概要
僕っ娘(ボクっこ)、またはボク少女(ボクしょうじょ)、僕女(ぼくおんな)は、男性用一人称の「ボク」を使う少女のこと。類義語に一人称の「俺」を使う女性を指す俺女(おれおんな)、オレっ娘(オレっこ)がある。本項ではサブカルチャー作品に登場するものを中心に、少女に限らないそれらの類義語全体について説明する。
大勢の女性キャラクターが登場する美少女ゲーム作品では、台詞の発言者を区別しやすくするため、キャラクターごとに異なる一人称を設定してキャラクターの個性を際立たせることが、作劇上の基本的なテクニックとして用いられている。漫画、アニメ、ゲームといったサブカルチャーにおけるそのような作品においては、「ボク」「僕」「俺」「オイラ」「ワシ」などの男性用の一人称を使う少女がしばしば作品に一人程度は登場しており、それらを総称する言葉として「ボク少女」やその類義語が用いられる。
このような特徴に惹かれる者もおり、いわゆる「萌え要素」としても確立している。ボク少女にはボーイッシュな性格付けがしばしばなされるが、フェミニンなキャラクターが「ボク」と自称する場合もある。叙述トリックとして利用するためにボク少女が使われることもある。
サブカルチャーにおけるボク少女は、少なくとも漫画などでは1970年代前後から散見されるようであるが、普及のきっかけとなった作品やその時期については諸説ある。
日本の女性歌手には昔から一人称の「ボク」の歌を歌うものも珍しくない。歌詞の語り手を男性に設定した“男唄(おとこうた)”と解釈できるものもあるが、そうでない例も見られる。例えば「四季の歌」(1972年)には「ぼくの恋人」というフレーズがあるが、その恋人は男性の詩人ハイネに例えられており、この歌の主体は女性であると解釈することもできる。
ボク少女と現実
前述のように、フィクションの世界において女性が男性一人称を用いることは珍しいことではないが、その一方、現代の日本においては女性が「僕」や「俺」のような一人称を用いることは社会的に歓迎されていない。
しかし近年では、現実にそのような人称を使う女性も増えているとも言われている。心理学者の富田隆はこのような傾向について、単に男友達や、フィクション作品の一人称を真似ているうちに定着してしまった場合などが多いとしつつも、男性への憧れや、既存の女性のように成長したくないという願望の現われである場合もあると説明している。
この他に女性が男性用一人称を扱う場合として、方言としての「俺」「おら」などの自称が日常的に使われている場合もある。また、江戸時代には「俺」という一人称が老若男女問わず広く使われていたこともある。
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