概要
バラモン、クシャトリア、ヴァイシャの上位3階級の人生のあり方は4段階から成っている。
まず、幼児期が終わると聖なる紐を授けられて人間社会への仲間入りを告げられる。
そして、グルー(導師)のもとで聖典『ヴェーダ』の勉学と実習とともに算術、占星術、弓術、音楽などを習得する(学生期)。
生期を終えると結婚して家長として礼拝や実利につとめ、子供をもうける義務がある(家長期)。
そして、男の孫が生まれ一家が繁栄しているのを見届けたのち、かれはすべての財産や妻を子供に託して決然として森林に行って瞑想の生活を送る(林住期)。
さらにはあらゆる執着を捨て、人生最後の目標に向かって人に食を乞いながら遊行の旅へ出る(遊行期)。
とされている。
そして人生の4大目標とは、アルタ(実利の追求)、カーマ(人間にふさわしいいっさいの義務の履行)、ムクテイ(輪廻からの解放)、ニルバーナ(涅槃)である。
その人生最後の到達すべきムクテイを求めて遊行者たちは静かに死を待っている。
ヒンズー教の聖地ベナレスはすべてのインド人にとって魂の帰る場所である。ガンジス河に面したガード(火葬場)は、朝から毎日死者を火葬にする煙がたちこめている。
そして死者の骨と灰(魂の仮の住処)がガンジス河に帰されると、魂は月をめざして飛び、再び雨となって地表に帰ってきて回生(転生)が始まる。