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ラピスの心臓

らぴすのしんぞう

「ラピスの心臓」とは小説家サイト「小説家になろう」で連載中のオンライン小説、および漫画。
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概要

小説家になろうで連載されているweb小説。作者は羽二重銀太郎氏(元々は書籍版の名義で、なろう版では”おぽっさむ”名義だったが、2024年よりなろう版も書籍版と同名義になった)。


2011年3月から連載開始。途中、作者の持病に起因する病気療養や親族の相次ぐ急逝等による精神的、肉体的疲弊が原因で約2年の中断期間はあったものの、2021年5月に第一幕が完結した。

書籍版は2014年にエンターブレイン(後にKADOKAWA )より発売。珍しく挿絵はカラーで絵は一色箱氏が担当。2020年の第3巻まで刊行されたが、惜しくも打ち切りとなる。尚、第3巻と同時に電子書籍版も刊行されたが、書籍版契約の終了により2021年10月31日に販売を終了した。同年11月に権利が出版社から作者へ返上され、サブスクリプションによる配信予定と発表された。

2024年2月22日、ピッコマ内のbuncomiチャンネルにて漫画版の連載が開始(作画:路那氏)。


本格派ファンタジーでライトノベルの枠に収まっていない内容なのが特徴。

文章は三人称式。なろう系の中でも際立って構成力と語彙力が高く世界観は独創的で一部は和を取り入れている。他に限られた登場人物の名前には石の名前や虫、外国語が入っている。

名称は異なれど「剣と魔法」の世界であり、話の筋はファンタジーの王道譚である。

登場人物の癖が強いのも魅力で、特に主人公を慕う美少女達以外に最強男性陣が主人公が大好き過ぎてヒロイン枠を確立し、色々な意味でなろう系でお馴染みの「ハーレム」作品ともなっている。

定番の「俺TUEEE」、「ハーレム」の他に「戦争」はあれど、驚くべき事に「性暴力」、「寝取り」描写は一切書かれていない。

その点で苦手な方でも読みやすく、ご都合展開に辟易した読者ならこの作品を読む事を強くお勧めする。

ただし、第一幕が終わるまで十年を要しており完結まで読者は長い根気が必要。


小説を読もう!の検索の際は情報のキーワードが一切入っていないので、タイトルで探す事をお勧めする。


物語

灰色の森に覆われた世界。

森には<狂鬼>という怪物がひしめき合い、人々に恐怖をもたらしていた。

生物には<輝石>と呼ぶ器官を宿し、人間は左手の甲に現れる。色彩豊かな石は<彩石>と呼び、晶気といった特殊な力を操る事ができる。一方で白濁した石は<濁石>と呼ばれ、何の力もない。

故に人類社会で<彩石>を持つ者が特急階級の座に就き、<濁石>を従属させていた。


ムラクモ王国王都に、醜い火傷で片目を失った名も無き幼子がいた。


幼子は<アマネ>と名乗るヒトゴロシの女性と出会い、生きる為に彼女の弟子となる。

名を<シュオウ>と名付けられた彼は狂鬼が巣食う<深森>の中で壮絶な鍛錬が始まった。


十二年後。

成長したシュオウは師の反対を押し切って人の世へ旅立つ。

懐かしき王都に戻り、彼は深界踏破訓練の従士試験を経て入隊する。

仲間との出会いは新しい感情を芽生えさせ、ときに苦悩し、学び、シュオウは少しずつ成長していく。

彼が平民で<濁石>でも圧倒的な力は常識を覆し、身分を超えて人々を魅了していった。


血に縛られる美しき公子。

居場所がない孤独な傭兵。

主君を待ち焦がれる北の狂人。

そして、シュオウを恋い慕う少女達。

病みゆく王女は、彼を我が者にするべく玉座を目指す。


人との繋がりを誰よりも愛したシュオウを、やがて皆は英雄と呼んだ。

しかし光ある栄光の裏で影は広がり、嫉妬、憎悪、愛執が複雑に絡み合い、負の連鎖が悪逆なる形でシュオウに突如襲い掛かる。


喪失の先で―――シュオウが決断した答えは…。


登場人物(ネタバレ注意)

主要人物

本作の主人公。ムラクモ王国出身。階級は従士。

幼少期、孤児で貧困街を彷徨っているときにアマネに拾われ、12年間深界で修行を受ける。

帰郷後は軍に入隊し、瞬く間に頭角を現していく。黒い眼帯が特徴の銀髪黒眼の青年。

戦闘は前衛型。人体の破壊技術を取り込んだ近接格闘術を扱う。

身長は175㎝。自称20歳。

輝石は<濁石>。


  • ジェダ・サーペンティア

公爵令息。ジュナの双子の弟。ムラクモ王国出身。右軍所属。階級は輝士。

候補生の時から神出鬼没で謎多き人物。アデュレリア領訪問でサーサリアが失踪する原因を作り、シュオウからは疎まれている。

実は平民の母から生まれた庶子で双子の姉ジュナから引き離され伯母ヒアナや異母兄弟達から酷使されている。戦争もその一環で北方諸国との争いでリシア教会上層部の身内を殺めてしまい、身柄を欲したターフェスタ公国が特使ショルザイを派遣しグエンとの密約が成立。公国への特派大使護衛の任を受け、国や父から生贄に出された意味を悟り半ば自暴自棄となる。そして殺人事件の冤罪で囚われ、拷問を受けるもシュオウ達の活躍で救出される。彼に覇者の器を見出してからは崇拝に近い念を抱くようになり、自ら剣となる事を誓う。

ユウギリ戦争ではシュオウの為に独立部隊を起ち上げ、副官として奮闘。途中で彼の協力で姉ジュナをムツキ要塞で匿う事に成功する。初戦で各分隊を援護し成果を挙げていたが狂鬼タイザの群れの乱入で負傷。惜しくも撤退を余儀なくされる。

ユウギリ滞在中に異母兄ゼランの横やりで第二戦が開始され、独立部隊を大半失う。続けてシュオウが上官殺害未遂で収監されるも彼の殺意を込めた願いを光栄に受け入れ、家を捨てて忠誠を示す。仲間達と謀反を起こし、姉と共謀してゼランや一味を虐殺した後は公国へ亡命した。

性格は皮肉屋で捻くれ者。シュオウとの和解後は信頼できる友を得た事で表情が穏やかになる。ちなみに彼の相棒を自負しているせいか嫉妬深い一面がある。

参謀役として交渉や謀略も担当。基本的にシュオウが関心を示す人間以外に興味はなく、彼の身辺には自ら統制し裏で掌握しなければ気が済まない。特にシュオウに恋愛感情を寄せるアイセ達女性陣には態度が厳しく、不満を抱かれている。

戦闘は中衛遊撃型。作中の風使いの中では父に次ぐ上位で晶気の操作は天才的。ただしシガやクロムと異なり体力は凡人並み。

黄緑色の長髪で女性のような怜悧な美貌を持つ青年。年齢は23歳。身長は180㎝。

輝石は<彩石>。色は黄緑。属性は風。具現化は刃やムチ、糸等。攻防、罠など形状は多種多様。

名前の由来は本翡翠<ジェダイド>と蛇紋石<サーペンティン>と思われる。


  • アイセ・モートレッド

伯爵令嬢。ムラクモ王国出身。宝玉院主席の才女。階級は輝士。

卒業試験でシュオウ達と同じ班になり、始めは平民を見下し高慢に振舞っていたが狂鬼の襲来で出鼻を挫かれてしまった。

道中で頼りになるシュオウに強く惹かれ、恋慕の情を抱くようになる。輝士となった後は各部署へ回され多忙な中でも彼の勤務地にプレゼントを贈りアプローチを繰り返す。

宝玉院で教官の任に就いているときにシュオウと再会。浮かれていたものの知らぬ間に父の忠告を受けたシュオウから距離を置かれてしまう。

ターフェスト公国への特派大使護衛の任では罠に嵌められ、シトリと地下へ逃げ延びるも殺人事件の目撃者を発見。観察部隊の襲撃で窮地に陥るがシュオウに救われ無事に帰還する。

ユウギリ戦争ではジェダからの引き抜きで独立部隊に異動。第一戦でシュオウの作戦で<濁石>の部隊を敵の砲撃から守護し死傷者を出さなかった。

しかしユウギリ滞在中に第二戦が始まり、独立部隊を大半失う。後日シュオウ達による謀反が起き、彼への想いを捨てきれず謀反に加わる。家族への未練を残しつつ公国へ亡命した。

性格は真面目で完璧主義者。異母兄姉がいたが卒業試験で亡くなっている。

戦闘は前衛型。剣や壁といった晶気の長時間の固定化が得意。作中では主に晶壁が活躍している。

金髪の美少女。独特の美的センスの持ち主で、金銭感覚もズレている。年齢は18歳。身長は163㎝。

輝石は<彩石>。色は淡い緑色。属性は風。具現化は剣。

名前の由来は風<バスク語アイセ>と思われる。


  • シトリ・アウレール

子爵令嬢。ムラクモ王国出身。階級は晶士。

卒業試験でシュオウ達と同じ班になるが、最初から合格する気はなく密かにシュオウに脱走の手引きを求めたが断られた。狂鬼を倒したシュオウの雄姿に惚れこみ、晶士となった後は各部署へ回され多忙な仲でも彼の滞在先にプレゼントを贈りアプローチを繰り返す。

宝玉院で教官の任に就いているときにシュオウと再会。不真面目な態度が原因で保護者から大クレームをくらい、主師マニカの監視下に置かれる。

ターフェスタ公国への特派大使護衛の任では罠に嵌められ、アイセと地下へ逃げ延びるも殺人事件の目撃者を発見。観察部隊の襲撃で窮地に陥るがシュオウに救われ無事に帰還する。

ユウギリ戦争ではジェダからの引き抜きで独立部隊に異動。初戦でターフェスタ軍の晶士部隊に大打撃を与える。しかしユウギリ滞在中に第二戦が始まり、独立部隊を大半失う。後日シュオウ達による謀反が起きるが、彼への想いから迷う事なく参加を示し公国へ亡命した。

性格は怠惰で自堕落。関心の示すものには一途かつ前向きで行動的。割と言葉は確信を突いており、観察力は高い。アイセの家庭とは異なり、平民を先祖に持つ成り上がりの血筋である母親からはシュオウとの結婚を応援されている。仕事を辞めてシュオウとの子供を育てる事が理想。書籍版ではシュオウの初キス相手。

戦闘は後援固定型。晶気を圧縮し高威力、広範囲の技を放つ事ができる。

水色のウェーブヘアで豊満な肉体を持つ。年齢は18歳。身長は158㎝。

輝石は<彩石>。色は水色。属性は水。具現化は砲弾。

名前の由来は黄結晶<シトリン>と思われる。


  • ガ・シガ

南方国出身。傭兵。三脚を操るガ族最後の生き残り。

唯一の血縁者であった祖父の死後は暮らしていた山から離れ町へ移住。しかし力を欲した権力者達から幾度の裏切りを経験し、暴れた末に居場所を無くし人間不信に陥る。ア・ザンに騙されて捕縛され、価値を理由に生かされたものの相棒の三脚は衰弱死させられた。

拷問室で囚われていたときにシュオウと出会い、彼の渦視要塞奪還作戦で解放される。相棒の死で正気を失い暴虐の限りを尽くすがシュオウに敗れ、傭兵として雇われた。

やがてシュオウの傍を居場所と感じ、悪態をつきつつも献身を見せていく。シュオウの意向で宝玉院に滞在し、一部の生徒に洗脳に近いスパルタ式の教育を施した。ターフェスト公国への特派大使護衛の任はシュオウ達と一旦別れて町を放浪し、ヴィシャの元に身を寄せる。シュオウの命令でデモに紛れ、ジェダの救出と共に帰還する。

ユウギリ戦争では独立部隊で活動。初戦でシュオウと共に敵軍に特攻し、途中で現れたクロムを捕らえた後は司令官ゴッシェを単身で討伐。ユウギリ滞在中に第二戦が始まり、独立部隊の死に消沈する。謀反には率先して参加を示し、クモカリ達を気遣いつつ公国へ亡命した。

性格は好戦的で粗暴な態度とは裏腹に内面は繊細かつ仲間想い。シュオウには基本従順。先端恐怖症。根が単純で頭脳戦は苦手。意外と恋愛小説を嗜む。

戦闘は最前衛型。人間を容易に引きちぎる程の剛力であり、素早さも高く感情が高ぶると狂戦士と化す。作中で属性の中では最上位。近接格闘が主だが武器も扱い、三脚がいないのでまだ実力は未知数である。

青黒い短髪に褐色肌。野性的な風貌を持つ大男。顎に一つ黒子がある。異常なまでの大食い。

輝石は<彩石>。色は太陽。属性は肉体強化。具現化は全体。

名前の由来は柘榴石<ーネット>とシュンガ石<ュンイト>思われる。


  • クロム・カルセドニー

ターフェスタ公国出身。観察部隊「猛禽」所属。コードネームは「クマタカ」。

名家に産まれながらも領主ドストフへの忠誠を拒み、自ら左遷された変わり者。

占いと賭け事を好む運命崇拝者で自分に相応しい主君を待ち望んでいる。ジロが扮した適当な占いでシュオウの存在を知り、ジェダに放った己の必中必殺の矢を片手で止めた事で確信する。

ユウギリ戦争の初戦で母国を裏切るべく最前線を希望し、友軍を殺めてシュオウが率いる独立部隊に駆けつけたがシガに気絶させられ捕虜としてムツキ要塞の牢へ収監された。

第二戦後、シュオウが上官殺害未遂で捕まり彼に他国への移籍を提言。忠誠を認められ謀反に嬉々として参加し輝士達に恐怖を植え付けた。帰国後は冬華の一人である兄ネディムの博打で一族総出でシュオウを支援する。

驚異的な遠距離視力を持つ凄腕の弓兵で類稀な身体能力も兼ね備えた武人。しかし躊躇なく子供や味方を殺める狂人でもあり、常に愛用のサイコロで標的の命運や行動を決めている。

性格は明朗快活で唯我独尊。他者に無関心であり、人の名前を覚えず独特なあだ名をつけては勝手に忘れる。ジェダとシガと並ぶ猛者であるが、武功を捧げる主君が不在でやる気がなかった事や本人の奇行のせいで母国から正当な評価はされていない。

天啓を受けてからはシュオウを「我が君」と呼び、熱烈的な忠誠心を抱いている。彼の命では冷静かつ従順であり、本来の実力を遺憾なく発揮していく。

戦闘は後援型。応用で晶気を矢に纏わせ、長距離で飛ばす事もできる。弓だけでなく近接武器も扱い、体術もこなす。

容姿は赤みを帯びた灰髪を持つ偉丈夫。タレ目で焦点はシュオウと標的以外定まっていない。

輝石は<彩石>。色は深緑。属性は風。具現化は矢。

名前の由来は透輝石<クロムダイオプサイド>と玉髄<カルセドニー>と思われる。


  • クモカリ

非戦闘員。ムラクモ王国山岳村出身。

元は孤児で義父に穏やかな老後を過ごさせるべく自分の店を持つ夢を抱いている。

従士試験でシュオウ達と同じ班になり、合格後は賞金で幼馴染の夫婦と共に王都で喫茶店<蜘蛛の巣>を開店する。軌道に乗っていたが義父の急死で己の生きる目的を失い、消沈のままアデュレリア領へ流れ着く。酔った状態でシュオウ達と再会し、そのままムツキ要塞に運ばれ王都へ戻らず独立部隊の料理番兼金庫番としてシュオウ達を支えていく道を選ぶ。

シュオウの不在中、アスオンの命令で第二戦で独立部隊の兵役に使わされたが負傷を負いつつ生還する。シュオウを案じ、共に公国へ亡命した。

同性愛者オネエ。筋肉粒々の巨漢で禿げ頭。化粧をし、異様な外見を持つが中身は社交的で非常に心優しい性格の持ち主。ムツキ要塞では化粧を止め、髭を伸ばすようになった。年齢は25歳。身長は190㎝。

輝石は<濁石>。個人の腕力は強いが純粋な戦闘力は低く、食事等の雑用を担当。


  • ジュナ・サーペンティア

公爵令嬢。ジェダの双子の姉。非戦闘員。

平民を母に持つ庶子で、<彩石>を持つ弟は異なり<濁石>を持って生まれた。この出生故に双子の存在を知った一族に足を奪われ軟禁生活を送る。

ターフェスタ公国との外交事件後、ヒアナの独断で監視が強化され困窮するもジェダとシュオウに救出される。アデュレリア家に保護される予定であったが自ら交渉して影狼リリカを護衛に就かせムツキ要塞に隠れ住む。

リリカの協力で要塞内の人間関係や情勢を調査し、サーペンティア家の影蛇達を捜索。初戦後ではシュオウの名声を高めるべく裏で暗躍し、アスオンの信頼を失墜させた。

第二戦前は自らアスオンの凶行を止めようとしたが効果は得られずに終わる。自らを餌に影蛇ユギクを捕縛した後、謀反に伴いジェダと共謀してゼランを惨殺。幽閉の身から表舞台に立ち、公国へ亡命した。

態度は淑女そのものだが本質は血族に勝る。伯母ヒアナを彷彿させる残虐性を持ち、弟よりも苛烈で狡猾。肝も据わっており、洞察力に長け、情報を推理し読心術も得意とする。

母を死に至らしめ弟を酷使した一族に激しい恨みを抱いている。ジェダの心を誰よりも理解しており、主君となったシュオウを共に支えていく。年齢は23歳。

容姿は黄緑色の髪に銀瞳を持つ絶世の美女。

輝石は<濁石>。


東方国・ムラクモ王国

王族

  • サーサリア・ムラクモ

王女。<天青石>の後継者で唯一の王位継承者であり、次期女王。愛称は「サーサ」。

幼い頃に虫の狂鬼によって両親が目の前で殺害された恐怖心から精神を病み、花の毒で現実を逃避し続けている。身心を蝕み、常に情緒不安定でヒステリックに振舞う暴君。

グレンの指示で療養としてアデュレリア領へ遊学し、花を求めて森を探索中に狂鬼の襲撃に遭い付き添っていたシュオウ以外の親衛隊は全滅。シュオウとの逃亡生活で内面が変化していき、花から脱却できた代わりに彼に依存に近い恋情を抱くようになる。

シュオウを我が者にするべく交換条件にアマイを親衛隊長に任命し、彼の教育で今まで放棄していた王族の責務を少しずつ学び始めていく。しかしアイセやシトリの存在に嫉妬に狂い、一度は餓死しかけたがシャラの叱咤で我に返り、視察を名目とした修行の旅へ王都を発った。

回復後にシュオウへの恋しさからムツキ要塞の視察に訪れ、公衆の面前で彼を抱擁し寵愛を露呈してしまう。負傷者の慰問を行なった後は一旦去るも、再びユウギリで彼と仲間を招集し、その場に倒れたシュオウを自らの晶気を使い監禁。ジェダ達や親衛隊によって解放させられてしまい、シュオウからは帰る意味で直に私物の外套を渡される。

後日、シャラからシュオウが謀反を起こしてターフェスタ公国へ亡命した事を知らされ、彼女と共に迷いなく深森へ潜り後を追う。そこでアデュレリア家の暗殺者一行の追撃に遭い、更にアマネの奇襲で意識を失った。アマネの尋問を受け、シュオウと深い繋がりを持つ彼女の旅に同行する。

親の死後は孤独な環境で育ち、精神は幼い。遊学後は真剣に女王を目指すようになったが根本は全てシュオウへの想いで占めていて、恋情は危うげなまでに一途。しかも異常に嫉妬深く、シュオウを慕う女性や男性には嫌悪や殺意を抱く程。元から王族としての器量は備わっており、未熟ながらもアマイやシャラの助力で徐々に成長していく。外的な負傷には丈夫。

黒髪青眼で人間離れした恐ろしい美貌を持つ少女。20歳。

輝石は<彩石>。色は青。属性は毒。具現化は霧。毒、眠り、麻痺といった特殊効果を持つ。逆に癒しにも有効であらゆる毒を無毒化する。

潜在能力は非常に凶悪であり、更に<燦光石>を継承すればアデュレリア家とサーペンティア家の双方を上回る程。古では毒の竜とも称されている。


貴族

  • グエン・ヴラドウ

王不在の王国を統べる最高権力者。王轄府の頂点にして「近衛軍」を率いる元帥。

アミュを超える年月を生きており、実年齢を知る者はいない。何代もの王に仕えた実績を持ち、長らく王国に善政を敷いた人徳から民衆や貴族からの支持は厚い。ただし王族派貴族からは王族への忠誠心を持たない人物として不信感を向かれている。

過激ながらも輝士と晶士の育成の為に宝玉院卒業試験を強行している張本人でもある。<燦光石>の名称から畏怖と敬意を込めて「吸血公」と称されている。

その正体は大昔に東地を統治していたアマテア王に仕えていた先住民。本名はグレン・ヴラドウ。

ムラクモ家によって祖国を蹂躙された恨みから王家に強い憎悪を抱き続け、血族を断絶するべく先代女王と息子夫婦を暗殺し、<天青石>を個人で保管。アマテア王家再興の為に子孫を捜索し続けている。

作中では国の治安維持と是とし、アベンチュリン国の人質事件では一度は救出を却下し、ターフェスタ公国との密約では停戦を条件にサーペンティア家から強制的にジェダを生贄に出させている。警戒していたアデュレリア家には療養を目的としたサーサリアの遊学で狂鬼アカバチを使役して襲わせ、力を削ごうと企でたが三つの事件共にシュオウが悉く計画を打ち壊した。やがてアマテア王家の血が絶えてしまった可能性と長きに渡る安寧秩序からムラクモ王家の根絶やしに迷いが生じてしまい、一度はシュオウの力を不要と切り捨てるも、彼の人間性と有能さを認め活躍に期待するようになる。

しかしムツキ要塞の謀反が勃発し同時にサーサリアの失踪も起き、立場が窮地に陥った矢先に現れたアマネによって<燦光石>のある腕を強奪される。アマネとの取引で太古に滅びた王族の<燦光石>と宝の在処を教え、改めて王家再興を決意し帰還した。血縁者はおらず、養女にイザヤがいる。

質実剛健な人物で笑う事は滅多になく、一部からは神に等しい存在と認識されている。内面は人間味はあり、自身を化け物と呼ばれる事を嫌う。

白髪で武人風の壮年の男性。本来の姿は若く、アマネとの対談後は戻している。

輝石は<燦光石>の<血星石>。色は赤黒。具現化は蟲。蟲を操り、種類によって狂鬼を使役できる。体内にアカバチの女王を埋め込んでいる。

名前の由来は玄武石<グエンブラック>、玄能石<グレンドナイト>と血星石<ブラックストーン>の血<英語発音ブラドゥ>と思われる。


  • イザヤ・ヴラドウ

グエンの副官。南方国出身。階級は重輝士。

ムラクモ王国に滅ぼされた国の孤児。グレンに拾われ養女となり、身も心も献身的に尽くしている。

グエンが狂鬼と通じている現場を見てしまい、彼に狂鬼の一部を体内に挿れられるが死なずに寄生される形で適合する。グレンに絶対服従の肉体となり、裏切らない存在として変わらず傍に置かれている。褐色肌の妙年の女性。

輝石は<彩石>。


  • アミュ・アデュレリア

公爵。左硬軍「氷狼輝士団」団長。階級は重将。土着貴族の代表格。

若干12歳で<燦光石>を継承し、百年の年月が流れても老化は進行せず停滞し続けている。

宝玉院卒業試験の監督として赴いたときにシュオウの実力を目にし、左軍の従士長に引き抜こうとしたがグエンの一存で却下されてしまう。

個人的にシュオウを非常に気に入っており、アベンチュリン国の脅迫事件では協力し、サーサリア王女の一件で彼に大きな借りができてからも一族総出で好意的に支援し家紋入りの剣を下賜した。

シュオウの願いでジュナの保護も一度は受け入れたが、彼女との交渉で影狼リリカを護衛に貸し与えた。

ユウギリ戦争ではシュオウの謀反を領地奪還の好機と捉え、大軍を率いて王国内で反乱を起こそうと企てる。

有能な人材を好み、常に日ごろから積極的に確保に動いている。貴族の中では珍しく、<輝石>と個人の能力は別という考えの持ち主。

シュオウからも深く信頼されており、祖母と孫のような関係に近い。サーサリアに強く叱咤できる数少ない人物。

外見は幼いが年相応に老獪でムラクモ王国屈指の女傑。薄紫色の長髪に紫色の瞳を持つ美少女。実年齢は百。

輝石は<燦光石>の<氷長石>。色は藤色。属性は氷結。具現化は創造。

名前の由来は護符<英語アミュレット>と氷長石<アデュラリア>と思われる。


  • カザヒナ・アデュレリア

アミュの副官。階級は重輝士。

非常に多才な人物でアミュからの信頼は厚い。カナリアとは親友でライバル同士。

個性を持たない鏡のような特性を持ち、人によって性格や態度、口調を変えて対応する。一部の者や妹から薄気味悪がれており、本人も気にしている。

アミュ同様にシュオウに好意的で、彼の願いから礼儀作法や馬術といった教育を直に施した。しかしスパルタ以前の問題でアマイには教師に向かないと評価されている。

シュオウの体臭に異常に執着しており、彼の衣類を保管して毎晩嗅いでいる。おっとりした容姿だが軍人らしく態度は厳格(シュオウ以外)。浅い紫色のくせ毛が特徴の美女。26歳。

輝石は<彩石>。属性は氷結。


  • オルゴア・サーペンティア

公爵。ジェダとジュナの父親。右硬軍「風蛇輝士団」団長。階級は重将。

地位に不似合いな小者で子供の頃から姉ヒアナに逆えない。老化現象も普通に進行しているので一族からは天分は持ち合わせていないと見做されている。

しかしジュナの身柄を姉に押さえつけられているのが弱腰の原因で、周囲の目を気にして表には出さないが双子には深い愛情を抱いている。しかしグエンとターフェスタ公国の密約でジェダを生贄として出してしまい、帰還後も後ろめたさから面会を望まなかった。

ユウギリ戦争ではニルナからの交渉で将軍職を与え、バレンを補佐にグエンに承認させる。シュオウとジェダの暗躍でジュナの失踪後は一転して姉から実権を取り戻し、彼女の捜索を禁じてムツキ要塞にいるジェダに右軍の精鋭達を派遣するが、ゼランに奪われてしまう。

四石会議といった重要な現場にジェダを側に置いており、ヒアナ達からは<燦光石>の引継ぎを危惧されていた。子供は十人。妻は公では二人だがジェダとジュナを産んだ平民の女性を含めて三人である。双子の母親は訳あって自らの手で殺めている。

性格は気弱で常に他人の顔色を窺い、子供にも滅多に怒らない。ジェダ曰く「シュオウとは真逆の存在」との事。王石の所有者らしく実力は本物。

禿げ頭の鋭い目つきをした壮年の男性。

輝石は<燦光石>の<蛇紋石>。具現化は蛇。作中で最上位に君臨する風使い。

名前の由来は人工鉱物<オルゴナイト>と蛇紋石<サーペンティン>と思われる。


  • ヒアナ・サーペンティア

オルゴアの姉。一族の実質的な支配者。

庶子のジェダとジュナを一族の汚点として蔑んでおり、ジュナの身柄を押さえる事で弟から当主の実権を奪い、ジェダを酷使続けていた。ターフェスタ公国から帰還したジェダがムツキ要塞に派遣されると意図的にジュナを困窮させる嫌がらせを行うも、シュオウ達の救出で彼女が失踪し発言力を失う。

再びジュナを掌中に収めるべくオルゴアの命令を破り、ゼランを唆して暗部も遣わせムツキ要塞へ向かわせた。この暗躍によってユウギリ戦争の第二戦は大敗し、シュオウの謀反で敗れたゼランと暗部、右軍の精鋭達は全滅した。

性格は冷酷かつ残虐で部下達からは恐れられている。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は風。


  • ゼラン・サーペンティア

公爵令息。オルゴアの長子。伯母の後ろ盾を得ており、次期後継者と自認している。

父に目を掛けられるジェダに強い嫌悪感を抱いており、弟妹達と共に幼少期から今まで陰湿な虐めを行っていた。

ジュナの失踪を切っ掛けに頼っていた伯母の後援を失った為、父の命令を無視して功績欲しさとジュナ奪還を目的にムツキ要塞へ移動。父がジェダに派遣した右軍の補充兵を奪い、委譲せずリーゴール親子を丸め込んで権力を盾に軍内を恐怖で支配する。増長して停戦を求めたターフェスタ公国の特使を独断で殺し、リシア教の特使すら牢屋へ収監。その上で無策の作戦を強行し、戦場では軍を暴走させた挙句プラチナに右腕を壊され気絶した。これまでの愚行で大量の戦死者を出し、前代未聞の大敗となる。

数々の越権行為を隠匿すべくジェダを冤罪にかけてジュナ確保に急ぐが謀反で本性を露にした彼らを前に一方的に嬲られて死亡した。首はターフェスタ公国への献上品の一つとなる。

欲に忠実で冷酷かつ残忍な性格。一見、有能そうに見えるがその実態は自信過剰で家の権力を笠に着ているだけで、自身は見合った能力はない。しかも軍議や戦場すら経験がない箱入り育ちで、ジュナからは最後に「愚かで無能」と断言された。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は風。


  • コレン・タール

男爵。シワス砦の責任者。階級は輝士。

酒と肉欲に溺れており、堕落した日々を送っている。左遷された身であるのにもかかわらず保身に熱心でアベンチュリン国の人質事件が起きても書簡を隠蔽しシュオウを牢へ閉じ込めた。

しかしヤイナの手引きで書簡と共にシュオウは脱走してアデュレリア家に助力を乞い、グエンの承認を得た左硬軍による取り仕切りで捕縛命令が実行された。

肥満でだらしない容姿をしている。部下達の信頼は皆無。

輝石は<彩石>。

名前の由来はコレンス石<コレンナイト>と思われる。


  • カナリア・フェース

侯爵令嬢。王女親衛隊隊長。階級は重輝士。

カザヒナとは宝玉院の同期生。卒業試験の合格者。幼き頃から剣術を磨き、グエンの命で若くして隊長に抜擢された凄腕の剣士。能力も総合的に高く、アミュが惜しむ程に有能な人材。

サーサリア王女の遊学でアデュレリア家に滞在し、賓客であったシュオウに自主的に剣の稽古に付き合ったが剣を握って間もない彼に負けて泣く。

後日、サーサリアの命令で深夜に森へ入り、狂鬼の襲撃に遭い崖から転落。重傷を負い、シュオウの手で洞窟まで逃げ込むがそのまま息を引き取った。後に隊長枠は元教師であったアマイが引き継ぐ。

真面目で好戦的な性格。挑戦を断られると拗ねる。シュオウは敬意こそ抱いていたが、彼女の死にざまには軽蔑していた。

赤みのある金髪に朗らかな笑顔が特徴の美女。26歳。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は土。土を液体のように操る。

名前の由来は電気石<カナリートルマリン>の特色<カナリア>と思われる。


  • シシジシ・アマイ

王轄府所属。階級は硬輝士。

一族の反対を押し切って教師の道を選ぶが、近年に悔い始め軍務に復帰。しかし多方面での知識が災いして外交官に回され出世の機会に恵まれず、親衛隊の入隊を希望すべくアミュに頼みサーサリア王女の直談判を取り付ける。

カナリアの死後、隊長の席が空席となりシュオウを手に入れる条件に親衛隊長に任命された。

隊長任命後はサーサリアの家庭教師の役割も担い、シュオウとの仲を取り付けたりと多忙な日々を送り理想と現実の違いに苦悩する様子も見せる。シャラ曰く接し方は「甘い」らしい。シュオウには好意的で、個人的に期待している。

各地の遺跡を巡る程歴史や文化に造詣が深く、自国の歴史と神を持たないムラクモ王国の異常性の原因にグエンと繋がる事を見ぬき、王族派貴族として彼に強い警戒心を抱いている。グエンからも厄介な人物として看做されている。

性格は温和で理性的。歴史の事になると一方的に語り出す。教え子にはカザヒナやカナリアがいる。

元教師と外交官という仕事柄、教え子達や北方の権力者と強いコネを持っている。

黒髪で丸い眼鏡が特徴の中年男性。土着民の末裔。

輝石は<彩石>。色は濃い水色。属性は不明。

名前の由来は師<>+石獅子<イシジシ>と思われる。


  • アダタカ・キサカ

親衛隊副隊長。アマイの副官。

アマイの幼馴染兼遠縁でもあり、力を失う一族と王権を憂いて出世を目指している。

文官気質なアマイと異なり武闘派。サーサリア王女の護衛に四苦八苦し、彼女に寵愛を受けるシュオウを快く思っていない。後に狂鬼タイザの群れを単騎で全滅させた彼に畏怖を抱くようになる。

黒い短髪に岩肌のような形相を持つ中年男性。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は不明。


  • アル・バーデン

司令官兼オウド代官。階級は准将。

下級貴族の出で順調に出世していたが、近衛軍の上官に不興を買い嫌がらせとしてオウドに左遷された経歴を持つ。サンゴ国との開戦を危惧し中央に幾度も忠告した。

サンゴ国とシャノア国の援軍に敗戦し、シュオウがいた部隊は捕虜となる。後にシュオウの渦視城塞奪還作戦が成功し、彼に感謝した。後日グレンにシュオウの配属願を出したが却下された。

豪放磊落な性格。年齢は四十代で栗色の髭面の男。

輝石は<彩石>。色は焦げ茶色。

名前の由来はアルチニ石<アルチナイト>と思われる。


  • ケイシア・バーテン

アルの妻で副官を兼任している。階級は重輝士。

アルとは幼馴染で共に下級貴族出身。妊婦で子に爵位と領地を持たせるべく出世を目指し、賢夫人として夫を支えている。渦視城塞奪還後、中央に召集され難儀を示すシュオウに部下達への配慮を伝え、後押しする。真面目で冷静な性格。夫を尻に敷いている。節約家。

輝石は<彩石>。


  • ビノー・モートレッド

アイセの父親。モートレッド家当主。階級は不明。

娘と食事会を楽しんでいたシュオウを攻撃したが、後日サーサリアの寵愛を受ける人物であると知ると掌を返して仲介を頼んだ。アイセをフるようにも忠告し、シュオウを悩ませる事になる。

三人の妻を持ち、アイセ以外の子供は卒業試験で亡くなっている。娘と同じく独特な美的センスの持ち主で、赤字続きの工芸品を造り続けている。

金髪碧眼の壮年の男性。

輝石は<彩石>。色は淡い緑。属性は風。具現化は槍。


  • ベン・タール

王括府所属の書記官。階級は輝士。

請負任務回数は多いが達成数が少なく、礼室で古文書の整理をしている。故にターフェスタ公国と裏取引を交わしたグエンの命で特別大使に選ばれた。

謁見広場でジェダが殺人事件の罪に問われたときは異議を唱え、牢屋に入れられてしまう。

シュオウとフクロウの活躍で牢から脱出し、無事に帰還する。

性格は明るく良くも悪くも純粋で、相手の悪意も気づかない。年齢は四十代。

輝石は<彩石>。

名前の由来は砭石<ベンセキ>と思われる。


  • アスオン・リーゴール

ニルナの一人息子。階級は重輝士。

ターフェスタ公国の宣戦布告に伴い将軍の任に就いた母からの大抜擢で若年ながらムツキ要塞副司令官に任命された。

戦地の指揮官の権限も与えられたが母と同様に文の功績で出世した経歴から現場経験が不足しており、戦争の認識も甘い。補佐役のバレンの忠言を聞かぬまま要塞の管理体制を掌握せず、友のイオイを実質的な副官として扱った。

初戦では狂鬼タイザの群れの乱入で一時撤退を命じるもイオイの暴走で撤回し、敵兵の追撃を命じる。敵味方が森で逃げ遅れて多くの死傷者を出し、自身はバレンの救出で難を逃れた。

ジュナの策略でこの一件が軍内で露見されて信望を失い、精神的に追い込まれる。サーサリア王女の視察訪問で彼女に寵愛を受けるシュオウとの格差を思い知り、彼への嫉妬と羨望に蝕まれていく。

ゼランの影響を受け恐怖で軍内を支配し自信を持ち直すもシュオウに勝利したい渇望から正常な判断を失い、ゼランの案に乗って兵の不足分をシュオウの独立部隊と要塞内の非戦闘員で補い無策で強制出兵させる凶行を起こす。その結果、公国に大敗し激怒したシュオウに襲われ恐慌状態に陥った。

脱獄して謀反を起こしたシュオウに戦いを挑まれたが命乞いをし、不名誉を恐れて結局は受け入れるも呆気なく敗れる。首は公国への献上品の一つとなる。

温厚な人柄で身分を理由に差別はしない主義。能力は高く、決して無能ではないが優柔不断で挫折知らずな上にメンタルが弱く、都合の良い意見にしか耳を貸さなかった。

容姿は青髪青眼で見る目麗しく、両目の端にある小さな黒子が特徴。

作中ではシュオウの光に影響を受けた影の一人。唯一挑むも敗れ、彼に野望を抱かせる役割を果たしている。作者からは「良い人間の資質を備えていながらも、あまりにも自分がなさすぎた」と評されており、信じる相手を間違わなければ大成した人物と言える。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は水。粘着のある水で対象を抑止できる。

名前の由来は猟犬座<英語アステリオン>とLee(影)<英語リー>+金<英語発音ゴールド>と思われる。


  • ニルナ・リーゴール

ムツキ要塞司令官。階級は将軍。アスオンの母親。

ターフェスタ公国の宣戦布告を機に溺愛する息子に栄誉ある功績を残すべく予備軍から復帰し、サーペンティア公爵の後援を受け将軍職を得た。元帥グエンとの取り決めでバレンを副司令官に就かせる決まりであったが権力で強行しアスオンに任命。更に戦地の指揮権も与える。

その経緯から将軍としての器量も自覚も乏しく、上層部は自身と同じく軍務経験が浅い文に秀でた側近で固めている。身内贔屓の影響で要塞の運営問題を発生させたまま従士隊に丸投げし、独立部隊の実質的な隊長となったシュオウが裏で統率者の役割を果たした。

初戦後は王女サーサリアの視察訪問で息子の失態を隠すべく負傷者を隔離させ、直前まで情報を隠匿した。その卑劣な姿勢は軍内で反感を買い、王女の関心も得られず親子揃って嘲笑と侮蔑の的となる。

ゼランの襲来で彼の越権行為を黙認して保身を選び、無策の作戦を認めた末にターフェスト公国に大敗北した。シュオウの謀反では側近以外の輝士や従士達に見捨てられ、視野狭窄であった自分に後悔する。シュオウの前で命乞いする息子の姿に幻滅し、ジェダに首を切られて死亡した。首は公国への献上品の一つとなる。

息子を妄信するあまりに軍法を反し、あわよくばユウギリの領地を得ようと目論み、しまいには我が子が王女の王配候補に選出されたと勘違いするなど親子揃って都合の良い解釈しかせず、共に身を滅ぼした。

アスオンと似た容姿を持ち、華やかな中年の女性。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は水。粘着のある水で対象を抑止できる。

名前の由来はLee(影)<英語発音リー>+金<英語発音ゴールド>と思われる。


  • イオイ・シオサ

アスオンの第二副官。階級は硬輝士。

アスオンとは宝玉院の同期生であり親友でもある。伝手で彼の実質的な副官となるが見栄や武功しか頭になく、補佐の責務を全うしようとするバレンを疎んじてアスオンから意図的に遠ざけた。

ユウギリ戦争の初戦では狂鬼タイザの襲撃でアスオンの撤退命令を無視して敵軍に追撃し、狂鬼に捕まり四肢を引きちぎられて死亡した。

快活でお調子者の性格。アスオンに助力するべく一族の輝士達を連れてくるなど友情は本物ではあったが、己の身勝手な行動により彼は破滅へと転落する。ちなみに要塞内の詳細把握を軽んじた事が後の謀反でリーゴール親子を含んだ上層部が孤立した原因の一つとなっている。

金髪で褐色肌。南方人の血を継ぎ、シガを前に本能的に怯える様子を見せた。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は身体強化。


  • バレン・アガサス

近衛軍所属。階級は重輝士。テッサとレオンの父親。

元帥グエンの命でムツキ要塞の副司令官に就くはずであったが司令官ニルナの独断によりアスオンの補佐に回された。

戦前に楽観的なリーゴール親子に先行きを不安視し、子供達と共に幾度も忠言を繰り返したが袖にされた挙句冷遇される。グエンやショルザイからシュオウの存在を知り、彼がジェダを副官に独立部隊の隊長として統率している姿を目にして感銘を受けた。

ユウギリ戦争の初戦で狂鬼タイザの群れの乱入でアスオンの救出後に逃げ遅れたが、シュオウに助けられて部下や親子共々生還する。以降はシュオウに心酔し、立場との間で思い悩む。

ゼランの襲来で彼の越権行為を疑い、始終異議を唱えた末に中央に救援を呼びかけようとしたが右軍に幽閉され失敗。第二戦は命令を反し、独立部隊の護衛に回った。

シュオウが起こした謀反には子供達と共に加わり、輝士達をユウギリに向かわせる案を提示する。シュオウを主君に地位と名誉を捨て、公国へ亡命した。

青髪に鋭い強面を持つ壮年の男。常識的かつ良識人。長きに渡り地方要塞に回された経緯から経験豊富。

実力は中堅並み。義に厚い男で低位の貴族からは評価されている。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は土。良質の良い石を変形させる。

名前の由来はバレンチン石<バレンチナイト>と思われる。


  • テッサ・アガサス

近衛軍所属。階級は不明。バレンの娘でレオンの姉。

親子共にムツキ要塞に配属されるも、リーゴール親子の怠慢に先行きを不安視し運営管理の確認に奮闘する。道中でジェダを副官に独立部隊の隊長として活動している姿を目にし、感銘を受ける。

ユウギリ戦争の初戦で狂鬼タイザの群れの乱入でアスオンの救出後に逃げ遅れ、逃亡中に狂鬼の毒に侵される。しかし助けに現れたシュオウに治療を施され、生還。回復後は弟と共にシュオウ達に心から感謝を伝えた。

第二戦は命令を反し、独立部隊の護衛に回った。シュオウが起こした謀反には親子で加わり、彼を主君に地位と名誉を捨て、公国へ亡命した。

父と似て良識的だが、外見のせいで苦難を経験している。内面はしっかり者。

青髪に鋭い強面を持つ女性。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は土。良質の良い石を変形させる。


  • レオン・アガサス

近衛軍所属。階級は不明。バレンの息子でテッサの弟。

親子共にムツキ要塞に配属されるも、リーゴール親子の怠慢に先行きを不安視し親子で運営管理の確認に奮闘する。道中でジェダを副官に独立部隊の隊長として活動している姿を目にし、感銘を受ける。

ユウギリ戦争の初戦で狂鬼タイザの群れの乱入でアスオンの救出後に逃げ遅れたが、シュオウに助けられて部下や親子共々生還する。リーゴール親子への不満が溜まる分、シュオウに傾倒し彼の活躍を要塞内で熱く語った。

第二戦は命令を反し、独立部隊の護衛に回った。シュオウが起こした謀反には親子で加わり、彼を主君に地位と名誉を捨て、公国へ亡命した。

支度を怠る悪い癖があるが、シュオウとジェダの関係性を一目で勘づくなど観察力は高い。

青髪に鋭い強面を持つ青年。父姉と比べると些か柔和な顔立ちをしている。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は土。良質の良い石を変形させる。


平民

  • ボルジ

元傭兵。オウド砦七十番隊隊長。階級は従士。

結婚したい相手ができ、安定した職に就くべく従士試験に挑戦した。

シュオウ達とは別の班だったが。狂鬼に敗れ負傷し、仲間に置いていかれていたところを彼らに救われ生還した。この救出劇を受けてからシュオウに強い恩義と憧れを抱くようになる。

その後は従士の職に就いて無事に結婚し、給料の良いオウドへの配属を志願した。そこで配置命令を受けたシュオウと再会し、部下との上下関係に悩む彼に助力する。

サンゴ国とシャノア国の援軍に敗戦し渦視城塞で捕虜となる。解放されたシュオウの言葉を信じ、ハリオの乱心で仲間達が疑心暗鬼に陥っている中で最後まで想いを貫いた。

シュオウの作戦で解放され、そのまま要塞奪還を提案して成功を果たす。

性格はお調子者で家庭人。酒を飲むと態度が大きくなる悪癖があり、本人も自覚している。

輝石は<濁石>。


  • ハリオ

シワス砦国境警備隊所属。階級は従士。

剣で身を立てようと村を出た経緯を持つが剣術は微妙。

アベンチュリン国の人質事件が起き、ヤイナの脅しで新人のシュオウを王都まで届けた。

アデュレリア家の賓客としてもてなされ、調子に乗って寄贈用の高級ワインを飲み明かしてしまい罰として孫三世代まで公爵家の小間使いとなる。そのままアデュレリア領の本邸でシュオウと再会し彼に渡した外套が後に役に立った。

アミュの命令でシュオウの監視としてオウドに配属され、サンゴ国とシャノア国の援軍に敗戦し渦視城塞で捕虜となる。己の不遇をシュオウに責任転嫁して支離死滅な暴言を周りに吹き込み、激怒したボルジの拳を喰らった。後にシュオウの手で解放され、ジン爺に諭され現実を受け入れた。

向上心はあれど努力はせず、他者をこき下ろす性根の持ち主。シュオウには人質事件や王女護衛の一件で恩がある為、やや上目線で階級が上になった彼の意見に反抗的になり、同じ<濁石>でありながらも英雄の器を持つシュオウには嫉妬を抱いて張り合っていた。

やせ型の長身で無精ひげを生やしている。

作中ではシュオウという光に影響を受けた影の一人。彼の存在を認め直し、傍観者の道を選んでいる。

輝石は<濁石>。


  • サブリ

ハリオの相棒。シワス砦国境警備隊所属。階級は従士。

一発宛てようと村を出たが取柄がない根性なしで、息子を見かねた母親がヒノカジ従曹に頼んで推薦状を書いてもらい、従士になった。当の本人は出世もできず退屈な日々の現状に悩んでいる。

アベンチュリン国の人質事件が起き、ヤイナの脅しで新人のシュオウを王都まで届けた。

アデュレリア家の賓客としてもてなされ、調子に乗って寄贈用の高級ワインを飲み明かしてしまい罰として孫三世代まで公爵家の小間使いとなる。そのままアデュレリア領の本邸でシュオウと再会する。

アミュの命令でシュオウの監視としてオウドに配属され、サンゴ国とシャノア国の援軍に敗戦し渦視城塞で捕虜となる。ハリオの乱心に困惑し、解放後の宴会では他の仲間達と楽しんでいた。流されやすく、気が小さい。小太りでタレ目。

輝石は<濁石>。


  • ミヤヒ

シワス砦国境警備隊所属。階級は従士。ヒノカジとヤイナの孫娘。

高い剣術を持ち、男の従士に勝負を挑んでは勝ち続けている為に浮いた話がない。

シュオウに試合を強引に挑み、剣の経験のない彼に失望する。

アベンチュリン王国の招待状を受け、シュオウと祖父と参加。フェイ女王の罠にはまり、囚われて暴行を受け交渉の人質となる。

七日後に親書を持ってきたシュオウによって解放された。シュオウが女王の配下達を一方的に蹂躙した光景を見て惚れたらしく、砦を去った彼に手紙を書こうとしたが祖父によって反対された。容姿は華やかな美女。性格は男勝りで勝気。

輝石は<濁石>。


  • ヒノカジ

シワス砦国境警備隊所属。階級は従曹。ミヤヒの祖父。

実直な管理能力を持つ最古参兵。両親を失った孫娘に剣術を教え、男勝りに育ってしまった事を後悔している。

近衛軍司令部から配属命令を下されたシュオウの扱いに困り、仕事を与えずにいた。

アベンチュリン王国の招待状を受け、シュオウと孫娘と参加。フェイ女王の罠にはまり、囚われて暴行を受け交渉の為の人質となる。

七日後に親書を持ってきたシュオウによって解放された。彼が女王の配下達を一方的に蹂躙した光景を見て本質を理解し、ミヤヒに警告する。

シュオウに剣術を教えようと考えていたが、才能の格差と若さにどうしようもない妬みを覚えてしまう。年齢は七十代。

作中ではシュオウという光に影響を受けた影の一人。彼の存在に恐怖し、距離を置く事を選んでいる。

輝石は<濁石>。


  • ヤイナ

シワス砦の台所を管理している。ヒノカジの妻。

面倒見がいい性格で従士達から祖母のように慕われている。要塞内で孤立したシュオウに同情していた。

夫と孫娘が囚われても隠蔽工作に走ったコレンに憤り、ハリオとサブリを脅して囚われたシュオウを王都へ向かわせた。

夫との仲は良好で心配するときは口調が悪くなる。

輝石は<濁石>。


  • ラ・ジン

オウド砦五十五番隊所属。階級は従士。

上司となったシュオウの案内役を担う。サンゴ国とシャノア国の援軍に敗戦し渦視城塞で捕虜となる。

解放後の宴会ではシュオウへの対抗心で荒ぶるハリオを宥めた。

年の功で同僚からは「ジン爺」と呼ばれている。南方人で褐色肌の老人。

輝石は<濁石>。


  • トガサカ

リーゴール家の執事。

主人達母子を尊敬しており、特にアスオンを溺愛する。

ムツキ要塞でアスオンの世話係として随行。彼の成功を信じていたが、ターフェスタ公国との初戦の件やゼランの影響を受けて変わり始めたアスオンに戸惑い、ニルナに訴えたが成長の証と判断され聞き入れては貰えなかった。

第二戦前にゼランから兵の不足分をシュオウの独立部隊と要塞内の非戦闘員で補い強制出兵させる提案を受け入れたアスオンに体を張って阻止しようとしたが失敗。

シュオウの謀反では親子の護衛に回るが腕を損傷し、彼らの死後は自ら喉を剣で切り裂き主人達と運命を共にした。実は凄腕の剣士であり、シュオウの首に僅かながら傷を与えた程。

好々爺でアスオンからは「爺」と呼ばれ家族のように慕われていた。

輝石は<濁石>


裏の組織

  • リリカ

アデュレリア家に仕える「影狼」の一人。

<濁石>の両親を持つ隔世遺伝。まだ若いが上位に位置する程に優秀。

アミュの命でジュナの護衛を受け、共にムツキ要塞へ随行する。彼女の指示で城塞内の捜索や人間関係を調査する。ユギクを捕獲した後は任務を継続したままターフェスタ公国へ亡命した。

ポーカーフェイスで常に淡々としている。晶気の都合で効果音を口で話す独特な喋り方が特徴。

黒髪の美少女。

輝石は<彩石>。色は薄い青。属性は不明。自分、又は他者のたてた音を消すが制御はできない。


  • ガザイ

「陰蛇」と「無手」の長。

ヒアナとゼランの命でムツキ要塞に随行し、ハイズリやウルガナを含んだ部下達と共にジュナを捜索する。

ゼランとリーゴール親子の失策でターフェスタ公国に大敗後、ジェダとジュナ確保の為に収監されたシュオウを襲うがショルザイの介入で失敗し、逃亡。

シュオウが起こした謀反では部下達と共にジェダにバラバラにされて死亡した。

冷徹で非情な老人。ジェダの実力を評価する数少ない人物。サーペンティア家を恐れている。

輝石は<濁石>。


  • ハイズリ

サーペンティア家に仕える「陰蛇」の一人。

ジュナの捜索でムツキ要塞に村娘「ユギク」と偽称して潜り込み、シュオウ達使用人として雇われる。ジュナの罠にはまり、リリカに捕獲された後は服従を誓ったウルガラと共にターフェスタ公国へ亡命する。

同じ裏方を務めるリリカには敵という立場ながら親近感を持つ。意図的に男性名を名付けられた事に不満を抱いている。ユギクでは清楚に振舞っているが素は粗暴で強気な性格。

可憐な容姿を持つ美少女。

輝石は<濁石>。


  • ウルガラ

サーペンティア家に仕える「無手」の一人。

<濁石>の両親を持つ隔世遺伝。

ジュナの捜索で女医クダカを晶気で操り、助手「レキサ」としてムツキ要塞に潜り込む。

ハイズリとは幼馴染で大切に思っており、彼女が捕まった事で組織に切り捨てられて乱心。

救出すべくクダカを人質にジェダに襲い掛かるがハイズリの為に服従を選んで加勢。双子が主君となり、共にターフェスタ公国へ亡命する。

見た目に反して毒を扱う。容姿は細身の美少女。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は不明。他者を操る事ができるが安定には欠けており、精神に影響を及ぼす毒を与えなければ持続しない。


  • 包帯男

本名不明。アデュレリア家の構成員。

サーサリア暗殺を受け、同業者やリシア教徒と共に深森へ進行。そこでアマネの奇襲に遭い、胸を刃物で刺され死亡。

元ムラクモ王国所属の輝士。アデュレリア家の私財を横領し、身と引き換えに構成員となった過去を持つ。

性格は自堕落的で口が悪い。戸籍上死亡しており、家督は娘が継いでいる。自分の放火が原因で顔に火傷を負った為、常時包帯を巻いている。

輝石は<彩石>。色は青。属性は水。


  • リシア教徒

本名不明。リシア教徒だがアデュレリア家の構成員。

サーサリア暗殺を受け、同業者や包帯男と共に深森へ進行。そこでアマネの奇襲に遭い生死不明となる。

リシア教の装具を回収するべくアデュレリア家の宝物庫に入り、命と引き換えに構成員となった過去を持つ。

肥満体型。熱心な信者で、争い事を嫌う平和主義者。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は不明。


宝玉院

  • ワナトキ・エイ

院長。宝玉院の統括者であり老師と呼ばれている。

迷宮内で錯乱したシガと謎の狂鬼から逃げていたシュオウ達を晶気で助けた。

シュオウやシガの影響を受けて変わりゆく生徒達を嬉しく思い、宝玉院に留まる事を願ったが断られてしまう。

シュオウの希望を叶えるべく、グエンに進言するも聞き入れてはもらえなかった。

卒業試験で死にゆく生徒達の為に、あえて迷宮を封鎖せず解放している。

隠居中であるので、普段は趣味で庭の草むしりをしている。

大らかで穏やかな性格。人格者でもあり、教官達からは敬意を向かれている。飄々とした老人。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は水。分厚い水の膜を生み出す。


  • マニカ・アンル

主師。

<濁石>で教官となったシュオウを差別する事なく受け入れた。

身分を超えて恋愛に夢中なシトリを案じ、アウレール家の許可を得て預かり指導した。

しかし我慢の限界であったシトリの罠により迷宮に入り、茸で錯乱したシガと謎の狂鬼に追われるが無事に脱出した。

言動は厳格だが割と楽観的で前向きな性格。とても生徒思い。

小さな眼鏡をかけた小柄な老女。

輝石は<彩石>。


  • ユウヒナ・アデュレリア

カザヒナの実妹。輝士候補生。

サーサリア王女の遊学では王女付きの役を担うが、上役に報告せず親衛隊と共に深夜に森に入り親衛隊と共に狂鬼に襲撃される。間一髪でシュオウに救われるも、この一件によって虫の音が苦手となる。

後に宝玉院の教官の任に就いたシュオウの案内役兼世話役として登場。

狂鬼に狙われてアズアと迷宮に逃げ込み、助けに現れたシュオウ達と共に脱出した。

サーペンティア家のアズアを嫌い、彼女の弁明を聞かずに虐めていたが迷宮の共闘で和解し、友人となる。ユウギリ戦争で一族の謀反に伴い、縁者を連れて宝玉院を脱走した。

性格は冷静。カザヒナには家族としての情はあるが、姉の特性をまだ受け止められず一定の距離を置いている。

瞳は紫で容姿は姉と共通し、髪色は漆黒。14歳。

輝石は<彩石>。色は深紫。属性は氷結。


  • アズア・サーペンティア

ユウヒナのライバル。輝士候補生。

出自はサーペンティア家の末席で、隔世遺伝により本家の特徴を持って生まれた。

その容姿故に本家からの命で宝玉院の入学を期に姓を名乗るが、不本意ながらユウヒナから目をつけられてしまう。

彼女への反撃に呪いのおまじない仕掛け、偶然な形で狂鬼の卵が孵化してしまいユウヒナを狙う。彼女と共に迷宮へ逃げ出し、助けに現れたシュオウ達と共に脱出した。

性格は真面目な努力家。ユウヒナを恐れており、彼女から執拗な虐めを受ける度に反撃している。しかし迷宮の一件から和解し友達となる。

余談であるがカデルが紛失してしまったシュオウの勲章を拾っており、また拾った老子の手で本人の元に返された。

黄緑の髪が特徴の美少女。14歳。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は風。吹き出すのでなく、竜巻を作るのが得意。


  • アラタ・コフキ

輝士候補生。幼馴染であるカデルに一方的に虐められている。

遠縁が親衛隊に所属しており、シュオウの噂を聞いてカデルに勝つべく剣術学ぼうとしたがシガに体術を洗脳的に仕込まれ、勝利する。後にカデルと和解した。

シガの案でカデルと迷宮の捜索を始めるが茸で錯乱したシガと謎の狂鬼に追われシュオウ達と合流する形で脱出した。

口が軽く、一言余計でカデルの恥ずかしい秘密をばらした事もある。

幼い頃から文武共に優秀な才を持つが、宝玉院の入学を期に体術から知識への関心にのめり込む。それが原因でカデルに虐められていた。

容姿は小柄で黒髪の少年。

輝石は<彩石>。


  • カデル・ミザント

輝士候補生。優秀な生徒だが幼馴染であるアラタを虐めている。

平民で教官となったシュオウが気に入らず、家の力で学園に抗議したが効果はなかった。

リックの案で共にシュオウの部屋へ潜り込むが居合わせたサーサリアの毒により瀕死の状態となる。そのときに彼の勲章を盗み、後に紛失してしまう。

後日、シガに鍛えられたアラタに決闘を申し込まれて敗北。前歯が折れる程に負傷し、この一件を期に和解してシガを師事するようになった。

シガの案でアラタと迷宮の捜索を始めるが茸で錯乱したシガや謎の狂鬼に追われシュオウ達と合流する形で脱出した。後日、シュオウを恐れて謝罪した。

高い統率力を持つがプライドの高い性格で負けず嫌い。アラタを虐めた原因は彼が持つ才能への嫉妬心と寂しさから来ている。

容姿は金髪の少年。

輝石は<彩石>。


  • リック

輝士候補生。カデルの友人。

シュオウへの好奇心で合鍵を手に入れ、部屋へ潜り込むが居合わせたサーサリアの毒により瀕死の状態となった。

感情的なカデルをフォローしており、虐めの件も止めるように言い聞かせている。

シガからは面倒くさい人間として見られている。

赤毛に雀斑が特徴の少年。

輝石は<彩石>。


東方国・アベンチュリン王国

王族

  • フェイ・アベンチュリン

女王。シュウの姉。

若くして即位した政治的手腕を持つが、能力を私欲に使い贅沢に走っている。

ついに国庫に手を出し、不足分を重税という形で強制徴収。国民の不満の矛先をムラクモ王国に向けるべく、弟を使者にシワス砦に招待状を送りシュオウ達を招いた後、呼び寄せた各地の有力者を前にムラクモ兵を痛めつける事で鬱憤を晴らさせ自らの評価を上げた。そして届くはずもなく、通らない交渉を記した親書をシュオウへ渡し、二人の従士達を生贄に納税の延長を成功させた。

しかしシュオウが親書を持って帰還し、更に好条件を飲ませようとしたが拒絶され激高。

シュオウによって輝士達を戦闘不能にされた挙句、シュウを人質に取られ交渉を諦めた。

後日、輝士達が復職できなくなりシュオウを護衛官として雇おうとアミュに書簡を送ったが本人に届くことなく破られた。

性格は傲慢。限られた環境で生きる己を悲観しており、民が疲弊しても一切顧みない。

焦げ茶色の髪に豊満な肉体を持つ美女。シュウと似ているが目つきは鋭い。35歳。

輝石は<燦光石>の<砂金石>。色は金。属性は土。具現化は砂時計。

名前の由来は砂金石<アベンチュリン>と思われる。


  • シュウ・アベンチュリン

王子。フェイの実弟。

姉の命でムラクモ王国の軍人を夜会に招待するべく使者としてシワス砦へ赴いた。

しかし姉の策略だと知らず、ムラクモ王国からの報告を恐れて囚われたヒノカジとミヤヒの解放を求めたが軟禁される。

シュオウが親書を手に戻ったときに居合わせ、輝士達を一方的に蹂躙した彼により無事に帰るまでシュオウに人質にされた。彼らには謝罪はしたものの、シュオウへの恐怖から最後まで目を合わせなかった。

性格は温和。争いを好まない性質で最初から王位継承権を放棄している。姉の悪政に憂いていても行動は起こさず、傍観していただけだった。

輝石は<彩石>。色は黄色。


南方国・サンゴ国

貴族

  • ア・ザン

渦視城塞の司令官。階級は黒僧将。シャラの父親で娘に全く頭が上がらない。

オウド奪還を目的にシャノア国に援軍を求め、リョウキ達を歓待する。しかしムラクモ王国に一時勝った武勲を欲しいだけで、勝利後は追撃せず撤退した。

拷問を趣味に持ち、捕虜となったシュオウを選ぶが娘と同じ目を持つ彼に畏怖し、首に噛みつかれ負傷する。

後日、リョウキとの試合で解放されたシュオウによって城塞を狂鬼と捕虜のムラクモ軍に攻め落とされ、三脚を失い怒り狂ったシガに部下達を皆殺しにされる。捕虜としてシュオウに命を救われ、恐怖に身を震わせながらムラクモ王国に輸送された。余談であるが捕虜としての価値はなく、シュオウは助けた事を後悔していた。

ガ族の生き残りであるシガを捕らえ、三脚を結果的に殺した為に彼からは根強い恨みを向けられている。

戦闘能力は皆無で肥えた豚のような容姿をしている。

本来は拷問を好む気質ではなく、身にそぐわぬ地位を手に入れてしまった末に現在の歪んだ人格が形成された。シャラ曰く、商人なら豪商にでもなれたとの事。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は身体強化。


  • ア・シャラ

祖父を王に持つ公主。王位継承者の一人。ア・ザンの一人娘。

ムラクモ王国との戦争に好奇心でリョウキ達と参戦し好戦する。リョウキに認められたシュオウの身柄を父や自国の兵から守るべく保護した。

リョウキとの試合で解放されたシュオウについて行き、深森の狂鬼やムラクモ軍が渦視城塞を襲撃している光景を何もせず静観。逃げるリビの手を掴まず、自ら人質となった。

ムラクモ王国へ渡り、サーサリア王女との交流を縁に王女親衛隊に身を置く。率直な態度で王女や隊員達の信頼を得て、弱った王女を鍛えるべく王都を発つ。

途中でシュオウの活躍を耳にしたサーサリアの意向でムツキ要塞を訪問。後日、ユウギリにシュオウ一行を招いたサーサリアの手で監禁されたシュオウを救うべくジェダ達に協力した。第二戦後、シュオウが起こした謀反で彼がターフェスタ公国に亡命した情報を入手し、王族の自覚が乏しいサーサリアを懲らしめる思惑から共に深森へ侵入し、彼女を残して姿を眩ませた。

しかし結局は情から捨て去る事ができず、庇って狂鬼の毒に侵されてしまう。サーサリアの治療を受け回復後、アデュレリア家の暗殺者一行の追撃に遭い、更にアマネの奇襲で意識を失った。アマネの尋問を受け、彼女の強さに羨望を抱き弟子として同行する。

祖父の国王から特別目をかけられており、王位第六位継承権を持つ。

親とは不仲ではないが人の道を踏み外した父に軽蔑と敬意が混ざった複雑な想いを向けている。シュオウには好意とは異なる執着心を抱き、彼の才能を高評価している。

向上思考で自信家。年齢以上に熟達して優れる将の風格を纏い、グエンが王の器と認める程の人物。だが愉快犯でもあり、残酷な一面も併せ持つ。

褐色肌に薄桃色の髪を持つ美少女。年齢に似合わず巨乳。優れた脚力を持ち、円拳という足運びを重視した体術を使う。晶気を使わずとも高い戦闘能力を持つ。14歳。

輝石は<彩石>。色は小豆色。属性は身体強化。脚力を主としている。


南方国・シャノア国

貴族

  • バ・リョウキ

剣聖と呼ばれる伝説の老剣士。階級は樹将軍。

下位僧の家の出ながらも剣一本で幾つもの武功を挙げ、南西の王から宝剣である岩縄を下賜された。サンゴ国の援軍としてリビを含めた禁軍を率いて渦視城塞に赴いた。ムラクモとの戦争でシュオウを強者と見抜き対戦。終戦後、一時帰国前に捕虜となった彼と再び剣を交えるべく甥リビに保護を命じた。

後日、シュオウと剣試合し、無自覚に手を抜いた彼に勝利するが気づかず再戦を望むべく解放する。その夜にシュオウの手引きで要塞が狂鬼に襲撃され、部下共々シャノア軍の援護に参戦。再びシュオウと対峙し、右腕と左足を砕かれ重傷を負い敗北した現実を受け入れられず発狂した。城塞がムラクモ軍の手に落ち、リビに抱えられて呪詛の言葉を吐き捨てながらサンゴ国を去った。

愛剣はシュオウの手に渡り、彼のアデュレリア家から賜った剣は手元に残った。

冷静沈着な性格だが根っからの戦闘狂であり、強者を前にすると狂喜し鬼のような形相に変わる。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は身体強化。全体を強化する。


  • バ・リビ

リョウキの甥で後継者。

サンゴ国の援軍としてリビを含めた禁軍を率いて渦視城塞に赴いた。

シャラの婚約者候補の一人で、一回り年下で破天荒な彼女に戸惑いつつも急速に魅了されていく。叔父やシャラに気にかけられるシュオウへ嫉妬を抱き、身元を引き取れと命じられたのにもかかわらずザンに拷問室へ連行される彼を見放した。

後に叔父との剣試合で解放されたシュオウにより渦視城塞は陥落し、応戦していた部下達も全滅。叔父を連れて逃げる直前にシャラに拒まれ、母国へ敗走する。

リョウキには劣るが軍人としての才能は有している。おべっかに弱い。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は身体強化。全体を強化する。


北方諸国・ターフェスタ公国

貴族

  • ドストフ・ターフェスタ

ターフェスタ公国の領主。大公。

リシア教の三大主教の一人であるライコンの命でジェダを確保すべく、ツイベリの策を採用し義弟ショルザイを特使大使にムラクモ王国へ送る。

グエンとの裏取引で作戦は一時成功したがシュオウの活躍と事態を案じたプラチナの越権行為により失敗し、更に計画の指揮を執っていたデュフォスの身柄を平民のヴィシャに捕らえられた。オトエクル派の後ろ盾も失い、怒りからプラチナに謹慎処分を言い渡しムラクモ王国に対戦を申し込んだ。

しかしリシアの聖輝士団とカトレイ傭兵軍を派遣する為に増税して国力を低下させ、民の貧困は拡大。更に義弟を切り捨てた事で夫人から怒りを買い、太子共々都から去られてしまった。

第二戦ではプラチナを復帰させ、勝利を手にするが彼女の撤退でユウギリの領地を手に入れる事は叶わず、帰還したショルザイの推薦と教皇聖下の書簡によりシュオウに仮の准砂将の地位を与える。

凡庸で際立った能力もなく、<燦光石>も持たないので諸国や民衆からの評価は低い。一方で年齢に関係なく才ある者は優遇するので、ユーカといった一部の者からは敬意を持たれている。

常に劣等感と猜疑心に苛まれており、癇癪持ちで情緒不安定。幼い頃は純粋でプラチナを姉のように慕っていたが、現在は複雑な感情が絡み合い敵意に近い感情を向けている。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は不明。


  • プラチナ・ワーベリアム

領主ドストフの臣下。階級は准将。

ターフェスタ公国唯一の<燦光石>の所有者であり、一部の領民からは王座に即位する事を期待されている。

市街で発生している猟奇殺人事件を案じ、ドストフに訴えるが要塞メラック門の着任を強制された為、下級の輝士に変装して真犯人を捜索する。道中で弟子ナウロの軍服を着たシュオウと協力。ヴィジャを突き止め、真犯人を探す為に親心を利用した作戦には反対を示すも渋々従い、シュオウの脅迫で暴徒の排除命令を受けた輝士達から領民を守るべく正体を晒し、無事にムラクモ特使団を帰還させるが、引き渡されるはずであった真犯人とデュフォスはヴィジャの手に渡った。シュオウから信頼を裏切られ、終息後は越権行為としてドストフから謹慎処分を受ける。

ユウギリ戦争では第一戦後に謹慎を解除され復帰。しかし国情を憂いて独断で一族から停戦の特使をムツキ要塞に送るが、ゼランにより殺されてしまう。

第二戦でカトレイ傭兵軍を先兵に使い捨て、ゼランの右腕を潰し圧倒的な大差で勝利する。だが進撃せず撤退。後に亡命したシュオウに大権を与えるドストフに強く反対したが上記の失態を理由に聞き入れてはもらえなかった。

清廉潔白な性格で誇り高く慈悲深い。しかし誠実であろうとするあまりに愚直であり、一族揃って自縄自縛に陥っている。

生粋の武人気質だが人殺しには消極的な性質に加えて政に浅慮な傾向にある。

ドストフとは幼い頃は姉弟のように仲が良かったが、今は疎まれておりその理由がわからない。方向音痴。武器は一族代々伝わる三叉槍。

銀の長髪と瞳を持つ美女。年齢は五十を過ぎているが、外見は二十代程。

輝石は<燦光石>の<銀星石>。色は不明。属性は不明。金属の性質を持つ晶気を上空で生成し雪のように地上へ降らせる。地上に積もった晶気で馬、武器、盾を形成する。

名前の由来は金属の一種<プラチナ>と銀星石<ワーベライト>と思われる。


  • リディア・ワーベリアム

プラチナの姪。

基本的に叔母の補佐をしており、猟奇殺人事件のときは影武者として要塞メラック門に残った。

性格は勇猛果敢。容姿はプラチナと似ており、銀髪の美女。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は不明。


  • ボライト・ワーベリアム

ワーベリアム家の重鎮。

プラチナの意思を組み、自ら使者としてムツキ要塞へ赴いたが一時停戦を拒否したゼランの独断によって腕を切られ、そのまま亡くなってしまう。

これが切っ掛けで第二戦が急速に開戦し、後のプラチナはゼランの腕を潰す報復に出た。

立派な白髭を生やした老人。プラチナの歳離れた兄のような存在。戦場の相談役も担っていた。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は不明。


  • ツイブリ

宰相。

ドストフの命で合法的にジェダを確保するべく策を興じ、ムラクモ王国に五十年の停戦を条件と共にジェダを巷で話題の殺人事件の犯人に仕立て上げる事を提案した。

しかしシュオウとの初対面で彼の体臭に執心し、逃亡を不本意ながら手助けをしてしまう。この騒動でドストフの信頼を失い地位を剥奪され、ジェダと共に牢へ収監され拷問を受けた。救出に現れたシュオウから脱獄に誘われるも主君への忠義と血族の為に残る道を選ぶ。

各室の能吏達の嘆願により処刑でなく素手で馬糞を片付ける役目を条件に釈放され、フクロウの支援を受けながら過酷な日々を過ごす。

質実剛健で長らく公国に貢献した有能な人物。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は不明。


  • フィアルカ・ツイブリ

ツイブリの孫娘。

祖父の没落後は一族共に屋敷に軟禁される。フクロウの支援を受けながら細々と暮らし、彼と交流を深めていく。

心優しく、美しい容姿を持つ女性。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は不明。


  • ショルザイ・ラハ・バリウム

侯爵。公王妃の実弟。対南要塞ミザールの総督。

義兄ドストフの密命を受け、身分を偽称し特別大使としてムラクモ王国に派遣された。

密約が交わされ、グエンに監禁された後は公国側から対戦が申し出された事で捕虜となり、ムツキ要塞へ輸送され牢獄へ収監される。

ムラクモ輝士達から辱めを受けるが運営を担ったシュオウの親切を受け、彼の器に感服した。

<輝石>を封印されなくとも恩義から一切牢から出ず、シュオウが収監されるまで静観し続けた。

彼の謀反では事前に公国での助力を約束し、ミオト達の護衛を受け無事に帰国。シュオウ達を強く推薦し、見届けた後は領地へ帰還した。

快活な性格。義を尊び、自分を切り捨てたドストフに強い恨みを抱いている。

容姿は恰幅の良い壮年の男性。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は土。石を変形させる。

名前の由来は金属の一種<バリウム>と思われる。


  • エゥーデ・ボウバイト

侯爵。西要塞ドーペ門総督。ボウバイド家当主。

歴戦を生き抜いた女傑で国内でも精度の高い兵と優秀な軍馬を持つ。

家督争いによって後継者の娘を謀殺され、孫娘ディカに継がせようと躍起になっている。功績の為にユウギリ戦争初戦へ投入したがシュオウに心を囚われて失敗。以降は憎悪を抱き、抹殺するべく仮の準砂将軍の地位を賜った彼の補佐を自ら名乗り出た。だがネディムの介入により殺意を知られ、カルセドニー家と決裂。

出陣後はアーカイドの警告を無視してシュオウへの暗殺に拘った結果、命令に背いて一族と共に賊討伐の暴挙を起こす。

高位の軍服を纏った老女。性格は苛烈で短絡的。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は水。


  • ディカ・ボウバイト

エゥーデの孫娘。

厳格な軍家として生を受けたが温厚な気質と芸術の才に恵まれており、一族から快く思われていない。

家督争いで母を親族に謀殺され、現当主の祖母から跡継ぎに指名されている。

ユウギリ戦争初戦でシュオウに三度も命を救われてからは憧憬と恋慕の情を抱き、寝食を忘れる程に彼の絵を描き続ける日々を送るようになった。

南方人の血を引いており、栗色の髪に琥珀色の瞳を持つ。凛々しい容姿の持ち主。

エゥーデからは日頃から強く叱責されている為、距離が生じている。

輝石は<彩石>。色は複雑に混ざり合った青緑。属性は水。


  • アーカイド・バライト

エゥーデの副官。ディカの母の元弟子。

祖母と母の気質と才能を受け継がず、戦闘を強制されるディカを不憫に思っている。

シュオウへの警戒心から出陣後は幾度もボウバイド一族に忠告し、暗殺には反対の意を示したが聞き入れては貰えなかった。


現・冬華六家

  • ウィゼ・デュフォス

冬華の長であり、若くして親衛隊隊長を務めている。

猟奇的殺人事件の犯人が貴族であると気づきつつも体裁を気にして凶行を止めなかった。

ジェダに冤罪を着せる作戦の立案者であったツイブリが乱心して牢へ収監された為に一人で責を負う事になり、観察部隊を率いて目撃者を捜索する。

地下の教会で真犯人であるセレスに気絶させられ、彼を下したシュオウへの恐怖で犯行を暴露。後にセレスと共にヴィシャに引き渡され、脅迫材料にされた。

その後は牢に閉じ込められるも囚人の立場を弁えず、世話を担うレイネやセレスに高圧的な態度をとり続ける。

神経質な性格で他者には暴力的な割に本人は打たれ弱く、作中では何度も気絶している

細眼鏡をかけた青い瞳を持つ長身痩躯の男性。武器はムチ。

輝石は<彩石>。色は深紫。属性は不明。

名前の由来は毒重石<ウィゼライト>と思われる。


  • ネディム・カルセドニー

冬華の一人。カルセドニー家の当主。クロムの実兄。

組織内ではウィゼに次ぐ二位であり、実質的に国主の相談役に等しいものの病弱を理由に執政から距離を置いている。その実情はドストフを見限り次代の主まで仮病を使っていたに過ぎない。

弟が主に選んだシュオウに興味を抱き、自ら東征軍司令官補佐に就任。彼に賭ける道を選び一族総出で支援する。

弟とは異なり諸国からも評価は高い。一見、品行方正に見えるもののクロムの理解者と自負し、同胞殺しを許容する歪な側面を併せ持つ人物。

長髪で優美な容姿をしている。公でドストフを国主としていたのでクロムから「兄さま」から「愚か者」と一方的に疎まれていたが、後に和解した。弟同様に賭け事を好む。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は風。

名前の由来は廷臣<トルコ語ネディム>、かエピディディム石<エピディディムマイト>、玉髄<カルセドニー>と思われる。


  • ナトロ・ラハ・カデン

冬華の一人。プラチナの弟子。

ユーカと共にムラクモ王国の特派大使達を出迎え、案内する。

謁見の場でシュオウに人質にされ、軍服を奪われた挙句肩を壊されて廃坑道に置いていかれた。そこでアイセとシトリと出会い、殺人事件の目撃者と証拠を目の当たりにして真犯人が同胞であると知る。

ムラクモ王国との戦争では謹慎の任を解かれたプラチナの副官として活動する。

性格はお調子者で好戦的。プラチナを尊敬している。負け知らずであったせいかメンタルが弱く、シュオウの名前を聞くだけで嘔吐するようになった。暗闇が大の苦手。武器は棍棒。灰色髪の青年。

輝石は<彩石>。色は白黄色。属性は土。土又は石壁を操る。範囲が広範囲な為、家や遺跡といった場所によっては使えない。

名前の由来は沸石の一種<ナトロライト>と思われる。


  • ユーカ・ゼル・ネルドベル

冬華の一人。若干11歳で選ばれた才女。「静翼」と呼ばれている。

ナトロと共にムラクモ王国の特派大使達を出迎え、案内する。

猛禽の隊員と組んでムラクモ特使団を抹殺せよと命を受け、クロムと行動。道中で暴徒達を排除しようと輝士達に命じるが、プラチナの越権行為で失敗。彼女の行動がムラクモ特使団を逃がす為だと読み、クロムにジェダの暗殺をさせようとするがシュオウに阻まれ続けて失敗。

輝士達がプラチナに従う中で唯一ドストフの為に攻撃を仕掛けたが、ジェダに敗れ何もできずに終わる。ジェダとの才能の格差に恐怖で自信を喪失し、冬華を辞退した。

ユウギリ戦争時は邸に引きこもっているらしい。

年少故に幼く感情的ですぐに口に出る。己を優遇してくれた領主ドストフに敬意を抱いている。珍しく輝士と晶士の素養を両方合わせ持つ。灰色の髪を持つ美少女。

輝石は<彩石>。色は明緑色。属性は風。体を浮遊させる事もできる。

名前の由来は緑簾石<イト>と思われる。


  • ゴッシェ・ログ・ダイトス

冬華の一人。アリオト門の統括者。

ユウギリ戦争で司令官の任を受ける。シュオウが率いる独立部隊の襲撃に遭い、彼を真の猛者と認め戦おうとしたがシガに一方的に嬲られる。反撃する隙も与えられず、愛剣で真っ二つとなり死亡した。

性格は冷静沈着。一族代々伝わる重量のある大剣を扱うが、戦利品としてシガの手に渡る。

濃い灰色の髪と立派な体躯の男性。

輝石は<彩石>。色は茶褐色。属性は身体強化。聖騎士隊より上回る剛力を持つが、シガと比べると半分も満たない。

名前の由来は緑柱石<ゴッシェライト>と思われる。


  • エリス・テイファニー・アトサンサ

冬華の一人。

シュオウ達の監督役を任じらる。戦争とは言えゴッシェを殺した彼らを憎んでおり、責務に背いて脅しにかけるが失敗する。

ディフォスを救出しようと奪還作戦を提示するものの、鞍替えしたネディムの助力は得られず独自で捜索を開始する。領主ドストフの現状を憂いている。

白灰色の長髪を持つ優し気な顔立ちをした美女。

名前の由来はコバルト華の別名<エリスライト>と思われる。


観察部隊「猛禽」

  • フクロウ

隊員の一人。本名はなくコードネームで名乗ってる。

自身の醜さが原因で過酷な人生を送り続けた苦労人。謁見後に逃亡したシュオウを追跡し捕縛される。彼の優しさに絆され、自ら協力を願い出て解決まで尽力する。

道中でジェダを冤罪に仕掛けた協力者が身内であると特定し、シュオウに敗れた真犯人セレスとデュフォスを捕縛。シュオウの暗躍で起こした暴徒の流れを裏で操り、ムラクモ特使団の帰還を達成させる。

暗部であった自分が子供を救えたという立場を心から満足し、帰国するシュオウの勧誘を名残惜しくも断ったが一つの約束を交わして別れた。後に亡命してきたシュオウと再会し、約束通り仲間に加わった。

性格は献身的。有能かつ善良であり、シュオウが心から賞賛した数少ない人物。醜悪な容姿をしている。「くふっ」と特徴的な笑い方をする。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は不明。相手へ音の波を届ける晶気の管を創造し、互い、又は一方的に繋げる。相手の鼓膜を刺激させて一時的に行動を抑える事も出来る。作中数少ない諜報向けの能力。


  • ハゲワシ

隊長。本名は不明。コードネームは「ハゲワシ」

殺人事件を利用してディフォスに実行役を任されて都合の良い平民を殺し、ジェダを犯人に仕立て上げた。しかし犯行現場を姉妹に目撃されてしまい、隊員達を率いてデュフォスと共に少女が発見された廃坑道へ潜り込む。地下教会で妹を連れたアイセ達とナトロを襲撃するがシュオウによって阻まれる。そこで隊員の中に連続殺人事件の犯人がいると知り、困惑中にセレスに背後を襲われ死亡した。

顔面を抉ったような大傷のある厳つい男性。

輝石は<彩石>。


  • セレス・サガン

新人の隊員。コードネームは「ハヤブサ」

クロムの相棒として行動を共にし、破天荒な彼に悩まされる。

実は連続殺人事件の真犯人。輝士の高い才能を有していたが<濁石>の母親から生まれたが為に石名を授からず師を得る事ができない不遇な人生を送る。希望であった母が裏切って自殺してしまってからは恨みに憑りつかれ若い母親達を殺めるようになった。

目撃者であり証拠の手袋を持った姉妹の姉レイネの方を確保した後、ハゲワシの命でデュフォスの護衛の任を受け同行。教会の地下にいたアイセ達と妹の方を発見し、ディフォスを気絶させた後でハゲワシを殺害する。救出に現れたシュオウと対峙し、彼の輝石を割り優勢したが敗北。彼の脅迫を受け、レイネの居場所を吐きだした後はデュフォスと共にシュオウの手からヴィシャに引き渡され拷問される。

ユウギリ開戦後は食糧難からに農奴として働き、過酷な労働の中でいつしか正常な心を取り戻していく。

罪なき人々を殺めたが重ねた努力と実力は本物であり、シュオウから強者として認められた人物。

内気でおどおどしており、クロムとは正反対の性格。

浮浪者と見分けがつかない不健康な姿をしており、実年齢は20歳だが十歳以上老けて見える。

輝石は<彩石>。色は青緑。属性は不明。水のような晶気であらゆる武器を想像し、景色を取り込む事で無色透明にさせる。

名前の由来は砂岩<サガン>と思われるが天青石<セレスタイト>もある。


平民

  • ヴィシャ

下町の裏稼業を取り仕切っている有力者。

平民からの信頼は厚く、殺人事件の被害者達の支援もしている。

殺人事件の犯人を調べない領主ドストフに幻滅し、二人の娘の失踪後は裏で暴動を起こしている。シガを勧誘した後は訪ねてきたシュオウとプラチナから娘の生存の可能性を知り、彼と協力。娘達を見つける代わりに自ら暴徒達を主導して輝士達を分散させる。

シュオウ達の手で救われた娘達と再会したが、ジェダの救出時間を確保したい彼の脅迫で暴動を止められなくなり、プラチナが介入するまで輝士達から排除される目前であった。

後にシュオウによって殺人事件の真犯人セレスとデュフォスの身柄を渡され、ドストフに脅迫状を送り付けた。

ユウギリ戦争後は圧政に疲弊し、私財が底を尽く寸前まで人々に支援していたが亡命したシュオウと再会し、カルセドニー家の支援を受け事なきを得る。

悪人のような形相をしているが慈悲深く、娘達を自分の命よりも大切に想っている。

輝石は<濁石>。


  • レイネ

ヴィシャの長女。13歳。

妹と共に猟奇殺人事件の犯行現場を目撃してしまい、真犯人と上層部の策略に巻き込まれる。運悪く真犯人であるセレスに捕縛され監禁されていたがシュオウに救われた。

シュオウによって同意の上でムラクモ特使団逃亡の取引材料にされたものの、無事に父親の元に返された。

ユウギリ戦争後は食糧難から山奥で畑を開拓し、セレスを含む囚人達を監視しながら農業に従事している。

父親に似て果敢であり、勝気な性格。

輝石は<濁石>。


  • ユーニ

ヴィシャの次女。8歳。

妹と共に猟奇殺人事件の犯行現場を目撃してしまい、真犯人と上層部の策略に巻き込まれる。廃坑道に逃げ延び、探索していたアイセ達に助けられる。

真犯人であるセレスに狙われるがシュオウの助太刀で難を逃れ、無事に父親の元に返された。

父親や姉と比べると大人しい。

輝石は<濁石>。


リシア教会

女神派オトエクル

  • ライコン・ヴィシキ

三大主教の一人。ターフェスタ公国の後ろ盾でもある。

ムラクモ王国との小競り合いで自主参戦した孫娘エミリオの死で恨みに憑りつかれ、仇であるジェダの身柄を捕らえるようドストフに命じた。

冤罪で捕らえたジェダを拷問をかけ、審問官達の反対を押し切って処刑をしようとするが救出に現れたシュオウに重傷を負わされ復讐は達成せずに終わる。この事で私怨も含めてドストフを見限った。

普段は威厳ある仮面を被っていたらしい。ある意味でユウギリ戦争の起因となった人物。


聖騎士

  • ミオト・ルゴ・ダーカ

「希少十才器」の一人。百碧侯。

ムラクモ王国との対戦で教皇聖下の命により聖輝士隊の隊長として派遣に参じる。

初戦で晶気でムラクモ軍を惑わせるがシュオウの投げた短刀で片目を失い、撤退。狂鬼タイザの群れに襲われ窮地に陥った時にシュオウに救われ生還する。

彼に報いる為に教皇聖下に願い入れ、聖白功労勲章と感謝状を渡すべく特別大使としてルイと二人で敵国のムラクモ王国に入国。アデュレリア家から通行許可証を得てムツキ要塞へ訪問するがゼランとリーゴール親子の独断で牢へ収監される。後日、上官殺害未遂を起こしたシュオウと再会し、彼の謀反に協力。帰国した後は再び聖下に願い入れ、陰ながら支援した。

性格は自信家にしてナルシスト。理想と現実の違いに絶叫するなど残念な部分が多い。

嘘が苦手な正直者でもあり、Mの気質もある。現代の婚姻申し込み総数記録保有者としても知られる人物だが、終戦後はシュオウを強く意識している。

スタイル抜群の金髪美女で橙色と水色のオッドアイが特徴。シュオウに敗れてからは花柄の眼帯を装着する。

輝石は<彩石>。色は明碧。具現化は霧。発動内で対象者の位置の特定や、幻術も操る。


  • ルイ・オストフ

ミオトの部下。

教皇聖下からミオトの身の安全を優先する密命を受けている。

初戦で負傷したミオトを守るべくシュオウに立ちはだかるが腕を損傷。狂鬼タイザの群れに襲われ窮地に陥った時にシュオウに救われ生還する。

ミオトの願いで聖白功労勲章と感謝状を渡すべく特派大使として随行してムラクモ王国へ渡る。アデュレリア家から通行許可証を得てムツキ要塞へ訪問するがゼランとリーゴール親子の独断で牢へ収監される。後日、上官殺害未遂を起こしたシュオウと再会し、彼の謀反に協力した。

性格は頑固。一回り年下のミオトに常に従っており、基本的にイエスマンだが常識人なので時と場合によっては忠告する。優しい眼差しを持ち、豊かな髭が特徴の男。

輝石は<彩石>。色は不明。属性は不明。陶器やガラスといった欠片を融合させる。


ホランド王国

王族

  • 不明

ホランド王国の王。

ターフェスタ公国の宣戦布告により、同盟国として出陣する。しかし本心では乗る気ではなく、謀反を目論むアミュとの裏取引で左硬軍に自国の兵を貸した。女好き。

輝石は<燦光石>。色は青と赤の混合。属性は不明。具現化は不明。


その他

  • アマネ

シュオウの師であり、義母。西の地では<赤無しの死神>の異名を持つ殺し屋。

ムラクモ王国での仕事に失敗し、休憩中にシュオウと出会う。彼の類稀な動体視力を見込み、己の技術と知恵を受け継がせるべく義親となり、名を与えた。深界で十二年間育て上げる内に母性が目覚め、彼の自立には反対を示したが結局は根負けして見送った。しかし自分の元に戻るようにあえて外界で傷つくように眼帯を送ったものの彼が戻る事はなく、暇つぶしに仕事で失敗した相手であるグエンを襲撃するべく計画。シュオウがムツキ要塞で謀反を起こした後、水晶宮に忍び込みグエンの<燦光石>のある腕を切断して奪った。

彼との取引で太古に滅びた王族の<燦光石>と宝の在処を入手。深界で探索中にシュオウの外套を身に着けていたサーサリアとシャラを捕らえて尋問する。解放後は自主的に同行を決めた二人と共に探索を再開した。

書籍版によると、本名はミスミ。幼き頃に人を殺した末に人身売買で売られ深界の集落<集い>の試練を受けて合格。天性の勘と並外れた適応力で頭角を現していく。生来感情を見抜く力を持ち、冷酷無慈悲な性格で集落から浮いていたが適応する為に明朗な性格を作り上げた。弟子カタルを育てる内に人間の感情が芽生えるも、同期に騙されて試験を強制されてしまいカタルを失う。復讐に駆られ狂鬼コクテイを利用して集落を滅ぼし、長アマネの遺言で名を襲名した。シュオウはカタルが拾った子供の狼の名前であり、後に弟子に名付けた。

表面上は飄々で掴みどころがない性格。グエンが狂人と断言する程、人間性が歪んでいる。年齢は不明。おそらくは三十代以上。真っすぐな黒髪を持つ美女。

輝石は<濁石>。


  • ジロ

蛙人族の若者。

人間の文化に強い関心を持ち、旅をしている。賞金目的で従士試験を受け、シュオウ達と同じ班になり合格後は旅立つ。

ターフェスタ公国で勉強の為に滞在中、働き先の店でクロムを占う事になり、適当にシュオウの特徴を並べ立てた事で彼の運命を決定づけた。

参考にした相手の影響で、若い少女のような口調で喋る。性格は基本誠実で、淡々としている。

容姿は白い肌で輝石の位置は不明。年齢は22歳。


  • エン

旅商人。

ユウギリ戦争を前に商品を買い求めたジェダと商談するものの交渉が難関し、クモカリの介入で成立。

シュオウの噂には半信半疑であったが、彼との顔合わせで評価を改め商品を格安で売りつけた。

小麦色の肌が特徴の女性で人種が混じり合う地帯の出身。

輝石は<濁石>。


  • オーデイン・バル

カトレイ華金兵団指揮官。

領主ドストフの依頼を受け、ユウギリ戦争に参戦。狂鬼タイザの群れに襲われたターフェスタ軍とリシア聖輝士団を契約に入っていない事を理由に救出しなかった。

ゴッシェ殉職後にアリオト門の統括者となり、プラチナが赴任するまでターフェスタ軍を追い出した。

その振舞いからプラチナから反感を買い、第二戦で先兵として強制的にムラクモ軍に宛がわれ傭兵団は全滅する。

性格は高慢で利己主義。金の鎧を身に着けた男。

輝石は<彩石>。


世界用語

深界

灰色の森で覆われた平地部分の総称名。


  • 灰色の森

灰色の木々が集まる森林地帯。多種多様な狂鬼が住んでいる。


  • 狂鬼

深海のみで生息する独特な虫や獣の総称名。

夜光石や火が苦手で、雨に濡れると狂い出す特性を持つ。捕食対象は人間。

三脚といった深界で独自に進化を遂げた狂鬼の枠に属さない生物もいる。


白道

深森に夜光石を加工して敷き詰められた道。

灰色の樹の浸食を防ぎ、人々の交易の要としての役割を持つ。ただし、戦争では戦場の舞台と化す。


  • 夜光石

山岳地帯で掘り出される鉱物資源。水に濡れる事で光を放つ特性を持つ。裕福な者や、深界を旅する者達に灯り、又は白道の材料として使用される。


輝石

あらゆる生物が持つ器官。体のどこかに宿して生まれ、生物事に特徴がある。

中心部に存在する「命核」と呼ばれる部分が傷つくと、持ち主の肉体は一瞬で砂と化す。人の場合は必ず左手の甲部分に存在し、種類も濁石の<軟級>と彩石と燦光石<硬級>に区別される。基本的に人間の輝石の種類は親や血族者、先祖の特性を受け継ぐ。


  • 濁石

色は白濁。平民として区別される。

<彩石>持ちとの間に子供はできるが、輝石関係なく多くの国々では差別対象とされる。稀に隔世遺伝として現れる事もあるが、ハーフとは異なり能力は不完全。


  • 彩石

晶気という不思議な力を持ち、色は属性によって変わる。

人間社会では貴族として区別される。以下、属性の種類。


緑系=風

黄色系=土

茶色系=土、身体強化

朱色系=身体強化

水色系=水

青系=毒、音?

紫系=氷

赤=炎


<濁石>持ちとの間に子供はできるが、輝石関係なく多くの国々では差別対象とされる。稀に隔世遺伝として現れる事もあるが、ハーフとは異なり能力は不完全。


  • 燦光石

彩石の中でも特別な力を持った輝石。別名「王石」とも呼ばれる。

持ち主は世界各国の統率者又は重役としての立場に就いている事が多く、老化も遅延させる。ただし個人差により、所有者の器によっては変わりなく進行する。

継承方法は血族者のみでやり方は隠匿されている。以下、登場している<燦光石>。


ムラクモ王家=<天青石>

能力→猛毒の霧を操る。範囲の規模は都市並み。


ブラドウ家=<血星石>

能力→蟲を使役し、体内に取り込む事で延命が可能。蟲の狂鬼も長を取り込めば使役できる。


アデュレリア家=<氷長石>

能力→巨大な氷を創造し地上に形成する。


サーペンティア家=<蛇紋石>

能力→刃の如く高密度の猛風を起こす。


アベンチュリン王家=<砂金石>

能力→砂を創造し硝子等の物質を形成する。


ワーベリアム家=<銀星石>

能力→金属の性質を持つ晶気を上空で生成し、雪のように地上へ降らせる。地上に積もった晶気で馬、武器、盾を形成する。


シャノア王家=<猫睛石>

能力→不明


ホランド王家=不明

能力→不明


アマテア王家=不明

能力→火炎の晶気を操作する。


?=不明


軍事階級

  • <彩石>

輝士

剣、槍、矢、盾といった晶気を素早く構築できる素養のある<彩石>持ちの名称。階級は軍属では下に位置する。西から北、東に渡っては<星君>、又は<星兵>と呼ばれている。

<准輝士候補生>→<輝士>→<硬輝士>→<重輝士>


晶士

晶気を練って溜め込み、高威力、または広範囲で打ち出せる素養のある<彩石>持ちの名称。階級は軍属では下に位置する。

<准晶士候補生>→<晶士>→<硬晶士>→<重晶士>


  • <濁石>

従士

<濁石>持ちの名称。

<見習い>→<従士>→<従士曹>→<従士長>→<百砂従士長>→<千砂従士長>→<砂将>


国家

東方国

国教はなく、無教徒である。

国はムラクモ王国とアベンチュリン王国のみで、実質的にムラクモが頂点に起っている。

  • ムラクモ王国

ムラクモ王家が統治する東の大国。

<燦光石>はムラクモ王家、ブラドウ家、サーペンティア家、アデュレリア家の四つ。

貴族階層の多数を占める人間は、アデュレリア家を除いた西側を生国とする者達の子孫。土着民の貴族はいるが長き年月の中で領地は西の民の子孫に渡っている。

西の民の末裔は多種多様な髪色に肌は色白く見る目麗しい容姿を持ち、対して東方の土着の民は茶、黒髪で掘りが浅い顔立ち。

王都や周辺の土地は西方文化に影響を受けているが、領民は自国文化への愛着のなく、宗教はもとより、信仰心という概念すら存在しない。しかし、各地方に伝わる祭や風習も排除してきた痕跡がある。理由はアマテア王国参照。

アデュレリア領のみが伝統といった文化を切り捨てる事なく継続している。

<彩石>の属性は主に風と水、土を占めている。配偶制度は貴族のみ一夫多妻制。

<彩石>の教育は輝士学校制度を用い、宝玉院という施設がある。輝士達の質は他国と比べても優秀に入るが、その卒業試験は平民を含めて大量の死傷者を出している。

文武の官職の境界線が曖昧。この体制故に武功で軍の出世ができる訳ではないが、実力主義。

以下、貴族の各家象徴紋章。


<王族・貴族の紋章>

ムラクモ王家=龍

アデュレリア家=餓狼

サーペンティア家=蛇

リーゴール家=蟹


  • アマテア王国

かつて東地を統べていた大国。<燦光石>はアマテア王家、ブラドウ家の二つ。

当時、弱小であったムラクモ家に敗れて滅びた。王女が生き残ったが詳細は不明。

ムラクモ王家により神、文化、歴史は闇に葬られている。


<王族の紋章>

アマテア王家=鳥


  • アベンチュリン王国

アベンチュリン家が統治する砂の王国。<燦光石>はアベンチュリン王家の一つ。

過去の戦争でムラクモ王国に敗北し、戦力の削減と定期的な食糧の献上を約定して王家の存続が許された。併合でなく実質的な属国であり、税金はムラクモ王国より低く設定しているのにもかかわらず国民は劣等感を抱いている。

女王の策略でムラクモ王国の軍人を人質に有利な交渉に成功したが、戦力は低下した。


南方国

南の小国が寄せ集まって手を組んだ南山同盟国。世界二大宗教の一つクオウ教を国教とする。

人種の特徴として肌は褐色で体格が恵まれている。他の国と異なり、<彩石>持ちであるからといって軍事の参加は強制ではない。軍事階級の名称は<星君>又は<星兵>。

<彩石>の属性は主に身体強化を占めている。

  • サンゴ国

ムラクモ王国と国境を面する南国。

<燦光石>の数は不明。ムラクモ王国を侵攻して反撃に遭い、領地オウドを占領される。以降は国土奪還を目的とした小競り合いが続いている。

拠点であった渦視要塞はシュオウの手により陥落。後に賠償金と不可侵の約定を結ばせ返還予定。


  • シャノア国

<燦光石>は一つ。前王の失態と不作により国力は低下している。


北方諸国

北方の国々。世界二大宗教の一つリシア教を国教とし、輝士という役職は神の使徒として特別な意味を持つ。

神官の洗礼儀式によって名と家名の間に神より与えられし石の名を戴くので、軍事に所属する者は家柄が厳格に左右される。<輝石>と肉体の切り離しは不名誉である。

教会への賄賂で出世が可能で、一部の上級貴族には階級と実力にそぐわない者もいる。

灰色系の髪色が多く、黒白赤といった色が混じっているので大体の身分階級がわかる。特に混じりけの無い銀髪は貴族の証である。

<彩石>の属性は多種多少。配偶制度は一夫一婦。国教の影響で属性は不揃いかつ固有の能力者が多い。

  • ターフェスタ公国

ムラクモ王国と国境を面する国。<燦光石>はワーベリアム家の一つ。

東西南北に連なる交易路の中継地の商業都市として豊富な資金源を持つ。

<彩石>の教育は輝士徒弟制度を用いている。ムラクモと異なり能力より美醜を重視し、警邏隊を兼任する監察部隊「猛禽」はそぐわない輝士達が配属される。

ユウギリ戦争で重税、希少資源の売却、貧困層の拡大により国力が一気に低下する。

統治者ターフェスタ家には<燦光石>がなく、女神派オトエクル教会の後ろ盾を有していたが、外交事件後により無くなった。

領主を守る六人の親衛隊は別名・冬華と言い、選ばれた家は「冬華六家」と呼ばれ国内で名声と権力を握る事ができる。以下、現役の冬華六家。後に半減した。


<冬華六家>

ウィゼ・デュフォス

ネディム・カルセドニー

ナトロ・ラハ・カデン

ユーカ・ゼル・ネルドベル

ゴッシェ・ログ・ダイトス


  • ホランド国

<燦光石>は王家の一つ。


余談

概要に記述した通り、一部の登場人物の名前の由来や例えに動物又は虫が使われている。


・シュオウ=狼

・ジェダ・サーペンティア=蛇

・ジュナ・サーペンティア=蛇

・ガ・シガ=獅子

・クロム・カルセドニー=鷹

・クモカリ=蜘蛛

・サーサリア・ムラクモ=竜


単行本変更点

《1巻》

・序章の加筆

・アウレール子爵の登場

・番外編「夜の迷宮」


《2巻》

・番外編「因果の川」


《3巻》

・序章の加筆

・番外編「継ぐ名」


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外部リンク

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