概要
初登場は1940年の『All-American Comics #16』。ゴールデンエイジ(戦前~戦中)から登場しているが、初代と2代目以降とでは大まかな設定が違うので、ここでは主に2代目が初登場した1959年以降の設定について記述する。
グリーンランタンは複数名存在する。他のヒーローも代替わりにより複数名存在することがあるが彼らの場合は事情が異なる。全宇宙の平和を守るガーディアンズ・オブ・ユニバースにより創設された、宇宙全域を守る超警察機構:グリーンランタン・コァに所属する隊員の総称がグリーンランタンである。よって、様々な姿をしたグリーンランタンが誌面に登場する。
全宇宙を3600に分けたセクターには隊員が1人ないし2人ずつ派遣され、それぞれが平和の維持にあたっている。各隊員には着用者の意志を具現化する指輪「パワーリング」と、それにエネルギーを充填するパワーバッテリーが与えられている。
登用条件は「恐怖を克服し、正義を遂行できる存在」であることであり、これに当てはまりさえすれば人外でも登用される。なので、クジラや昆虫の様な生物の他、病原菌、果ては生命体ですらない数列でも条件を満たして登用されればグリーンランタンになる事ができる。
隊員のハル・ジョーダンやジョン・スチュワートはスーパーマンやバットマンらと共にヒーローチームであるジャスティスリーグにも所属している。
パワーリング
グリーンランタンの最大の武器であるパワーリングは、ランタン型のパワーバッテリーにアクセスし、リングにエネルギーを充填することで使用可能となる。リングから発せられる緑色の光は「ソリッド・ライト」と呼ばれる固形の光で、「意志」を具現化して攻撃用ビームや様々な武器、防御用バリヤー等が可能。さらに宇宙空間も飛べる飛行能力、様々な惑星の言語を翻訳する機能、リング自体を複製する事も出来る。
ただし、一見万能なアイテムに思えるリングにも欠点がある。共通の弱点の「黄色の物体には効果が無い」。実はこれにはある秘密が隠されていた(後述)。また、エネルギーを24時間ごとにチャージしなければ、リングはエネルギー切れを起こしてしまう。しかし、コァが壊滅してた時期に活動していたカイルのリングにはこれらの弱点が排除されていた(だが、エネルギーが枯渇したときには再充填する必要があった)。
リングにエネルギーをチャージする際に各ランタン隊員たちは、バッテリーの前にリングをかざし、「グリーンランタンの宣誓」を唱える。
(原文のまま抜粋)
「In brightest day, in blackest night,No evil shall escape my sight,
(白日の昼の下、暗黒の夜の下、いかなる悪も逃さない)
Let those who worship evil's might,Beware my power... Green Lantern's light!」
(悪の力を崇める者共、グリーンランタンの光に慄け)
登場人物
グリーンランタン・コァ
ハル・ジョーダン
二代目グリーンランタン。コーストシティ出身のテストパイロット。兄弟が2人おり、父親を幼い頃に飛行機の事故で亡くしている。地球で重症を負ったグリーンランタンのアビン・サーの遺志を継ぎ、地球を含むセクター2814を守るグリーンランタンとなった。ジャスティスリーグの創立メンバー(Original Seven)の1人。
故郷のコーストシティが異星人モングルに破壊されたのをきっかけに暴走。コァ隊員を次々に殺害し、セントラルバッテリーを吸収し魔人パララックスと化す。宇宙の歴史を改ざんする「ゼロ・アワー」事件を引き起こす。しかし、氷河期に襲われる地球を救うために自らを犠牲に太陽を再生する。その後復讐の精霊:スペクターになったりしたが、「グリーンランタン:リバース」にてグリーンランタンとして復活した。
ジョーカー相手に恐怖したことはあれど、それをあっさり克服するなど、恐怖その物に対する絶対的な耐性を誇るため、別名「恐れを知らぬ男」。なので、「恐怖を体現し、恐怖を武器とする」バットマンとは相性が悪い。
二人の仲が悪いのは、「あらゆる恐怖を克服できてしまう」ハルに対してバットマンが一方的に苦手意識を持っているのが主な理由だが、ハルの方も反社会的で相手が犯罪者とはいえ力で支配する様な戦い方をするバットマンを「ヒーローに相応しくない存在」と見て批判する事が多い。ただし、基本的には一応仲間として普通に接している。
また、バットマンはバットマンで、短気で後先考えずに行動し仲間に迷惑をかけているハルに対し、特殊な力を持っているのを良い事に思い上がっていると見ている。
これらのお互いの認識については、どちらも間違ってはいない。
ジョン・スチュワート
三代目グリーンランタン。ハルの代替要員として選ばれた黒人男性。元アメリカ海兵隊員の狙撃手で、現在は建築家として働いている。惑星コルガーのグリーンランタンであるカトゥマ・ツイに訓練を受け、二人は親しくなり結婚した。惑星ザンシでの任務に失敗し甚大な被害を出した際には自殺を考えるほどだったが、マーシャン・マンハンターの言葉に救われている。その後、コァ再編に当たり復帰したハルと共に地球を含むセクター2814の担当となる。
ジャスティスリーグのアニメ版にレギュラー登場しており知名度が高い。
ガイ・ガードナー
四代目グリーンランタン。アビン・サーによって選ばれながらもハルより遠くにいたため正規ランタンになれなかった。ハルの代替要員の一人。バカまたは問題児としてキャラ付けされることが多い。別名「キチガイランタン」。マッシュルームカットで一人だけコスチュームが違うので分かりやすい。実は異星人の血を引いているため、その能力を生かして一時期「ウォーリアー」というヒーローとして活躍していた。様々な騒動を経てグリーンランタンに復帰したものの、敵対勢力とのいざこざでレッドランタンとなる。
カイル・レイナー
五代目グリーンランタン。ハル=パララックスによってコァが壊滅してた時期にガンセット(後述)によって、新たなリングとパワーバッテリーを与えられたフリーのイラストレーター。当初は乗り気ではなかったが、メジャーフォースという悪人に恋人アレックスを殺害された為に決意を固め、たった一人のグリーンランタンとして、戦いに身を投じた。リングの使い方そのものはともかく、実体化させる物を選ぶセンスはかなり良い。イラストレーターならではの使い方をする事もある。選ばれし者として「イオン」(最強のグリーンランタンと思って下さい)となったが、パララックスに乗っ取られ元のグリーンランタンに戻った。上記の3名や初代のアランと比べて、何度かコスチュームデザインを変えている。
下述される6代目やワンダーウーマンの妹分(元ワンダーガールのドナ・トロイ)との恋愛関係にあった。で、同様にドナが好きだったジェイソン・トッドと恋のさや当てを繰り広げながら珍道中した事も。ややこしいがイラストレーターのアシスタント少年が同性愛者(ゲイ)で彼に恋慕していた…
ジェニー・リン・ヘイデン
六代目グリーンランタン。生きたパワーバッテリー。アラン・スコットの娘。後にジェイドと名乗る。
クライシス後はカイルの恋人になったり、パワーリングをもらったりしたが死亡。現在は復活。
サイモン・バズ
七代目グリーンランタン。
ジェシカ・クルーズ
八代目グリーンランタン。
その他の隊員
キロウォグ
新米ランタン達を鍛え上げるグリーンランタンの鬼教官。オークみたいな姿。
口癖の「プーザー」は、故郷の言葉で「新兵」とかそういう意味だと思われるが結構連呼する。
トマー・レ
惑星ズーダー出身の鳥(映画だと魚と言われてた)みたいなランタン。名前の表記は「トマ・リー」「トマー・リ」など訳者によってバラバラ。ちなみに、担当のセクター:2813にはスーパーマンの故郷であるクリプトン星があった。
アビン・サー
ハルの前任者。シネストロの師でもあった。
アリシア
金髪ショートボブの女性ランタン。一人だけミニスカ。
あるエピソードで、トマー・レより、様々なグリーンランタンの話を聞いた。
リーズル・ポン
グリーンランタンの一人。超知性を有した天然痘ウイルス。
ドクルッツィ・ルルゥ
グリーンランタンの一人。実体が抽象数理数列であるため、その存在が人間など通常の異星人では感知できない。
モゴ
グリーンランタンの一人。「銀河最大の脅威にして謎の存在」と呼ばれているグリーンランタン。とある惑星に住むと言われている。巨大な身体をしており、トマー・レいわく「人付き合いが苦手な質」。
協力者・関連人物
ガンセット
グリーンランタン・コァの創設者:ガーディアンズ・オブ・ユニバースの1人。
ゴールデンエイジにゴッサムシティで活躍した初代グリーンランタン。初代フラッシュとは長い付き合い。力の根源がグリーンランタン・コァとは全く違うため、後に名誉隊員に任命されるまで長い間隊員としてカウントされなかった。
初代の使用するランタンはパワーバッテリーではなく、宇宙中の魔力が込められた特殊な隕石=スターハートを加工して作られた不思議なランタンを所持している。が、このスターハートに込められた魔力は、かつてガーディアンズによって封印された物。なので、実はコァとも妙な因果関係があったりする。また、植物と密接な関係があるため、木で出来た物にはパワーが効かない。
初代から色々付き合いが多い。また、ハルと2代目フラッシュ:バリー・アレンは公私に渡る友人でもある。が、ハルがバリーにしょっちゅう金を借りてる。
本名オリバー・クィン。弓矢を扱うヒーロー。ハルの友人の1人。
キャロル・フェリス
ハルの勤務するフェリス航空のオーナーであり恋人。「スターサファイア」というヴィラン(最近はヒロイン寄り)になったりする。
ヴィラン
本名はサール・シネストロ。元セクター1417担当ランタン。かつて「最も偉大なグリーンランタン」と呼ばれていたが、故郷の惑星コルガーで独裁政治を行っていたことがバレて追放された。その後反物質世界の惑星クワードにてパワーリングと同じ能力を持った黄色いリングを作り上げ、ヴィランとして帰還する。
後に自身の名を冠し、パララックスの「恐怖」を掲げ、恐怖を武器とする者たちで構成されるヴィラン・チーム「シネストロ・コァ」を結成した。実は入隊条件のせいでバットマンがスカウトされてこともある。奥さんはアビン・サーの妹アリン・サー、娘のソラニク・ナトゥはグリーンランタン・コァに所属している。
ちなみに彼の正式種別名称は「イエローランタン・コァ」という。
ヘクター・ハモンド
頭のでっかいオッサンでサイキック系のヴィラン。実写映画版のメイン悪役。
ブラックハンド
元葬儀屋。パワーリングのエネルギーを反射・吸収するディヴァイニングロッドと生命力を吸収する義手が武器。「ブラッケストナイト」事件の首謀者の一人で、ブラッケストナイト序盤にて家族を殺害した後に自身も自殺。『死』を司る化身「ブラックランタン」となった。
マンハンターズ
ガーディアンズが宇宙に秩序をもたらす為に作りだしたロボット軍団。しかしシステムに異常をきたし、宇宙制圧に乗り出した。その為にグリーンランタンコァに取って代わられる。
かつてはハルが変貌した魔人かと思われていたが、近年「リバース」事件にてその実態が明らかになった。悠久の時代、全宇宙に知性体が誕生した瞬間に生まれた超古代の怪物で、ガーディアンズたちによってセントラルバッテリーに封印されていた。
パララックスは“恐怖”を具現化した怪物であり、黄色で象徴されていた。このため、セントラルバッテリーに黄色の不純物が紛れ込むようになり、グリーンランタンの力は黄色には効かないという弱点が発生したのである。そして、最強のランタンと呼ばれていたハルに狙いを定め、徐々に恐怖を植えつけて行き、後の狂行へと走らせて自らを解放。そのままハルに寄生した。だが、復活したハル、カイル、ジョン、ガイ、キロウォグの5人のグリーンランタンは力を合わせて怪物パララックスに立ち向かい、ついにパララックスを再びセントラルバッテリーに封印するのであった。
この事件をきっかけに少々厳しい条件付きではあるものの、パワーリングの弱点だった「黄色の物体に効果が無い」が取り払われた。
パラレルワールド、正義と悪の存在が反転した世界「アース3」におけるグリーンランタン
本編でも幾度か対戦した経験あり。
2代目グリーン・ランタンであるハル・ジョーダンの歪んだ鏡像であり、ハル・ジョーダンが「恐れを知らぬ男」なのに対して「宇宙一の臆病者」。
裕福な富豪が殺されてゴッサム・シティの沼地へ捨てられ、数十年後にゾンビとして蘇り不死身の肉体と怪力を持ったおそるべきモンスターとなった。
そのパワーは多くのヒーローを圧倒し、その不死身さゆえスーパーマンですら完全に倒すことが出来ない。
レッドランタン・コァ
アトロシタスによって作られたアンチヒーロー組織。また、「憤怒」を司る赤い光のパワーリングのこと。選出基準は「強烈な憎悪、憤怒を抱いた者」。
元グリーンランタンのレイラや、(例のように)ハルがとりつかれた。実はリングが心臓機能も果たす為、心臓が取られても問題ない。
レッドランタンのリーダー。『生命を奪い尽くす事で宇宙の秩序は完全に保たれる』という結論に達したマンハンターによって引き起こされたセクター666の大虐殺の生き残りの1人。彼らはマンハンターを作ったガーディアンズを憎み、オアに対するテロリスト『5人の反転者』となった。
デクスター
ぬこ。その外見に似合わず、レッドランタンで最も残虐で凶暴。元々地球の飼い猫だったが、飼い主は強盗に殺され、自分もチンピラに袋詰めにされ川に投げ込まれたことで殺意に目覚めリングに選ばれる。そして飼い主の復讐を遂げ、地球に来ていたアトロシタスにくっ付いてゆく。
レッドランタンコァのデザイナーが、冗談で描いたのが採用されたらしい。
映画
『グリーン・ランタン』
2011年公開。マーティン・キャンベル監督の実写映画で、主人公はハル・ジョーダン(演じるのはライアン・レイノルズ)。
ライアンは本作で共演したブレイク・ライブリー(メインヒロインのキャロル・フェリス役)と後に結婚している。
興行成績が振るわず、後年マーベルコミックサイドの劇場版『デッドプール』で同じく主演を務めたライアン自身が「駄作」と自虐ネタにするなど、一部のファンから黒歴史扱いを受けている。
しかし後年になって再評価が進み、作品の品質と自由度の高いアクションシーンに加え、主人公ハル・ジョーダンの成長ドラマの丁寧な描写、二つを踏まえた王道のヒーローストーリーとしての完成度の高さが注目される。
一方で「前半のコメディー路線と後半のシリアス路線で雰囲気がちぐはぐ」、「作品の世界観とキャラクターデザインが合っていない」、「見せ場が分からない」など、シナリオ構成の不完全さが低評価を招いているという指摘もある。
DC Extended Universe
2017年公開の実写映画。後述の単独主演作の先行登場という形での出演となった。
ヤラン・グル(Yalan Gur)が回想シーンに登場し、過去に人間・アマゾン族・アトランティス人と協力してステッペンウルフの軍勢と戦い、これを撤退に追い込んだことが語られている。
ジョン・スチュワートが登場予定だったが、マーシャン・マンハンターに差し替え。
本シリーズのヴィランである「ジャベリン」が登場。
DC Universe
ガイ・ガードナーが登場。
演者のネイサン・フィリオンはアニメ作品においてハル・ジョーダンの声を担当していた。
ドラマ
『ヤングスーパーマン』
ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカの回でアラン・スコットとリングが登場した。
グリーンアローの単独作。ハル・ジョーダンと名のついたジャンバーを着た男がカメオ出演した。2020年のファイナルシーズン最終エピソードで、ジョン・ディグルが緑色のリングを拾ったシーンが挿入された。脚本のマーク・グッゲンハイム繋がりで下記の『グリーンランタン(HBOmax)』との関係があるかもしれない。
『スターガール』
アラン・スコットのリングが登場した。
『Green Lantern Corps』
DCEUで製作予定だった作品。
おそらく『Lanterns』に路線変更されたものと思われる。
『Lanterns』
HBOでの製作が決定したドラマ。DC Universeに属する作品。
ハル・ジョーダン・ジョン・スチュワートが登場。
アニメ
1996年~2000年に放映された『スーパーマン』ではカイル・レイナーやシネストロが登場している。
2001年~2006年に放映された『ジャスティスリーグ』『ジャスティスリーグアンリミテッド』ではジョン・スチュワートがメインで登場。ランタン・コァのメンバーやハル・ジョーダン、カイル・レイナーもゲスト出演している。
『ザ・バットマン』
2004年~2008年に放送されたアニメ作品。一部にハル・ジョーダンが登場。
2009年~20011年に放送されたアニメ作品。ガイ・ガードナーやキロウォグ、ハル・ジョーダン等が登場。
YouTubeで配信されている女児向けアニメ。スターサファイア、ジェシカ・クルス、ハル・ジョーダン、シネストロが登場している。
OVA
『グリーンランタン:ファーストフライト』
『グリーンランタン:エメラルド・ナイツ』
ゲーム
DCコミックスのキャラクターで戦う対戦型格闘ゲーム。
ハル・ジョーダンとジョン・スチュワート、レッドランタンからアトロシタス(デクスターも付き添い)がプレイアブルキャラクターとなっている。
DCアンチェインド
2018年から配信されているDCコミックスのキャラクターで戦うアプリゲーム。
余談
マーベルとの大規模クロスオーバー「DCvsマーベル」では、シルバーサーファーと対決。
カイル・レイナーが活躍していた時期だったため、彼がグリーンランタンとなってサーファーと戦っている。イラストレーターであるカイルらしく、ランタンのパワーリングから放つソリッドライトを用い、複雑なデザインの武器やアーマーを作って対決した(ちなみにその時のアーマーのデザインは、日本の某宇宙の騎士に似ていたりする)。しかし結果は、シルバーサーファーに一歩及ばず敗北。
「アマルガム」では、アイアンマンと合体。「アイアンランタン」というヒーローとなった。
そのアーマーのデザインは、アイアンマンアーマーと、グリーンランタンのランタン型パワーバッテリーとが融合されたものになっている。