崩壊3rd×エヴァンゲリオンとは、miHoYoのスマートフォンアプリゲーム『崩壊3rd』とGAINAXのアニメシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』との公式コラボ企画である。
概説
『崩壊3rd』初のコラボ企画。
しかも日本アニメ界でも大看板といえるEVAシリーズとの一大企画である。
中国本土では2020年末から既に開始され、日本でも年を越えて2021年1月21日より約1ヶ月未満の2月20日AM.04:00までの期間限定開催となった。
崩壊シリーズにとってエヴァンゲリオンは、『崩壊学園』時代から多分にリスペクトしてきた同ジャンルの大先輩であり、今回のコラボはmiHoYoにとっても夢のコラボと言い得る念願成就となった。
本来はエヴァンゲリオン25周年記念キャンペーン&劇場版最終作公開記念も兼ねていたが、新型コロナウイルスによるコロナ禍の影響で1月20日に封切り予定だった劇場版の公開延期により、後者の方は残念ながら実現とはならなかった。
作品としては『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』をベースに、コラボ用ストーリーの脚本を構成。
期間限定アイテムとして配布聖痕【葛城ミサト(T)】、武器補給に「突撃槍・ロンギヌスの槍」「適格者セット」(【式波・アスカ・ラングレー(T)】【綾波レイ(C)】【真希波・マリ・イラストリアス(B)】)を期間限定排出。衣装補給で「理の律者」用コスチューム「稲妻の覚醒(EVA初号機モデル)」「紅蓮の獣EVA2号機モデル)」を排出、また限定武器補給40回で「キアナ・カスラナ(戦乙女・遊侠)」用コスチューム「鮮やかなシンクロ率(アスカ用プラグスーツモデル)」が限定補給される。
そして一番の目玉として、戦乙女「アスカ(明日への祈り)」(生物属性/突撃槍)をSP戦乙女として期間限定実装。コラボ期間のみコラボ補給から排出、またイベント限定のストーリー・クエスト・ミッションをクリアすることで戦乙女の欠片を合計100獲得して解禁できる。
「miHoYo」と「EVA」
元より法定代表人(日本の代表取締役に相当)の蔡浩宇を含む幹部陣のほぼ全員が『新世紀エヴァンゲリオン』の熱烈なファンを公言しており、エヴァからのリスペクトを感じさせる設定や描写も散見されていた。
そして遂に当コラボ企画が実現し、更に同年年末で発表された崩壊:スターレイルの宣伝PV「Reburn: II」はなんとプロジェクトスタジオQ(庵野秀明が創作管理統括を務めているあのスタジオQである)が直々に制作に関わっている。
現代社会で二次元に憧れて業界に入ったという若者は確かに数多いが、その中でもmiHoYoの創始者たちは「いつの日か自分の憧れだったアニメ会社に自分のアニメ動画を作ってもらおう」という夢を実際に叶えてしまった極少ない猛者だといえる。
ストーリー
2015年、人類は第2次「崩壊」による甚大な被害に遭い、瀬戸際に立たされていた。
崩壊獣の跋扈と共に海水面が上昇し、人々は住み慣れた土地を離れて逃げるように指定都市へと避難した。
ある対崩壊組織から独立した秘密機関「ネゲントロピー」は、盟主ヴェルトの下で崩壊の危機に立ち向かうも、ヴェルトはある時を境に組織から姿を消した。
その後継に、かつて経済スキャンダルで世間を追われたME社社長だった雷電龍馬に白羽の矢が立つ。
同時期、崩壊獣とは違う謎の巨大生命体が出現し始め、龍馬は故郷である極東の長空市を要塞都市に改造し、ネゲントロピーの秘密兵器である巨大人型決戦兵器「デウス」を対巨大生命体用に改造し、その適格者を探し始めた。
そして2017年、親戚に預けられて疎遠だった龍馬の一人娘雷電芽衣は、突然の父からの呼び出しにより長空市へと帰省させられる。
そこで待っていたのは、巨大な影と父からの「デウスに乗れ」という唐突な洗礼だった。
一方、長空市に赤いボディースーツと真っ赤な槍を携えた少女が迷い込む。
自分がなぜこの「世界」に呼ばれたのか――
その理由と元の世界へ戻り手掛かりを探しながら、少女は宛てどなく長空市の荒廃した区画を彷徨う……。
登場キャラクター
※「崩壊3rd」側のキャラは、軒並み「エヴァ」側の各キャラそっくりな性格・出自に改変されている。さながら彼女らが役者として「エヴァンゲリオン」という物語を演じている様でもある。
イベントストーリーにおける主人公。EVAにおける碇シンジ役。
かつては長空市に住んでいたが、父の経済スキャンダルによって親戚に預けられていた。
その父から呼び出されて長空市に帰ってるが、直後に謎の巨大生命体の襲撃と赤いバイクを乗り回す美女、そして父からのデウス適格者としてデウスへの搭乗要請が待っていた。
3rd本編に比べてかなり後ろ向きな性格で、キャラクター全体をシンジに寄せている。そのため本来は父として敬愛している龍馬とは、本イベントストーリーでは接し方が分からず距離を取っている。
一方でシンジとは違い3rd本編同様の生身での戦闘の心得があり、その為にパイロットとしてのみならず様々な任務に駆り出される事に。
- 雷電龍馬
ME社元社長で、現ネゲントロピーの総司令。
何気に3rd本作でデフォルメされない状態では本コラボが初登場。イベントムービーにおいては木村昴がCVを担当した。
キャラクターはぶっちゃけ碇ゲンドウそのもので、サングラスに黒い制服、顎髭に逆光、我が子にすら容赦のない冷徹な結果主義と、厳格ながら親バカな3rd本編とは全くの別人と化している。
デウス適格者の第1号。EVAにおける綾波レイ役。
カカリアの娘で、EVA本編同様、重症の状態で芽衣と衝撃の出会いを果たす。
律者コアとの適合者でもあり、同時にそれが「適格者」の資格に関わっている。しかし適合実験の影響で感情の大半を喪失してしまい、情動が希薄で思考が読みづらい。
第6の使徒戦では、律者の力で芽衣とデウスを守り抜き、芽衣に「戦う理由」を示している。
デウス適格者の第2号。EVAにおけるアスカ役。
適格者として強い矜持を抱いており、唐突にデウス適格者となって活躍した芽衣をライバル視している。
性格はほとんどキアナそのものだが、出会った経緯が違うため芽衣に厳しい態度を取っている。
律者コアの適合者だが、デウスとの同調率が不安定なうえに一度暴走させかけたため、実戦に出れないことに苛立ち募らせている。
ネゲントロピーの隊員で芽衣たちの上官。EVAにおける葛城ミサト役。
主に作戦の立案と適合者の管理を任されている。
芽衣をネゲントロピー本部へと案内し、デウスの適合者として操縦する道へ誘った。
不安定な芽衣を一人の大人として心配する一方で、キアナのじゃじゃ馬ぶりにも手を焼いている。
なおミサトと違いバイクにて芽衣を迎えに来た上に、そのままタンデムで使徒とネゲントロピー機甲部隊との戦闘の最中を突破するという無茶を披露。これが芽衣ではなくシンジだったら生きた心地がしなかったのではないだろうか……
- カカリア
ブローニャの母であり、ネゲントロピーの研究員。EVAにおける赤木リツコ役。
姫子とは職場仲間である一方、本家のミサトとリツコほど打ち解けた関係ではない模様。
自らの娘を律者コアの適合実験に捧げ、デウス適格者として最前線へ送り込むなど、母としての情と使命を割り切っている。
- アインシュタイン
ネゲントロピーの副司令官。EVAにおける冬月コウゾウ役。
――と思わせて、イベントにおける裏の探偵役。
崩壊獣とは全く異なる「使徒」の在り方に興味を持ち、この世界の異常事態に対する解決策を模索している。
- ニコラ・テスラ
ネゲントロピーの研究員。いつものテスラ。
アスカの着用していたスーツに興味を持ち、その組成と構造の解析に着手する。
アスカとは服のセンスを始め、お互いに趣味と趣向がバッチリ合うようで、出会って間もなく意気投合し、アスカのために自身のものを基にデザインした衣装を提供している。
- デウス
ネゲントロピーが対巨大生命体用に用意した対巨大人型決戦兵器。
「適格者」と呼ばれる資格者のみが搭乗でき、その力を操ることが出来る。
適格者の素質次第では使徒にさえ肉薄する驚異の性能を発揮し、そのモデルも本家EVA初号機の要素を多分に追加してリデザインされている。
ゲスト参戦
- アスカ
異世界から迷い込んだ異邦人。
真っ赤なボディースーツに赤い刺叉のような二重螺旋の槍を携えている。
転移する前後の記憶を失っており、自分がこの世界に来た原因と元の世界に戻る手がかりを探している。
ネゲントロピーとは崩壊獣の掃討の際に出くわし、前日にデウスが使徒を殲滅する光景を目の当たりにして、彼女たちとの接触の機会を窺っていた。
勝気でつっけんどんな性格はそのままだが、一方で4章で挫折した芽衣に寄り添い立ち直るきっかけを作るなど、本編とは違った落ち着きを見せており、図らずもかつて憧れた人物のように芽衣を見守る存在となっている。
テスラとは諸々の部分を含めて意気投合し、自身のスーツを修復することを条件に、スーツの解析とネゲントロピーへの協力を承諾している。
最大の特徴は、原作では持たないズバ抜けた白兵戦闘力を与えられている点。異世界人にもかかわらず、崩壊獣を易々と薙ぎ倒す驚異の順応性を持ち合わせており、聖痕にもなんなく適合してみせるなど、ただの異世界人にしては謎が多い。
物理攻撃型の生物属性。武器は突撃槍。
チャージによる特殊攻撃でシールド(敵の耐久力)を減らし、必殺技で自身を強化しながら戦場を勇猛果敢に進撃していく。
攻撃範囲は広く、操作性も複雑なテクニックを必要としない親切設計。一対多数でも問題なく動くが、一対一での決戦でこそ真価を発揮する。
スキル関連をはじめ、TV版・新劇場版における細かいネタを満載した設計は、崩壊3rdを知らないエヴァファンを唸らせる会心の出来となった。
第4とはイベントバトルとして実際にデウスにて殴り合い、第6とはもちろんヤシマ作戦(流石に作中ではそう呼称されなかったが)が決行された。
一方でデウスは一機しか無いため、第8の使徒には孤軍奮闘する事に。
また第9の使徒はTV版のイロウルのようにネゲントロピー本部にハッキングを仕掛けてきた(この為、厳密には第9の使徒ではないかも知れない)。
その他
まさかの補欠
残念ながら本コラボにおいてシンジはハブられる憂き目に遭っている。
……まぁ、崩壊3rdの設定とエヴァの設定をすり合わせていくと、必然的に男性キャラの必要性が希薄になるのでしょうがない(汗)。
ちなみに同じく全く顔を見せていない渚カヲルの方はというと、中の人がオットー・アポカリプス役だったお陰で、存在感だけは上載のPVでしっかり(ちゃっかり?)示している。
デウス、遂に起動!!
EVA初号機の代打となったデウスだが、3rd本編のオープンワールド「天命本部」で動く動く詐欺になって久しかったのだが、まさかのコラボイベントで遂にその全容を(コラボ向きにアレンジされたとはいえ)白日の下に顕にした。
ようこそNERV本部へ
コラボ期間中、トップ画面もエヴァ色に染まっており、普段はロード画面でエレベーターが上昇してハイペリオンの艦橋に到着するところを、期間中はエレベーターが降下してNERV本部のEVA初号機のドッグに到着する。
メニューUIも普段の青と白のポップなSF調から、エヴァ本編でお馴染みの赤と黒の六角形に変わり、フォントも明朝体に統一された。BGMも「DECISIVE BATTLE」(戦闘BGMの定番のアレ)に変更し、EVAシリーズ独自の雰囲気をぐいぐいと押し出している。
コラボ効果
『原神』発表以来やや翳りの見えた『崩壊3rd』だったが、今回のコラボ企画と続く25章の評判によって、一時の勢いとはいえかなりのプレイヤー人口増員に成功している。
(その後の新参ホイホイ十三英傑の方が数倍効果が有ったとかは言ってはいけない。)