ばくはつだ!
ばくはつだ!
ばくはつだ!
げいじゅつだ!
なんだこれは!な概要
正式タイトルは「TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇」。
巨大ヒーロー(?)「タローマン」が、「奇獣」と呼ばれる怪獣となった岡本太郎作品と戦う、70年代の特撮ヒーローをオマージュした1話約5分の短編特撮番組。2022年7月19日から2週間に渡って連続放送された(全10話)。
YouTubeやニコニコ動画でも配信されているが、後述する「TAROMANと私」パートおよび展覧会の宣伝はカットされている。また、コメントやタグ付けは禁止されている。
滋賀県の「石田三成CM」、日本建設工業の「星のタービン」、奇譚クラブの「カプセルトイの歴史」などなど、様々なインパクトの強いCMを手掛けてきた藤井亮が監督および構成・脚本を、特殊映画研究室の石井那王貴が特撮美術を担当した。
また、特撮技術に関する取材協力として円谷プロダクション、資料提供として海洋堂も関与している。
「1972年(ソース)に放送された特撮番組の現存するフィルムをかき集めて再放送した」という体裁を取っており、番組後半の「TAROMANと私」コーナーでは、「タローマンマニア」という役柄のサカナクションの山口一郎が各回の「作品」と「ことば」について、太郎への愛と架空のタローマングッズを交えて熱く語る。なお、登場する奇獣のモチーフの中には70年代以降に生み出されたものも存在している。
AパートとBパートの終わりにはアイキャッチが挿入され、往年の特撮ヒーロー図鑑のようなタローマンの解剖図や、まるで普通の特撮ヒーローのような、本編では絶対に見られない真面目に奇獣と格闘戦をしている絵が見られる。
2022年~2023年にかけて、大阪中之島美術館(大阪府)東京都美術館(東京都)、愛知県美術館(愛知県)で開催の「展覧会 岡本太郎」のPRという側面もあり、会場では撮影に用いられたタローマンのスーツが展示されているほか、大阪では2022年8月20日~21日には特別イベント「タローマンまつり」が、9月23日~25日には一部展示物を追加・差し替えた「タローマンまつり2号」がそれぞれ開催された。東京では11月1日~12月4日まで、NHK放送博物館にて「展覧会 タローマン」が開催されたほか、愛知でも12月10日・11日にメディアス体育館おおぶにて「タローマンパーク in 大府」が開催された。
なお、番組内でもアイキャッチの合間に展覧会の宣伝が挟まれている。
2023年7月8日~8月31日には川崎市岡本太郎美術館にて「凱旋!岡本太郎」と合わせる形で「超凱旋!タローマン」が併催された。
美術展のPR作品に特撮作品をチョイスした理由については、「岡本に関するドラマやドキュメンタリーは先行の名作があるため、岡本太郎が発した『ことば』を主人公にした、短い番組をシリーズで作ろうと考えた」としている。
2023年には第54回星雲賞にて本作はメディア部門、ノンフィクション部門に「タローマンかるた」、自由部門に「TAROMAN現象」と3部門でノミネートされたが惜しくも全て受賞を逃してしまった。
メディア部門では「シンウルトラマン」ノンフィクション部門では「地球の歩き方 ムー ~異世界(パラレルワールド)の歩き方~」に賞を譲った形だが自由部門に関してはそもそも受賞該当無しという結果であった。
でたらめな登場人物
スーツアクター:岡村渉 声:岡本太郎(ライブラリ音声・技発動時のみ)
シュールレアリズム星から来た芸術の巨人(他にも、回ごとに違う様々な肩書きを持つ)。岡本太郎の思想に沿って、べらぼうででたらめな行動で奇獣に立ち向かう。
しかし必ずしも人類の味方ではなく、性格は気まぐれかつ傍若無人。
- CBG(地球防衛軍)
演:森野忠晋(隊長)、小笠原皆香(マミ隊員)、べーやん(おじさん隊員)、伊達要希(新人隊員)、北村直大(少年隊員)
タローマンと共同戦線を張って(?)奇獣と戦う防衛チーム。たびたびタローマンのでたらめさに振り回されている。
ちなみに公式ファングッズであるタローマンかるたでは、少年隊員が超能力者であることが明かされた。
- 風来坊
演:川端英司
タローマンの噂を聞きつけて旅から帰ってきた、カウボーイの格好をした謎の風来坊。ペットとして岡本太郎が作った彫刻「無籍動物」を連れている。
なぜかCBGの面々と一緒に行動することが多い。
防衛チームと共に行動する風来坊ということで、モデルはたぶんこの人たち。服装などはこっちからの影響も見て取れる。
また、公式ファングッズであるタローマンかるたでは、彼がメカのからだの持ち主であることが明かされた。
- 高津博士
演:ボブ・マーサム(村角太洋)
生物学者の男性。突如現れた奇想天外な奇獣に対して「でたらめなものにはでたらめなもの、べらぼうなものにはべらぼうなもので対抗する」と提唱する。
TVTニュースのコメンテーターを務めている他、科学特捜隊にとっての岩本博士のような立場らしく、CBGにも協力している。
謎だらけで行動が予測不能なタローマンの性質を深く理解している数少ない人物。早口。
名前の由来は、岡本太郎の作品が寄贈された、東急田園都市線の高津駅だと思われる。
- 勝又常吉
演:旭屋光太郎
TVTニュースのキャスター(アナウンサー)。高津博士を招いてタローマンの活躍を見守っているが、「でたらめなんて自分でもできる」「ヒーローは一度ピンチになるのがパターン」などと言ってマウントを取ったり、裏で陰口を叩いたりと小馬鹿にする言動が目立つ。
第4話でタローマンがピンチに陥る間接的な要因を作ってしまい、事態収束後に直接テレビ局に乗り込んできたタローマンに(話をしていた女性局員共々)必殺技を食らわされ、粛清された。
因みに、何気に作中の人物の中でフルネームが判明している珍しい存在だったりする。
- 鷲野社長
演:堀田マナブ(吹替:賢太郎)
建設会社「鷲野ビルヂング」の社長を務める老人で、秘書と思われるお供の社員を常に連れている。
自社のビルを高確率でタローマンに破壊されるのがお約束となっている。
「わしのビルがあぁぁぁ!」
「社長~!」
本名、鷲野蛭賀。本放送時のスポンサーである鷲野グループの社長が本人役でカメオ出演していた。
- 五里博士
ゴリラのような顔をしたCBG開発部のメカニックで高津博士の友人。
CBGのメカニックや武器の開発や整備を担当していたようだが「帰ってくれタローマン」内で放送された18話に登場し、宇宙から振ってきた隕石のエネルギーによって研究していたエネルギー装置と融合してしまいロボット奇獣 重工業と化してしまった。
高津博士と風来坊が救助しようと試みたがあえなくタローマンに重工業もろとも爆散させられてしまった。
突如、地球に現れ始めた「なんだこれは!」と言いたくなる奇想天外でアバンギャルドな怪生物。
怪獣のような巨大な個体の他に、知性を持ち人間大から巨大化する宇宙人のような個体もいる。
モデルは岡本太郎が生み出した数々の作品たち。
奇獣と戦うタローマンを空飛ぶ円盤から傍観する謎の宇宙人。目元を覆う黒いバイザーが特徴。常に三人一組で行動する。
モデルは岡本太郎による彫像「河童」。
第4話にて、タローマンと同じシュールレアリズム星から来た新たなる巨人にしてヒーロー。
タローマンと同等の戦闘力を持ち、スランプに陥ったタローマンの救援に駆けつけたが……。
モデルは川崎市の岡本太郎美術館の入口にある「赤い部屋」に展示されている顔と思われる。あとウルトラ兄弟No.1。
最終回のアイキャッチにのみ登場した、どこかで見たことのあるような姿の巨人。本編には登場していないので放送当時何者かは一切不明だったが、イベント「タローマンまつり2号」にて遂に、TAROMANの前番組に登場するヒーローでること明かされた。
TAROMAN劇場版にも客演し、タローマンと戦ったり奇獣島に登場した野生の奇獣の中に紛れたりしている。
岡本太郎的な元ネタは、つくば万博にて展示された(現在はつくばエクスプレスの万博記念公園駅前に移設)モニュメント「未来を視る」と思われる。
本編未登場。シュールレアリズム星のヒーローたち。
本編未登場。イベント「展覧会タローマン」東京会場にてスーツが初展示された。
下記の「タローマンヒストリア」にて、「TAROMAN」のパイロット版として制作された「太陽仮面サンタワー」に登場するヒーロー(と言う設定)だと判明した。
モデルは岡本太郎の「太陽の塔」。
下記の「タローマンヒストリア」にて存在が判明。「TAROMAN」のパイロット版として制作された特撮時代劇のヒーロー。
太郎侍同様、「タローマンヒストリア」にて存在が判明。「TAROMAN」以前に制作されたロボットアニメに登場するスーパーロボット。
モデルは岡本太郎の絵画「重工業」。
下記の「タローマンなんだこれは入門」にて存在が判明。詳細は不明。
モデルは岡本太郎の彫刻「無籍動物」。
べらぼうな各話リスト
設定上は1972年1月18日~8月8日の全30話放送となっているが、そのうちの映像が現存している10話分を再放送したという体裁である。2022年の再放送後に18話が再発見され、翌年の特番「帰ってくれタローマン」でお披露目となった。
※は(設定上の)本放送時の話数、No.は2022年放送時の話数(11話は2023年放送)。
※ | 本放送日 | No. | 再放送日 | サブタイトル | 登場キャラクター | タローマンの肩書き |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1月18日 | 1 | 7月19日 | でたらめをやってごらん | 奇獣森の掟 | 芸術の巨人 |
4 | 2月8日 | 2 | 7月20日 | 自分の歌を歌えばいいんだよ | 奇獣歓喜、河童星人 | 人助けの巨人 |
7 | 2月29日 | 3 | 7月21日 | 一度死んだ人間になれ | 奇獣未来を見た | ビルの谷間を覗く巨人 |
9 | 3月14日 | 4 | 7月22日 | 同じことをくりかえすくらいなら、死んでしまえ | 奇獣駄々っ子、タローマン2号 | あなたが呼べば来る巨人 |
12 | 4月4日 | 5 | 7月23日 | 真剣に、命がけで遊べ | 奇獣疾走する眼 | 足の速さが評判の巨人 |
15 | 4月25日 | 6 | 7月26日 | 美ってものは、見方次第なんだよ | 奇獣みつめあう愛、河童星人 | 若者の心に寄り添う巨人 |
20 | 5月30日 | 7 | 7月27日 | 好かれるヤツほどダメになる | 奇獣赤い手青い手 | 時を超え愛される巨人 |
23 | 6月20日 | 8 | 7月28日 | 孤独こそ人間が強烈に生きるバネだ | 奇獣傷ましき腕 | 動体視力日本一の巨人 |
25 | 7月4日 | 9 | 7月29日 | なま身の自分に賭ける | 奇獣午後の日、奇獣こどもの樹、河童星人 | 空を眺める巨人/無所属の巨人 |
30 | 8月8日 | 10 | 7月30日 | 芸術は爆発だ | 奇獣太陽の塔 | べらぼうな巨人 |
18 | 5月16日 | 11 | 8月5日 | 捨てる主義のすすめ | 奇獣重工業 | ちから自慢をしたい巨人 |
スチール写真のみ現存
※ | 本放送日 | サブタイトル | 登場キャラクター | タローマンの肩書き |
---|---|---|---|---|
2 | 1月25日 | 無目的に生きる。それがぼくの目的だ | 奇獣にらめっこ | にらめっこ無敵の巨人 |
3 | 2月1日 | ぼくは"幸福反対者"だ | 奇獣座ることを拒否する椅子 | 譲り合う心を持つ巨人 |
5 | 2月15日 | 絶望の中に生きることがおもしろい | 奇獣赤い兎 | 驚きの聴力を持つ巨人 |
6 | 2月22日 | あなたは何に燃えたいか | 奇獣露店 | じっとしていられない巨人 |
8 | 3月7日 | 鏡のなかに自分を発見する | 奇獣変身 | いつまでも変わらぬ巨人 |
10 | 3月21日 | 自分の中に毒を持て | 奇獣石と樹 | 毒物大好物の巨人 |
11 | 3月28日 | たとえ敗れると分かっていても、おのれを貫く | 奇獣樹霊、奇獣ダンス | 踊らずにはいられない巨人 |
13 | 4月11日 | 人生は他人を負かすためにあるのではない | 奇獣青、奇獣緑、奇獣赤、水差し男爵 | ストレスがたまった巨人 |
14 | 4月18日 | マイナスに飛び込め | 奇獣月の壁 | 宇宙遊泳チャンピオンの巨人 |
16 | 5月2日 | 「いつか」なんて絶対ない | 奇獣ラプラス | 時の流れを無視する巨人 |
17 | 5月9日 | 逃げない、はればれと立ち向かう | 河童星人 | 法律に縛られない巨人 |
19 | 5月23日 | 芸術は進歩するものではない | 奇獣縄文人 | 気軽に時空を歪ませる巨人 |
21 | 6月6日 | 迷ったら、危険な道に賭けるんだ | Mr.ノン | 結局は負けず嫌いの巨人 |
22 | 6月13日 | あなたは常識人間を捨てられるか | 河童星人 | 好奇心旺盛な巨人 |
24 | 6月27日 | ただひたすら、まっすぐにスジを通す | 奇獣電撃、奇獣雷人 | 義理人情の巨人 |
26 | 7月11日 | 人生は意義ある悲劇だ | 奇獣軍団 | 平泳ぎ世界チャンピオンの巨人 |
27 | 7月18日 | ゆきづまっているからこそ、ひらける | 奇獣明日の神話、重工業T | 道に迷った巨人 |
28 | 7月25日 | 自分の運命に楯を突け | 奇獣トランプ、水差し男爵 | パリを燃やす巨人 |
29 | 8月1日 | いのちを賭けて運命と対決するのだ | 奇獣軍団 | 帰ってきた巨人 |
(参考文献:TAROMAN CHRONICLE)
マイナスに飛び込む余談
タローマンまつりにて展示された企画書によれば仮題は『TAROMASK』であり、顔の没デザインも何案か存在したという。
ただし、これは「TAROMANと私」同様の存在しない記憶要素な可能性もある。
岡本太郎の作品を元ネタにした特撮作品は『TAROMAN』が最初ではなく、2014年に超合金「太陽の塔のロボ」を発売したバンダイが、佛田洋監督による短編特撮PVを制作していたりする。
また、1956年の特撮映画『宇宙人東京に現わる』では、メインキャラクターである宇宙人「パイラ人」のデザインを岡本太郎が担当している。
2022年10月25日より、「展覧会 岡本太郎」の物販において、Blu-rayおよびDVDが(事前告知なしで)先行販売されている。本編の他、映像特典として、山口一郎の解説コーナーである「タローマンと私」のノーカット版、奇獣図鑑、イベント「タローマンまつり2号」に合わせて制作された新規映像(前番組の最終回、タローマンの予告動画、タローマンソーセージのCM)、そして真のエンディングが収録される模様。
また、同日に生放送されたNHK大阪放送局制作の「第22回 わが心の大阪メロディー」にタローマンがムック、ガチャピン、ミャクミャクと共にゲスト出演。そのでたらめでべらぼうな動きで強烈な存在感を示した。
2022年12月3日の夕方に歴史秘話ヒストリア風に『TAROMAN』の架空の歴史を語る10分番組「タローマンヒストリア」が放送。OPテーマのフルコーラスが初公開されただけでなく、制作秘話や著名人のインタビュー、タローマンがゲスト出演したバラエティ番組の映像が盛り込まれ、ますます「存在しない記憶」が増えていく事になった。
しかも番組最後の人気投票に至っては、主役のタローマンを差し置いて本編に一切登場しなかったキャラが1位2位を独占する始末である(ちなみに1位が水差し男爵、2位がMr.ノン)。
「天下のヒーロー雑誌」と名高い『てれびくん』の2023年2・3月号に、爆発的付録と称してタローマンのなりきりお面が収録。仮面ライダーギーツやウルトラマンデッカーといった最新ヒーローと共にタローマンが並び立つ姿は正にでたらめである。
また、てれびくんの公式Twitterはタローマン関連の最新情報を結構な頻度でツイートしている。
2023年3月2日には『TAROMAN』のあらゆる架空の歴史や資料等が網羅されたファンブック「TAROMAN CHRONICLE」、同年6月28日には1972年発売された小学館入門百科シリーズの超復刻版(と言うていで制作された)「タローマンなんだこれは入門」が発売されている。
同年7月18日未明にはNHKのフィラーとして「おやすみタローマン」が放送。放送休止帯で延々とタローマンの映像が放映されるというでたらめな事態に。
これはもはや新たな都市伝説…もとい、明日の神話になりかねない。
同年8月5日には特番「帰ってくれタローマン」が放送。前述の通り幻の第18話が全編公開されただけでなく、タローマンと少年隊員が相撲で勝負をする「タローマンでたらめ大相撲」や「タローマン電話人生相談」「タローマン天気予報」の他、太陽仮面サンタワーのOP、タローマン本編の次回予告、更には劇場用映画「タローマン大統領」が公開された。EDは山口一郎氏の歌う「爆発だっ!タローマン」である。
関連項目は爆発だ!
二次創作・ネタ
ウルトラマンTARO - ウルトラシリーズとのコラボタグ。上記のように、本作は円谷プロの取材協力を受けている。
その他
暴太郎戦隊ドンブラザーズ - ほぼ同時期に放送の「太郎」繋がりの特撮番組。NHKもさりげなくネタにするツイートをしている。そしてついに、さりげなくなくなったツイートもした。