概要
本シリーズの主人公を務める人間(エルフ)の青年。とても長い耳を持ち、常時ゴーグルを着用しているのが特徴。日本国外版では2作目以降あごひげを生やしている。
初登場時の年齢は15歳。
『ジャック×ダクスター2』(以下『2』)以降は17、18、19歳という具合に成長している。
人物
第1作目となる『ジャック×ダクスター 旧世界の遺産』では(この「旧世界」は、この項で述べている過去の世界のさらに過去に存在する古代プリカーソル文明の事を示す)、平穏な世界で冒険家を目指すひたむきな少年で、あらゆる困難に立ち向かう勇敢さと、多くを語らない寡黙さを併せ持つキャラクターだった。(現に掛け声以外殆ど台詞が無かった)
だが2作目となる『ジャック×ダクスター2』以降は、かなり喋るようになった。
親友かつ相棒のダクスターとは何だかんだで常に一緒におり、相性も抜群。
経歴
第1作目『旧世界の遺産』
育ての親であり師匠にあたる賢者セイモス・ザ・セイジィの言いつけを破って、ダクスターと一緒に“ミスト島”のプリカーソル遺跡へ探検に出かけたところ、遺跡に蔓延する禁断のエネルギーダークエコから生まれた怪物“ラーカー”とそれを率いる何者かが、そのダークエコを使い何かを企てているのを目撃する。
直後にラーカーに見つかり襲われて抵抗する最中、誤ってダークエコ溜まりの中に落ちてしまったダクスターは命こそ無事だったもののエルフからイタチへと姿を変えられてしまう。
何とか故郷サンドーバ村のセイジィの小屋まで帰ってくるも全てを最初から知っていたセイジィにこっぴどく叱られる。
変わり果ててしまった相棒を元の姿へ戻す為、遥か北の地で独りでダークエコを研究している賢者ゴル・アケロンを探す為、冒険に出る。
長い旅路を経てゴル・アケロンの城(研究施設)へ辿り着いた彼らだったが、そのダークエコの賢者ゴルこそがミスト島でラーカーを率いていた張本人だった。
彼はダークエコの研究を続けるうちにその禁断の力に魅了され、世界をダークエコで充たすという野望を成し遂げる為に行動していたのだ。
セイジィを含めた緑・青・赤・黄の4人のエコの賢者を人質兼労働力として拘束・使役し、膨大な量のダークエコが封印されたサイロ“プリカーソル・コンビナート”を開放できる力を持つ巨大ロボチューンド・プリカーソルロボットを完成させたゴルは、同じくダークエコの狂信者である娘のマイアと共にサイロから解放した大量のダークエコでジャック達を始末しようとするが、4人の賢者の反逆によって、ダークエコと対になるエネルギー・光のエコの欠片が生成され、ジャックのもとに届けられる。
小さな欠片程とはいえ光のエコの凄まじい力はダクスターを元のエルフの姿に戻す事も可能な程であったが、それに使ってしまえばゴルを倒す機会を失ってしまう。
結局エルフではなくイタチのままで生きる事を選んだダクスターの意を汲んだジャックは光のエコの膨大なパワーをロボットに叩き込み、ロボットは爆散。
ゴルはコクピットごとサイロの中に落下し、再び閉じられてゆくサイロの中で膨大な量のダークエコを浴び続け、断末魔をあげながら消滅。2人(1人と1匹)の勇敢な冒険家により、世界は守られたのであった。
第2作目『ジャック×ダクスター2』
プリカーソル文明の遺物からケイラが組み上げた時空転移装置“タイムコースター”の起動実験中、その射出口となる“タイムゲート”の謎の誤作動によって発生した異空間にセイジィ達ごと放り出されてしまい、途中で散り散りになりながらも辛うじて一緒だったダクスターと一緒に見知らぬ世界ヘブンシティに墜落する。
見慣れない光景に困惑しているうちに謎の武装集団“クリムゾンガード”に取り囲まれ、ビビって逃げたダクスターと違いジャックは連れ去られてしまう…。
それから2年後、居場所を突き止めたダクスターによって救出されるも、ジャックを誘拐した組織の指導者にしてヘブンシティの独裁者バロンによる非道な人体実験“ダークウォーリア計画”の被験体として2年間ずっと体内にダークエコを注入され続けるという、拷問にも等しい経験をさせられ続けた結果、ダークエコの怪物ダークジャックへと変身する能力を得る。
その影響から前作の寡黙で心優しい性格とはうって変わって野蛮で苛烈な発言の目立つ粗暴な性格へと変貌してしまう。
初変身時の暴走で危うくダクスターを手にかけそうになるも相棒の声で正気を取り戻し、監視の目を掻い潜りバロンの監獄から脱出した。
その先で出逢った、謎の紋章を持ち自分とよく似た髪色の子供キッドと、彼に付き添う謎の老人コールから、独裁者バロン打倒を掲げるレジスタンス組織『アンダーグラウンド』に身を寄せるよう告げられ、組織のナンバー2である男トーンやその仲間達と共にバロンへの復讐の為シティで暗躍していく事となる。
ストーリー中盤、任務の為シティ外にある廃墟街“デッドタウン”の深部にある“祠”と呼ばれる場所に向かう事になるが、その祠はかつて棲んでいたセイジィの小屋そのものであり、
この荒れ果てた世界こそ、自分達が暮らしていた世界の未来の姿だった事を知る。
組織の拠点に帰るなり“祠”の素性をトーンに問い詰めるジャック達だったが、そこにはそれまで一度も接触を許されなかった同組織のリーダーシャドウが待っており、彼と初めて対面するも、その姿を見たジャックはあまりの衝撃に言葉を失う。
シャドウの正体は前作でジャック達を導き、本作冒頭の一件で行方不明になってしまった師匠セイジィと瓜二つで、名前も同じ“セイモス”であった。(ちなみにシャドウの方が若干若い見た目。)
ジャックやダクスターは自分の過去をシャドウに語るが、本人にはそんな記憶はなく、初対面と言われてしまう。
何が何だかわからないままシャドウや彼の関係者達、行方不明だったケイラとの再会を果て、ジャックの目的は“バロンへの復讐”だけでなく“ヘブンシティの隠された真相の解明”にもなっていく。
やがてバロンの前にヘブンシティを主語・統轄していた伝説の勇者マールの墓を発見し、そのマールの子孫とされるキッド……彼に添い遂げつつも「この日が来るのをずっと待っておった…」と意味深な言葉を呟くコール達と共に墓に潜入するが、墓の最深部に祀られていた強大な力を持つ旧世界の遺産の一つにしてマールの後継者の証プリカーソルストーンを、跡をつけて来ていたバロンに奪われてしまう。
バロンの目的は、プリカーソルストーンを破壊する事により貴重な物資(主にエコ関連のアイテム)を狙って何度もシティに襲撃・略奪を繰り返す怪物メタルヘッドを排除し、シティを完全に手中におさめる事だった。
バロンの計画の障壁となるセイモス=シャドウも捉えられてしまい、先ずはセイモスの救出に向かったジャック達だったが、解放した牢屋から出てきたのはセイモスとセイジィ本人だった。
セイモスとセイジィは子孫と先祖という関係でも、声も顔も似ているだけの赤の他人でもなく、紛れもない同一人物だったのだ。(この真相と経緯は終盤で明かされる事になる。)
プリカーソルストーンの奪還と復讐劇にケリをつける為にバロンと何度目かの対峙を果たしたジャックだったが、突如コールが割って入る。
ジャックの目の前で不気味な笑みを浮かべながら、コールは遂にその本性を表す。
実はコールこそが今までシティを襲い続けてきたメタルヘッド達のリーダー“メタルコール”であり、プリカーソルストーンを破壊して古代文明の力を根絶し、世界を掌握する為にバロンやジャック達を利用していたのであった。
“ストーンを渡せ”という要求に応じず立ち向かってきたバロンやクリムゾンガードをメタルコールは一撃で蹴散らし、マールの子孫たるキッドを人質として自分の居城となる“メタルヘッドの巣”へと飛び去ってしまう。
メタルコールの一撃で致命傷を喰らったバロンは、駆け寄ってきたジャックに「我が人間兵器ジャックよ……支配者たる者、奥の手は最後まで…そう、今際の際まで、後継者にも……見せぬ…」と言い残し、隠し持っていたプリカーソルストーンを彼に託して事切れてしまう。
キッド救出とコールとのケリをつける為、2人きりでメタルヘッドの巣に乗り込んだジャック達だったが、待ち構えていたコールから全ての真相を告げられる。
・キッドは若かりし頃のジャック本人であり、勇者マールの正統な後継者。(キッドが連れていた、彼以外には決して懐かない犬“クロカドッグ”がジャックに懐いたのはこの為)
・自分の命を狙うメタルヘッド等の脅威から守り、強く勇敢な存在へと成長させてから後継者にする為に、保護者となるセイモス=セイジィの手によりタイムゲートを使って過去の世界に渡り、そこで育てられたのが1作目『旧世界の遺産』のジャック。つまりジャックが過去から未来(本来の世界)へと戻ってきたのはコールの言う通り本当に“運命”であった。
・シティに戻ってきた時点ではまだ後継者の資格を持っていたが、バロンの計画により体内に注入されたダークエコの影響で資格を失ってしまった。
・プリカーソルストーンは単なる古代エネルギーの結晶体ではなく、勇者マールの手によってプリカーソル文明“そのもの”が閉じ込められた『方舟』としての役目も持っており、マールの後継者の資格を持った者のみがその文明を解放する事が出来る。
ジャックを屠った後でキッドの“資格”も無力化し世界を支配しようとするコールに、ジャック達は“マールの後継者としての素質”を失うキッカケとなったダークジャックの力を解放しつつ最後の戦いを挑む。
敗れたコールは最後の悪あがきとしてタイムゲートに体当たりし、ゲートを1度しか使えないレベルにまで損壊させてしまう。
コールの手から解放されたキッドがプリカーソルストーンに触れた瞬間、石に封印されていたマールの意思が光となって現れ、失った筈のジャックの“マールの後継者”の資格が再びジャックの元に戻った事を告げ、ゲートの向こうへと消えていった。
そこに現代で復元(?)・完成させたタイムコースターと共にセイジィ達が駆けつける。
冒頭のものと同じサイズのタイムコースターでは乗れる人数には限度があるし、タイムゲートは一度きりしか使えない。
リーダーのメタルコールこそ斃されたものの、未だ根絶されていないメタルヘッドによる脅威は残っている。
よってジャック達がとった選択は過去に自分たちが戻る事ではなく、セイジィ=嘗てのセイモスがとったのと同じキッド=幼年期のジャックとセイモスの2人を安全に過去へ送り届ける事だった。
自分を守ってくれたお礼としてキッドからマールの紋章を譲り受けたジャックは、そのお返しとして
「9歳の誕生日の晩、ハチの巣には気をつけな」という、過去の経験からのちょっとしたアドバイスを伝え、セイモスの操縦するコースターでゲートを抜ける彼を見送った。
独裁者バロンの逝去とメタルコールの脅威が去った記念の祝賀パーティがシティのあちこちで行われ、夜空に打ち上げられる盛大な花火をバックに、育ての親にして命の恩人であるセイジィの
「自らの手で、未来を拓け!」
という言葉で、2の物語は幕を閉じる。