概要
NOIR(ノワール)は2001年にテレビ東京で放送されたテレビアニメ作品。全26話。フィルム・ノワールをイメージしており、そこから「ノワール」をとったといわれる。全編を通してやや暗いイメージで、また日本人にはなじみの薄い、宗教色が強い作品となっている。昔からミュージッククリップ的なBGMと映像の使い方を提唱してきた真下耕一にとっての成功作であり、音楽を担当した梶浦由記にとっても世間にその名を知らしめる出世作となった。
ストーリー
パリで暗殺代行業を営むミレイユ・ブーケは、ある日、夕叢霧香と名乗る日本の女子高生から顔写真添付の「Make a Pilgrimage for the Past(過去への巡礼)」という文面が記された不思議なメールを受け取る。そのメールから流れてくるオルゴールの曲を耳にして、ミレイユは驚愕する。その奏でられるメロディこそ、かつてブーケ一家が惨殺された日、殺害現場で両親が所有する懐中時計から流れていたメロディそのものだったのだ。ミレイユは霧香が一家惨殺の真相に関与していると踏み、オルゴールの曲について尋ねるために日本へと飛ぶが、霧香は過去の記憶を失っていた。そして、記憶を失いながらも、霧香が類まれなる戦闘能力を有していることを目の当たりにしたミレイユは、霧香をパリへと連れて行き、2人で暗殺ユニット「NOIR」を結成する。初めはぎくしゃくしていた2人の関係だが、様々な依頼をこなすうちに2人は利害を超えた真のパートナーとしての絆に目覚めていく。
主な登場キャラクター
夕叢霧香(ゆうむら きりか)
CV:桑島法子。
神奈川県立椿高校に通う普通の女子高生だったが、ミレイユと共にパリに渡り、ミレイユと共同生活を送りながら、暗殺代行業に従事するようになる。
過去の記憶を失っていたが、後に自分こそがブーケ一家惨殺の実行犯であったことを思い出す。普段はおとなしい無口な少女であり、野良猫に情をよせるなど心優しい性格の持ち主。人を殺めても悲しくならないことにたいして涙を流すことがある。時に幼少より培われた殺人者としての人格が表に出ることがあり、その時は目つきが異様に鋭くなる。
愛用の武器は拳銃で、イタリア、ベレッタ社製の古風なベレッタM1934を用いる。銃器類のみならず、様々な戦闘技術に秀でる。
口癖は「よいしょ。」
ミレイユ・ブーケ
CV:三石琴乃。
「もっとも信頼の置ける」暗殺代行業者。コルシカ・マフィアの有力者の家に生まれるが、幼児期に一家を惨殺され、母方の叔父のクロードに育てられる。
霧香と出会った後、暗殺ユニット「NOIR」を結成するが、霧香が一家暗殺に関係があると考えており、すべての真実が分かった時に霧香を殺すという約束をしている。当初は霧香に冷たい態度で接していたが、次第に霧香に心を許すようになる。
愛用の武器は拳銃で、最新型のドイツ、ワルサー社製ワルサーP99を使用している。戦闘能力は高いが、霧香やクロエに比べると一段落ちる。
クロエ
CV:久川綾。
アルテナに育てられた少女。戦闘能力は高く、霧香とほぼ同等。霧香にもらった小さなフォークを大事にしているように、幼い頃ブーケ一家を霧香が暗殺した光景を見たことで彼女に対し憧れを持つようになり、霧香と共に「真のノワール」に選ばれること、またアルテナから愛されることを目標にしている。
一見は冷静沈着な性格だが、ミレイユに心を傾ける霧香を見て、霧香とミレイユに対して嫉妬心をぶつけたこともある。また、アルテナの前では常に子どもっぽい振る舞いを見せるなど、精神的に思いのほかアンバランスな一面もある。
愛用の武器は刃物で、ナイフを主用する。
アルテナ
CV:TARAKO。
ソルダの最高幹部の一人で、次期司祭長候補。女性神官またはシスターを思わせる、落ち着いた印象の女性。スペインとフランスの国境付近にある「荘園」と呼ばれる地で、中世さながらの生活を送りながら、クロエに指示を送っている。
ソルダの原点ともいうべき戦火の惨状の中で産まれ育ち、その実体験からソルダの大いなる回帰を主張し、ソルダ内で多くの支持者を得ているが、敵も多い。
「慈母」と崇められる慈愛の持ち主だが、同時に「死を司る」とも畏れられ、目的のためであれば、ソルダも、慈しんでいたクロエも、己自身すら祭壇の羊として生贄にする非情さと、超一流の暗殺者の腕前を持つ。
霧香の拳銃よりさらに古風なエンフィールドNo.2を使用する。ボルヌ(後述)たちアルテナ派は、そろってソルダの紋章が刻まれた特製のワルサーPPKを使っているが、当のアルテナ自身の銃はまったく別物で、ソルダの紋が刻まれていない。