で活躍した超人的な能力を持つ軍人であった。本来なら輝かしい地位にいて当然の功績を立てているのだが、M型遺伝子異常者(犯罪を起こしやすいとされる人種。いい加減な理屈なのだがゲノム党によって政治利用された)であったために大戦後は平巡査にしかなれなかった。
ある日仮想世界で出会った女性・志乃に惚れ込みインターネット上で祝言を挙げる。そして現実の志乃に会うために国家反逆罪に問われることを厭わず彼女のいる北海道を目指し旅に出た。
性格はスケベでお気楽だが、戦闘時には冷酷非情の殺人マシーンと化す。これは幼少期に受けた戦闘訓練と大戦中の殺人経験によるモノである。