演:アンソニー・ヒールド
「失礼ですがマドモアゼル。あなたはレディじゃない。」
人物像
豪華客船・アルゴノーティカ号のオーナー。夢は「これまでにもない請託な豪華客船を作り上げる事」と「乗客の夢を実現させる事」。
一見すると紳士的な人物に見えるが、(金庫室に盗みに入った悪人とはいえ)女性であるトリリアンを「三流のコソ泥」と罵倒して暴力を振ったり(TV放送版では「レディを拘束するのか」と吐き捨てた彼女に対し、冒頭の台詞に代わって「あなたの何処がレディなんですか?このクソ女」とまで言い放っている)、船のシステムに異常が発生した際、クルー達に「この船は最新技術の結晶なんだぞ!」と八つ当たり同然に当たり散らすなど、傲慢な一面も見せる。
そのため、監禁室代わりに食料倉庫に監禁されたトリリアンから、逆恨みと言わんばかりに「男のクズ」と称された(しかも彼女はちゃっかりと彼の財布を密かに奪い取るという狡猾さを見せている)。
その後、何者かに船のシステムを破壊されたうえ、怪物・オクタルスに船を乗っ取られ、乗客が次々と食い殺される中、船長であり友人でもあるアサートンとわずかに生き残った乗客達と共に金庫室に立てこもっていたものの、シージャックしに来たハノーバー一味と遭遇。その際、部下の一人であるヴィーヴォを(怪物と間違えて)誤って斧で殺害してしまう(その直後、残った乗客達はメイスンに八つ当たり同然に撃ち殺されてしまった)。
やがてハノーバー一味を連れて来たフィネガンとその助手・パントゥーチ、更に食糧倉庫から脱出し、運よく生き残っていたトリリアンとなし崩し的に行動を共にし、船からの脱出に動く。
ただ、聞いてもいないのにハノーバーの名前を口にするなど、最初から彼の事を知っている様にも見えるが…。
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以後、ネタバレ
その正体はハノーバーの仲間であり、アルゴノーティカ号のシステムを破壊した張本人。
一言で言えば、「主要人物のほぼ全員が悪人」という本作の中でも屈指の大悪党である。
元々キャントンは全財産を投じて自身の長年の夢であった船を手に入れるも、船の建造費(本人曰く4億8760万ドル)と維持費で莫大な費用がかさみ、運賃だけでは赤字になってしまうため、ハノーバー一味と組み、保険金目当てで船のシージャック計画を目論んだのである(当然、この事実を聞いたアサートンは激怒。キャントンは彼から怒りをぶつけられた)。
本人曰く「乗客やクルーは安全に避難させる寸法で、怪物の出現は想定外だった」とのことだが、怪物によって船が沈み始めた際は「計画通りだ...」とほくそ笑んでおり、結果的に自分が生き残れば保険金は自分の懐に入るため、この状況すら利用しようと考えていた模様。
オーナーだけあってアルゴノーティカ号の船内構造に通じており、最初はフィネガン一行の案内人を買って出ていたが、やがてフィネガンやトリリアン達は愚か、友人のアサートンや結託していたハノーバーすらも見捨て、自分一人だけ生き延びようと企みフィネガンら一行から離脱した。
ここまでくると、トリリアンでなくても彼を「クズ」と言いたくなった人もいただろう。
その後、船に残されていたモーターボートで脱出する為、トリリアンからキーを奪おうとするのと同時に、「目撃者は全員消す」という名目で彼女を殺そうとするが、これまでの外道ぶりにキレたフィネガンから銃をぶっ放され(この際、キーをトリリアンに奪い返されている)、怖気づいて逃走。ここまで皆を窮地に追い込んできて、よく殺されなかったものである。
やがてフィネガン達が乗ってきたサイパン号を発見するも、自爆用に魚雷がセットされている事を知らずに乗り込み(その際、飛び降りた衝撃で脚を開放骨折してしまう)、自動操縦によってコントロールできずにそのまま自身の船に突っ込み、爆破に巻き込まれて死亡。
「自らの夢」と称して全財産をかけて客船を作っておきながら、自分の欲望の為に傭兵グループを雇ってまでその船を沈めようとしたものの、最後はその船と共に散っていくという、正に因果応報、自業自得とも言える死を迎えたのだった(その際、船のTVゲーム画面には、皮肉にも「GAME OVER」の文字が映し出されていた)。