概要
炎の蜃気楼は、桑原水菜による日本の小説。全40巻。コバルト文庫刊。2002年にはアニメ化され、キッズステーションで放映。全13話。
現代に怨霊となって甦る戦国時代の武将(怨将)の闊歩する闇戦国。彼らを調伏して冥界へ送る使命を科せられ、400年間他人の体を奪いながら(換生)生き続けてきた者たちが主な登場人物。彼らの戦いと愛憎を軸に物語は展開していく。ポピュラー、ノンポピュラーを問わず、実在した歴史人物たちをモデルに、彼らの心の裡の悩み、葛藤、喜びなどを巧みな心理描写で書き出している。その今までにない卓越したストーリー性と、予想を超える展開で、若い女性たちを中心に人気を博している。主人公は、仰木高耶(おうぎ たかや、上杉景虎)で、副主人公は、橘義明(たちばな よしあき、直江信綱)。
ストーリー
城北高校二年生の仰木高耶。《闇戦国》の事件に巻き込まれた親友・成田譲を助けた謎の男・直江信綱から、自分が四百年前の歴史上の人物・上杉景虎だと告げられる。戦国武将・上杉謙信の命により、四百年間、他人の肉体を奪う〈換生〉を繰り返し、怨霊調伏の使命を遂行して生き続けてきた、上杉夜叉衆のリーダー…直江信綱の主君にあたるのだが、ある事件がきっかけで記憶を封印している状態だという。とまどい、疑念を抱く高耶だったが、譲の安全が第一だと、直江に協力する。
その後、夜叉衆のメンバーである柿崎晴家(現名・門脇綾子)、安田長秀(現名・千秋修平)も姿を現し、冥界上杉軍の夜叉衆としての活動が本格化する。高耶も〈力(りょく)〉を徐々に取り戻し、調伏も施行できるようになる。同時に封印した景虎の記憶も回復していくが、それに伴い30年前の直江との確執も兆しを見せはじめる。
景虎の力に嫉妬し、素直に彼を愛せない直江。直江の自分への固執は、高耶が直江を受け入れていない故だと思い、直江の愛を受け入れられない高耶。お互いが必要とし合っているはずなのに、歪みはしだいに大きくなっていく。