胎児の夢
たいじのゆめ
胎児の夢とは、夢野久作の小説『ドグラ・マグラ』に登場する論文。
概要
作中に登場する教授、正木敬之が提唱した学説。
人間の胎児は受精後に様々な形となり徐々に体を形成して人間の姿となるが、この人間になるまでの過程が『水棲生物から現代生物までの進化の過程と同一』であるという主張。
作中では生物は『今の姿のままでいることで生まれる悲劇』を悪夢として見続けることで進化すると述べられており、人間の胎児も肉体を作る際、母親の胎内で『進化』しながらその夢を見ていると書かれていた。
──胎児よ 胎児よ 何故踊る
母親の心がわかって おそろしいのか──
上記の学説の出典
元ネタは、ドイツの発生学者・比較解剖学者エルンスト・ヘッケル (Wikipedia)が唱えた「個体発生(個体が)は系統発生(その生物が辿った進化の道筋)を繰り返す」という「反復説 (Wikipedia)」(Recapitulation theory)(1866年)と呼ばれる発生学 (Wikipedia)における理論である。
実際に、人の発生初期には、水棲脊椎動物の鰓に当たる構造や他の脊椎動物であれば尾の基礎となる構造が見られる。