「オレは野球だったんだ!」
プロフィール
所属 | 足立バンビーズ(リトル) |
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ポジション | 投手 |
投打 | 右投げ右打ち |
背番号 | 11(バンビ)、1(U12) |
身長 | 169cm(U12時) |
家族構成 | 父、母、姉3人(ミカ・まゆ)※長姉は不明 |
CV | 根本圭子(ボイコミ) |
※以下、単行本未読の方には多大なネタバレを含みます
人物
漫画『ダイヤモンドの功罪』の主人公。
同作者の読み切り作品『ゴーストライト』でも主役を務め、同じく『可視光線』『サインミス』にも登場するが、詳細は読み切り群との統括記事を参照のこと。(2023年9月時点では未作成)
小学生離れした体格とスポーツセンスの持ち主で、運動全般に関してダイヤモンドのような才能に恵まれている。
本人は幼少期からスポーツをやりたいと望んでいたが、経済的な事情で習い事が出来るようになったのは、小学校高学年になってからの模様。
これまでテニスや体操、水泳などを体験したが、始めてすぐに経験者たちをいとも容易く追い抜いてしまうため、悪気無く周囲の人々を傷つけるはめになっていた。
彼自身これを非常に気に病んでおり、「どこに行っても邪魔者扱い」だと感じていた。
メンバー募集チラシの楽しげな様子に惹かれ、少年野球チーム『足立バンビーズ』に入団すると、やはりそこでも並外れた野球の才能が開花。
やがて綾瀬川に魅了された人々にひずみが生じ、競争の無いチームだったバンビーズの歯車を狂わせていく。
U12選考会の時点で身長は169cm超えだが、その後も順調に伸び続けている。
身長に比べると恰幅はさほどでもないが、長い腕に大きな手は長身を含め、真木コーチをして「ピッチャーをやるために生まれてきたような体」と言わしめるほど。
普段の性格は明るく、コミュニケーション能力も高く、年下の子たちの面倒見もいい。
懐いた相手には良くも悪くもかなり素直で、少々危うい一面も見せる。分け隔てなく優しい点は本来なら長所だが、溢れんばかりの才能とは上手く噛み合っていない。
単行本1巻の表紙にもなった、バンビーズ入団の際に着ているフード付きジャンパーは、綾瀬川のお気に入り。「これが一番かっこいい!」と自分で選んでいる。
スタベのフラピチーノより『チキンアラビアータ窯焼フィローネ』を好み、綾瀬川の感想は「ランチペックの超うまい版」
父親が単身赴任中なので、現在は母・姉三人との五人暮らし。
姉のことは「ミカ姉」「まゆ」と呼んでいる。次女は社会人。14歳上の長姉は末弟とはあまり顔を合わせないらしく、父と揃って未登場。
姉たちは一様に野球には無関心であり、母も野球知識を押しつけられるせいかうんざり気味。
しかしその一方では悩める息子の心に寄り添い、「次郎には好きなことやってほしい」と力づけている。
プレースタイル
作中では「雰囲気がある」「チームの中心にいるべき存在感」「バケモン」などと度々綾瀬川を指して形容され、マウンド上の彼は独特の求心力を持つ投手として描かれる。
しかし彼の母が「テストや習い事で出来ないふりをすることがある」と語るように、綾瀬川次郎の突出した才能は抜群の身体能力ばかりではない。
極めて鋭い観察眼や類い稀な再現力の高さが反復練習を不要としており、彼を天才たらしめる要因となっている。
これを活かし初心者同然でありながら、動画を見て学んだだけでフォーク系の変化球・スプリットを物にしている。
スプリットとは、打者の手前でストンと縦に落ちるフォークの一種。通常のフォークに比べ変化(落ち幅)は少ないが、球速のある球種を指す。途中まではストレートと同じ軌道になるので、決め球として非常に効果的。
小学生でこのスプリットを習得出来ることがまず驚異的だと思われる。
U12日本代表時
選考会のブルペンでの投球では、ストライクゾーンを対角線に高め低めと投げ分け、カーブも披露。
カーブは利き腕と逆方向(右投手の綾瀬川の場合は左)に、曲がりながら落ちる変化球。右打者にとっては外角方向へ逃げていく変化になる。
選考会の時点で綾瀬川は、カーブ系の変化球を複数投げ分けられる(おそらくパワーカーブとスローカーブ)ことが窺える。
並木監督との一打席勝負では、「投げたいところに絶対投げられる」という主張どおりの優れた制球力を見せつけ、雛桃吾のリードも相まって三球三振でアウトを取る。
その度胸、球威、制球力を評して、監督に「別格」と思わせた。
- 枚方ベアーズ戦
野球を始めてわずか3か月、世代別日本代表のエースナンバーを担うことになった綾瀬川だが、人生初登板のベアーズ戦でもプレッシャーは微塵も感じられない。
選考会で見せたのと同じく強気のピッチングというよりは、水を得た魚のような伸び伸びとした姿である。
瞬く間に替わった初回、ベアーズ主将に「テンポが速い」と言われているが、単行本3巻にてこの試合には綾瀬川なりの思惑があったことが明かされる。
ストレートの球威は、シニアの全国大会決勝に出場するエースに匹敵。
この球威とは球速ではなく、文字どおり『球の威力』を指す。スピードのみが速い球では打たれると大きく飛ぶので、綾瀬川の球は回転力があるため打たれにくいことがわかる。
変化球を温存した一巡目は毎回10球以内に抑え、「打者から一つずつアウトを取る」という監督の指示どおり、効率よく打者を仕留めている。
6イニングでの試合終了後も、投球数は球数制限以内の82球である。
二巡目以降は変化球を多投。桃吾のサインで投げた最初のスライダーは、「ほぼ真横に曲がるえぐい軌道」とベアーズベンチをどよめかせている。この時の打者が「完全に見逃し」と言っていることからも、綾瀬川のスライダーの完成度の高さが窺える。
スライダーとは、利き腕と逆方向(右投手の綾瀬川の場合は左)にスライドする変化球。
カーブ同様右打者にとっては外角方向へ逃げていく変化になるが、カーブよりも球速があり、カーブのように弧を描くのではなく通常は打者の手前で横滑りに曲がる。
多くの投手はこのスライダーをシニアに上がってから習得する。
基本的にリードは捕手任せなようだが、自ら打者との駆け引きに挑む時もある。
ベアーズ4番打者の今村には、セットポジションからのカーブや、クイックモーションを試して三振に打ち取っている。
セットポジションとは、主に走者がいる時に牽制球を投げるために使われる姿勢。クイックモーション(反則投球のクイックピッチとは異なる)は、その名のとおり盗塁阻止のため素早い動作で投球すること。
綾瀬川の場合、どちらも打者のタイミングを外すべく試みた投球だと思われる。
6回のセーフティバント処理を見る限り、フィールディング能力にも長けており、9人目の野手としても十二分の働きをする。
打撃に関しては未知数。
弱点と言えるのは精神面。周囲の人々を傷つけてきた過去のせいで、対戦相手に誤った気遣いを見せてしまう。
天野倉奈津緒との対話で自省したが、勝敗よりも他者の反応を気にかける点は依然残り、今後の課題となりそうである。
野球以外の競技
テニスでは負けた対戦相手に泣かれる回想があるだけなので具体的な力量は不明だが、体操ではおそらく小4でU-15ジュニアナショナル強化指定選手に推薦されており、世代を超えたトップクラスの能力を有していたことが示唆されている。
水泳でもスクール体験の時点で、コーチ陣にクラブの代表として春季ジュニアオリンピック出場チームへの加入を検討されている。
人間関係
天才の苦悩や孤独が描かれるのはスポーツ漫画の定番と言えるが、才能とは裏腹な綾瀬川の性格が、従来の他作品に比べ本作を異色の群像劇に仕立てている。
綾瀬川は野球漫画の主人公ではあるものの、彼の異質な魅力が発揮されるのは、試合シーンのみに限らない。
その残酷なほどに眩い才能が周りに与える影響は、まさに『ダイヤモンドの功罪』のタイトルどおり、『功』もあれば『罪』もある。
競争心の無さや「みんなで楽しく」野球をしたいという気持ちが、関わる人々との無理解や摩擦を生み、巡り巡って綾瀬川自身の辛酸へとつながっていく。その『功罪』は下記を参照。
ダイヤモンドの『功』
- 人生初の投球で剛腕を発揮し、バンビーズの投手として熱烈に歓迎される
- U12選考会で巴円・桃吾と親しくなり、初めて対等の同年代との野球を楽しむ
- 試合後ベアーズチームの様子を見て、引き分けでも楽しげに終われる経験を得る
ダイヤモンドの『罪』
- スイミングクラブで他の子供たちの心を曇らせ、その場を険悪な雰囲気にしてしまう
- 自力修得したスプリットを披露され、一度は断念したデジチャレ応募に踏み切るバンビ監督
- 「この才能を前にしておかしくならない方がおかしい」と思いつめるバンビ監督
- イガを盾に取られ、U12選考会に強制参加させられる
- ヤスの父に気に入られたために、安田家の崩壊を招く
- ヤスの退団
- ヤスとの決別
- 野球はもう嫌いになれないけれど、「でも うまくできない……」
- イガに強豪チームへの移籍を勧められる
- かけ替えのない居場所だったバンビーズの退団を余儀なくされる
- 売り言葉に買い言葉で、1番のユニフォームを地面に放り「拾って着れば」と発言
- 自棄になった綾瀬川の言葉を、円への侮辱と受け取った桃吾が暴走
- 対戦相手を気遣うあまり、「打たせてあげよう」と桃吾に提案
- 桃吾との間に深刻な亀裂が生じる 「おまえはカスや……」
- 「コイツ ずっとおんのんか」
- 綾瀬川の挫折を願うあまり他の選手を軽んじていたことに、円の声かけで気づく真木コーチ
- シニア最強のベアーズ相手に完投した綾瀬川に、わだかまりを抱くU12ナイン
(単行本2巻収録分まで)