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冴羽獠の編集履歴

2024-03-16 10:46:34 バージョン

冴羽獠

さえばりょう

北条司の漫画、及びそれを原作とするアニメ『シティーハンター』の主人公であり、『エンジェル・ハート』のメインキャラクターである。通称は『もっこり男』、または『新宿の種馬』等がある。

「俺の名前は冴羽獠。『都会の悪を掃除する』それが俺の仕事だ。」

「俺の武器はコルト・パイソン357マグナム。撃ち抜けないのは美女のハートだけさ。」


プロフィール

身長186cm
体重72kg
年齢自称二十歳(実際は推定30歳以上。1989年のエピソードで香に30歳と決めてもらった)
誕生日3月26日(香に決めてもらったもの)
特技もっこり
恋愛の趣向純情一直線?
目標世界中の女の子とお友達になること(♥)
CV
演者

シティーハンター

概要

新宿を拠点に活動する超一流のスイーパー

シティーハンター 冴羽獠の裏社会での通り名であり、並大抵のヤクザチンピラはその名を聞いただけで戦慄する。

彼への依頼方法は新宿駅東口の伝言板にXYZ(“もう後がない”と云う意味)』の3文字を書くのが基本である。

依頼人との接触は、『カクテルXYZ』をバーで注文する、互いの胸に薔薇を刺して合言葉にする(商売敵の仕事を横取りした時に使った)等があるが、依頼人が美人なら直接獠がナンパしたり、相手が医師の場合は患者に扮しての接触も有る。


表向きはパートナーの槇村香と共にボディガードや探偵業を営む『冴羽商事』の社長兼『冴羽アパート』の管理人と言う名目だが、新宿、特に歌舞伎町では後述の素行が広く知れ渡っており、TVアニメシリーズでは『遊び人リョウちゃん』なる珍名が近所でついていた。

一般的な『シティーハンター』の知名度にはバラつきがあり、世間ではスイーパーとしての実力より、「もっこりスケベ」で、「女好きだが男や子供は大嫌い」な事が有名になっている。


ファッション

獠の服装はアニメ版では基本的には半袖のTシャツジーンズチノパンを履き、アウターに腕捲りをしたジャケットを纏うパターンが多い。

原作漫画ではジャケットよりもロングコートやブルゾンジャンパーを着用する事が多い。

いつも同じような服装をしており(香曰く「年中着たきりスズメ」)、しかもコートからは変な匂いまでしている。

作中に出てきた香の友人であるファッションデザイナーの北原絵梨子は、獠の格好を見て「ファッションセンスのない男」だと判断した(ただし、プロのスイーパーとして鍛え上げられた身体は褒められて、ファッションショーのモデルにスカウトされた)。

後に、その獠の服装は生き伸びる為のサバイバルファッションだった事が判明する。

ベルトのバックルには小型ナイフが仕込まれ、コートの表地と裏地の間には分解した銃と弾丸に加えて、コンドームに時限発火装置、コートの裏地には火をつけるとガスを発生させる特殊発煙剤、さらにはプラスチック爆弾と起爆剤まで仕込まれており、いざという時には切り札となる。

2019年の映画『劇場版シティーハンター 新宿PRIVATE EYES』では獠のコートは防弾仕様になっており、戦闘用ドローンの激しい銃撃から依頼者の進藤亜衣の身を守った。

なお、生地に痺れ薬や催眠薬等の様々な薬品を染み込ませたパッチワーク柄のトランクスパンツを使用したこともある(これを見た野上冴子は吐き気を催していた)。


戦闘能力

獠の拳銃による射撃の腕前は超一流で、その正確無比で超精密な狙撃は同じ箇所に数発弾丸を撃ち込むワンホール・ショットさえも可能にする程である。

それに加えて運動神経も抜群であり、日々の鍛練で鍛え抜かれた身体からは凄まじいまでの動きを繰り出す。

基本的に右利きだが、左手でも問題なく銃を扱える。

素手での格闘にも優れ、ヤクザの組事務所の構成員集団をものの数分で沈黙させる。

腕力も利き腕でもない左手だけで成人男性を軽々と持ち上げる程である。

普段はメタルジャケットの弾丸を込めたコルト・パイソン357マグナムを愛用。

時にはベルトに仕込まれた鋼線やバズーカ、クロスボウ、毒針付きの指輪等の暗器も使う。

ライフル銃による長距離狙撃や、投げナイフの技にも長ける。

裏世界では「最強のプロ」とされ、恩師の教授からは「獠が本気になれば一人で東京を壊滅させる」と謂われる。

その鍛え抜かれた鋼のような肉体から繰り出される戦闘能力・身体能力は驚異的である。

聴覚は雑踏から撃鉄の音を捉え、釣り銭の金額を正確に当て、視覚はイヤリングの鏡面でビルの物陰を見通し暗殺者のスコープから生き延びるほどに鋭敏である。

新宿中のヤクザや暴力団からは「冴羽様」と恐れられ、実質的な街の顔役である。

本気を出す時にはヘラヘラした間抜けな顔になるが、教授によるとその状態では「30分で一個師団を壊滅させる」程の力を発揮する。

たとえ人質が居ようとも 「俺は逃げんし、歩みも止めん」 と敵陣の真っ只中を堂々と前身して周囲の敵を一掃し、例え武器で脅しても 「見えんな…」 と一蹴して、躊躇なく正確無慈悲な銃撃で武器を弾くか、破壊を行う。


香が正式に『シティーハンター』としてパートナーになってからは彼女に「残酷なものを見せたくない」という配慮からか、獠は基本的に相手が極悪人であろうと「殺害」という手段はあまりとらなくなったが、彼女が登場しない原作漫画初期のエピソードでは(編集者の意向でハードボイルド色が強かったため)、悪人を必ず殺害していた。

香と組んでからも、相手を殺すと決めれば、その標的に対しては非情である。

特に香の兄である相棒の『槇村秀幸』を殺害した仇敵の麻薬密売組織ユニオン・テオーペが使う『悪魔の薬=エンジェルダスト』に侵された者はゾンビのごとき狂人と化してしまい、救いようが無いために例え香の目の前であっても人体を破壊して完全に殺害するしか方法がなかった。

原作漫画の終盤では敵対関係で親友の仇とは云え、育ての親であった養父の『海原神』も決闘の末に殺害している。

但し獠は女性は可能な限り殺さない主義であり、プロの女性が獠と戦えば死の間際に彼から逆に庇われるか、敗けを認めて潔く自害するかのどちらかのパターンが多く見られた。

例え一度は見逃しても、二度も自分に刃向かった者には容赦はせず、敵組織を襲撃した際には雑魚でも確実に仕留めている。

プロである自分に喧嘩を売った素人同然の標的や異常犯罪者の場合は、徹底的に精神状態を極限まで追い詰めてからジワジワと痛みを味わわせた上で倒し、時には陰湿な手段までをも行使する。

その獠の行動は「暗い」の一言に尽き、香からは「よくこんな暗いことを思いつくな」と言われ、本人も自分が「根暗」だと認めている。

週刊少年ジャンプ』に連載された漫画作品の主人公としては珍しい気がするが、これは被害者や依頼人の心情を察しての行為である。


裏社会No.1の貫禄からか、獠はどのような敵に対しても怯むことなく、常に余裕綽々とした態度を崩さない。

スイーパーとしてのプロ意識とプライドが高く、相手の腕前に対しては軽はずみなお世辞は決して言わず、甘えも許さない。

自分に守られることを「当たり前」だと依存していた香を(敵から遠ざける目的もあるとはいえ)「パートナー失格」だと突き放し、相手の実力に対しても辛辣な評価を下す(逆を言えば、獠による人物評価はその者に相応の技量があることも表している。例:海坊主槇村秀幸、物語終盤の香など)

その一方で自分の壮絶な過去や内面に対しては他人にはひた隠し、それらを探られると一変して不器用で屈折した様なナイーブさを見せる。


容姿と私生活

獠は非常に体格が良く、しかも高身長でありルックスも良い。

仕事柄、その肉体は鋼の様に鍛え上げられており、強靭かつしなやかであり、しかも持久力もある。

かなりの大食漢かつ酒豪でもあるが、家事の類も必要スキルで習得しており、調理に関しても主夫レベルを超えた腕前により、依頼人や保護対象者も唸らせる事もあった程(香よりも料理上手である)。

ただ、香がアシスタントとして同居してからは彼女が家事全般をするようになったせいか、普段は食事もコーヒーも風呂の準備も全て彼女に任せていて、自発的に家事をしているところは見られない(その亭主関白のような様子を見た香の実姉・立木さゆりからは、「妹を騙して身の回りの世話にこき使っている」と非難された)。

日本で槇村秀幸と組んで『シティーハンター』として活動し始めたばかりの頃(香がまだ高校生の頃)は『冴羽アパート』の中は閑散としており、獠が住む部屋の中はろくに掃除もせずにタバコの吸い殻やゴミが乱雑に散らかっているままといった自堕落ぶりで、生活感を持つ様になるのは香がパートナーになり『冴羽アパート』に同居して以降である。


美樹の登場後は、彼女と海坊主が経営する『喫茶キャッツアイ』に入り浸ることが多くなり、香が仕事の依頼を受けた場合は依頼人と獠の初接触もここで行われるパターンが基本となった。


趣味嗜好と人物像

獠はプライベートでの趣味も多彩で、手先の器用さもあってかドミノやビリヤード、パズルやトランプタワーといった難易度の高いものを一通りプロ顔負けの腕前でこなす程である。

生き延びる為のサバイバル、トラップ技術もゲリラ時代から続けていたので、時にはその術を依頼主の少年に教えてもいる。

『七つの声を持つ男』と自称し、タモリトシちゃんに始まり塩沢とき田中角栄の物真似を披露した時にはギャラリーから絶賛され新宿の街頭で大人気になってしまった程である。

更には初対面のモブ男の声を即興で真似して危機を乗り越えたこともあった。

物真似の得意な人物は『ケンシロウ』(原作劇中でも眉毛に海苔を貼ってやって見せた)である。

更には機械類の扱いにも長け、警察無線の通信傍受や盗聴もお手の物で、車のドライビングテクニックも超一流である(香曰く「獠の運転は荒い」らしいが、香本人も運転の荒っぽさは中々である)。

車は複数台所有しており、『冴羽アパート』のガレージ内が描かれたシーンでは何台か(ユニオン・テオーペから強奪した現金輸送車まで)確認できる。

原作漫画の初期ではバイクにも乗っていたが、中期から獠の愛車は赤い『ミニクーパー1275S』一台に絞られた。

カーチェイスや戦闘で破壊されたり、海坊主が乗り込む際に助手席のシートを強引にひっぺがされてサンルーフを突き破られたり(しかも海坊主の重さで全輪のタイヤがパンクした)と劇中では散々な目に遭っているが、その度に修理されて完全復活している。

獠のミニクーパーのナンバープレートは原作漫画内(エンジェル・ハートも含む)では一貫して『歌舞伎町69 あっ 19-19』だが、アニメ版では『新宿56 さ 32-98』に変更された。

ただし、劇場版の『新宿PRIVATE EYES』と『天使の涙(エンジェルダスト)』でのナンバープレートは原作とアニメ版を合体させた『新宿300 あ 19-19』になっている。

このナンバープレートは『天使の涙(エンジェルダスト)』のオフィシャル劇場物販グッズとなり、ファンからは大好評で数あるグッズの中では真っ先に売り切れた。


獠は幼い頃に遭った飛行機事故のせいで戦場のゲリラの村で育ったので義務教育は受けていないが、後述の養父の薫陶によるものなのか、教養は非常に高い。

様々な方面に深い知識と技術を持つ。政治家や経済人の経歴にも詳しく、ニュースもこまめにチェックしているようで、「過去10年のすべての事件がこの頭に入ってる」と豪語する場面がある。

和歌を一瞬見ただけで、それが詞花和歌集の一節だと見抜く場面もある。

日本に来る前はアメリカでスイーパーをやっていた様に、海外でも問題なく生活していたようなので、英語を始め、外国語にも精通している。

その反面、流行や話題になっている人物・物事には意外と疎く、香に教えられることも多い。

普段の言動からアホに見えるが、実際には頭脳明晰で洞察力も鋭く、機転も効き、更には読唇術も出来る。


教授を除き、必要な時以外は基本的に誰に対しても敬語を使わず、所謂タメ口で話す。

話し方もよく言えば率直、悪く言えばぶしつけ。女性には敬称をつけるが、男性にはつけない。

よく使う二人称は「おたく」で、女性には「君」を使う。ちなみに香に対しては「お前」である。

基本的な一人称は「俺」だが、場合によっては「ボキ」や「僕」などを使う。


原作漫画での獠は喫煙者であり、愛用の銘柄は『ラッキーストライク』である。

アニメ版では基本的に喫煙しないが、タバコを吸おうとしたことはあり(『シティーハンター’91』第5話)また、TVスペシャルや劇場版のOPとEDに流れるアニメーションでは喫煙している描写が見られる(『グッド・バイ・マイ・スイート・ハート』『劇場版シティーハンター 新宿PRIVATE EYES』など)。


幼少期の墜落事故によるトラウマから獠の弱点は飛行機である。

ただし、アニメ版では、この設定はなく第2話で槇村が操縦するセスナ機に乗り込みライフルで狙撃し、パラシュートを用いてスカイダイビングして依頼人を救出するエピソードが描かれた。


獠は女好きな反面、男や子どもは大嫌いで、男の依頼は基本的に受けたがらないが、意外にも面倒見は良く、依頼人の少年に銃のコーチをし、アニメでは我儘な悪ガキの国王に(ハーレムへの招待という報酬があるとはいえ)一人前の男になるよう教育したりした。

また原作でも、赤ん坊を預けられた時にはブツクサ言いながらも親身になって世話をし、子供から懐かれると満更でもない反応を見せていた。

ちなみに相手を「一人前」だと認めると、きちんと下の名前で呼ぶようになる。

一応は男や子供からも(美女絡みなら)依頼を引き受ける場合もあるが、最も重要なのは「(依頼者の強い悲しみや無念の思いに自身の)心が震えた時である。

どんな理由があろうと「人を殺す」自分のことを「悪(ワル)」だと断じており、「表の世界の人間には殺す価値のない人間を殺すために俺のような男がいる」、「ワルじゃないと出来ないこともある」と語っている。

但し、金さえ積めば無差別に殺しを請け負う「通常の殺し屋」のことは嫌悪している模様。

殺し屋から「ご同業のあんたは俺たちの仲間だろ?」だと許しを乞われたり「警察の手先の裏切り者」だと罵倒された時には激怒し、「俺は自分の気にくわないと思った時に自分の思うように動くだけ」だと言いきっていた。


もっこり

獠は黙っていればハードボイルドな風貌の「いい男」なのだが、性格は超が付くほど女好き

海坊主からは『新宿の種馬』と渾名を付けられた。

下着泥棒から女湯覗き等々、依頼者やその関係者に対してスケベな悪事を毎回働いており、それを香に見つかって100tハンマーの制裁を喰らった回数は数え切れない程である。

彼がよく使う単語もっこりは彼及び『シティーハンター』という作品の代名詞にもなっている(但し、18歳未満の年齢の女性に対してはもっこりせずに普通に子供扱いするなど一線は守っている。故に対象年齢外の少女に好かれやすい)。

守備範囲は18〜30歳までだが、大人びていると、範囲外の少女でも『もっこり』することはある。

ただ女絡みでは誘惑に滅法弱く、どんなに気をつけていても、女性の下着を用いたトラップや冴子の色仕掛けにいとも簡単に引っ掛かる始末である。


こういった獠のスケベ行為や、一見するとただのお調子者にしか思えない軽い性格(獠は「日本一軽い男」を自称している)は、殺し屋などに狙われている依頼者(主に女性)の恐怖や不安を和らげるために「意図的に行っているもの」なのではないかと香は分析しているのだが…。

その影響力は凄まじく、子供だけでなく、男性劇団員や病人に至るまで……教授やりすぎです。

そう言った気風もあり、新宿に住み、街をこよなく愛する人々からはとても慕われており、情報屋も気軽に裏情報を提供し、また偽情報も流して獠の手助けをする。

逆に獠が困った場合はカクテルや居酒屋などで自身の危機を伝え助けてもらう。

こうした獠の人柄は、人の心が読める少女・西九条紗羅から「氷のような寂しい世界で孤独に戦ってきたけれど、とても温かい人」だと表現されており、好んだ客の銃しか見ない伝説的ガンスミスからも「他人のために死すらも恐れず戦える真の男」と評されていた。


但し、ツケでしょっちゅう飲み歩いては支払いを滞らせているため、街に出れば飲食店からツケの返済を求められ、追いかけ回されるのも度々である。


見た目は二枚目なのに中身は完全に三枚目というギャップこそが彼の魅力であり人気の源。

獠の『もっこり』は(他の部分がダメなのに)防弾ガラスを貫通し、鋼鉄の貞操帯をも破壊する威力である。

フルパワー状態では喫茶キャッツアイ』の天井の梁を破壊し、壁には変な穴をいくつもあけるし、ハーレムを丸ごと腰砕けにするレベルの強靭さを誇る。

なぜか新聞は床に落ちないし、なぜか獠は宙に浮いてしまうのであった。

もっこりパワー』恐るべし…。


獠の金銭感覚

日課のナンパで獠は女性からビンタされて振られるのがオチだが、決して魅力がないわけではなく、彼の優しさや強さに触れた依頼人の女性から好意を抱かれることも多い。

しかし彼自身は、裏稼業ゆえに愛する者は持てないと、依頼終了後は依頼人にわざと嫌われる言動を取り、依頼人の前から姿を消して他人を遠ざける。

彼に依頼する料金は相当な額(肛門裂傷やもっこりの治療代に丸ごと充てられるほど)を要するが、相手によっては無償にも等しい額(最低でも500円)で引き受け、その後のアフターケアも万全と豪語する。

それでも、ヤクザから巻き上げた1億円を1週間で消費するほど、獠の金銭感覚とエンゲル係数は感覚麻痺している(このため、常に香は『冴羽商事』の経済的やりくりに頭を抱えて悩まされている始末である)。

大半は武器弾薬の製造と補充や食費、更に敵対者や依頼人の身辺調査、愛車や住居の修繕費に当てられる。ツケで店屋物を注文するのもザラ。

香とは対照的に依頼が来ず、金に困っても、獠は慌てる様子はなく平気でいる。

香のビラ配りに付き合わされているが、その際にも、やる気が見られず、いつも逃走してはサボって美女をナンパしている。

どんなに困窮しても、金で魂を売ることは絶対にしない(ただし、上述した獠から金を巻き上げられたヤクザの親分から、仕事を引き受けず不当に金だけを奪ったことを正論で諭されてしまい、渋々依頼を受けたことはある)。


過去と現在

獠は実年齢を誰に聞かれても決して明かさない秘密主義者で、常に「20歳」だと主張し続けている。

実は、獠はまだ物心も付かない幼少期に、両親と乗っていた飛行機が中南米のとある内戦国のジャングル地帯に墜落すると云う悲劇に遭っている。

彼はこの飛行機墜落事故の唯一の生存者であり、この時に実の両親を亡くしていたのである。

ジャングルに放り出され、何日も彷徨った末にゲリラ部隊が拠点にしていた村に拾われる。戦士しか必要としないその村で生き伸びる為に、幼い頃からゲリラの兵士として戦っていた。


優秀な戦士だったブラッディ・マリィーの父と海原神を親代わりに育ち、彼らによって戦う術や武器の扱いなどを教えられ鍛えられた。

獠の戦闘技術や知識、身のこなしはこの頃から培われたものである。

自分と同じ日本の血を引く海原のことを「親父」と呼んで実の父親のように慕い、海原も獠のことを本当の息子のように愛していた。


しかし、長引く戦乱で正気を失った海原に裏切られ、投与された者を無敵の狂人へと変えてしまう悪魔の麻薬エンジェルダストを打たれて暴走し、彼の推奨する作戦の戦果を示す実験台として戦わされる。

それにより、エンシジェルダストの禁断症状により生死を彷徨うが、献身的な軍医の治療で、何とか症状を克服し回復するも戦争自体はゲリラ側が敗北し、海原は彼に恐れをなした同志達によってゲリラ部隊を追放されていた。


戦後はマリィーの父を最初のパートナーとして渡米し、彼の死後は娘であるマリィーと組むが長くは続かず、その後はミック・エンジェルケニー・フィールドとパートナーを変えながら、バウンティハンターとしてアメリカの裏社会にその名を轟かせる。

『シティーハンター』の名称は既にアメリカ時代に名乗っており、その時のパートナーがミック・エンジェルである。

ケニーの死後は生まれ故郷である日本へと密入国し、しばらくは単独で活動していたが、とある事件で知り合った刑事の槇村秀幸が警察を退職したことで彼を相棒に迎えて新宿で『シティーハンター』として始末屋(スイーパー)を始めた。


このように語られているだけでも、獠は普段の能天気な姿からは想像できない壮絶な過去を持つ人物である。

過酷で荒んだ生い立ちから、アメリカ時代は暗い死神の瞳を持ち、戦いに死に場所を求めるような破滅的な生き方をしていたとのこと(ただし、この頃からものすごいスケベだったらしい)


テレビアニメ版では更に『シティーハンター2』に登場したロバート・ハリスンと云う「アニメオリジナルキャラクターであるアメリカ時代の相棒(時系列は不明)」がおり、原作者の北条司氏によれば「ミック・エンジェルとロバートのキャラクターが大幅に被ってしまったせいで漫画でのミックの登場が随分と遅れてしまった」そうで、逆にアニメ版にミックが登場出来ない原因ともなってしまっている。


また、獠は幼い頃に遭った飛行機事故で身元を示すものを全て失い、余りにも幼い頃の出来事であったせいで記憶が曖昧で、本名も正確な年齢も誕生日すらも不明であり、公には既に「飛行機事故により死亡」と云う扱いになっているため、正式な日本人としての戸籍すら存在しない状態である。

『冴羽獠』という名前も死んだ両親から「リョウ」と呼ばれていたことしか覚えていなかった彼に養父の海原が名付けたものである。

上述したように、獠が他人に実年齢を明かさないのも、彼自身にも誕生日はもちろん本当の年齢すらも分からないからだと思われる(後に香によって誕生日を貰う)。


原作後半では獠とよく似た性格の老人で、祖父と思しき『神宮寺道彦』が登場している。

彼は飛行機事故で消息不明となった孫の『諒一(りょういち)』を探していた。

「飛行機事故に遭う」「名前の一部がリョウ」など、獠の出自と共通している面もあるが、血縁関係は明言されず(獠自身も否定している)、そのまま別れている。

『諒一』は、頭を負傷してその傷跡が残っていたらしいが、獠にはその傷がなかったらしい(海坊主によって同じ箇所に傷を負ったが、その前には傷は無かったと口にしている)ことから、おそらくは諒一と獠は別人と思われる。


香との関係

詳しくはリョウ香を参照

槇村香に対して獠は普段は男扱いして「俺が唯一もっこりしない女」(しかし、香が登場した当時はところ構わずおっ立てていた。また香が化粧をしたりして色気を出すと『もっこり』している)だと、のように接し、馬鹿にした言動を取ることも多々あった。

しかし、獠は本心では彼女をパートナーとして信頼しており、次第に深い愛情を抱くようになる。

また、香の影響で獠は人間らしい温かさを取り戻している。実際に香と初めて会った時の獠は、既に槇村とコンビを組んでアメリカ時代と比べれば多少角がとれていた後とはいえ、どこか冷酷で殺伐とした荒々しい雰囲気を漂わせていた。


当初は、「槇村からの大事な預かりもの」である香を裏稼業に染めてはならぬと、事情説明を敢えて教えずはぐらかし続け、トラブル終了時に理由を明かし、彼女の怒りを買いハンマーや暴力で制裁されるオチが多かった。

獠は槇村が愛用していた拳銃のコルトローマン・MkⅢを香に『お守り』として渡していたものの、「香に殺人をさせたくない」という考えから照準をめちゃくちゃに狂わせてどんなに狙って撃っても弾が明後日の方向にしか飛ばない様に細工していた。

しかし香との信頼と絆が深まった原作漫画の末期には、彼女の誠意に応えて「真のパートナー」としてバレルとサイトを正しく調整し直したコルトローマン・MkⅢ「もうガラクタじゃない。これをパートナーとして受け取ってほしい!!お前がずっと俺のもとにいたいと思うのなら…」と香に手渡した。

そして、愛し尊敬する父である海原神と、自分と香の運命を狂わせたエンジェルダストの忌まわしい過去との因縁に決着を付け、最終話ではようやく互いの気持ちが通じ合うのだった。


なお、アニメでは香と息の合った夫婦漫才のような掛け合いを見せ、彼女とスキンシップを取ったりする場面が多い。

俺の生きがい(シティーハンター)


エンジェル・ハート

今作では主人公・香瑩の義父として、彼女を見守る存在になっている。香瑩からは「獠爸々(パーパ)」と呼ばれている。主人公の香瑩が行動することが多いため、活躍は少なめである。


性格は基本的に『シティーハンター』の頃と変わらないが、中年になっているため、腰痛や老眼に悩む描写もあるが、それでもスイーパーとしての戦闘能力は驚異的で、敵側からは恐れられている。

しかしスイーパーとしてのプロ意識や存在意義を強く持っていた前作とは異なり、こちらではそうした面が見られないという相違点がある。実際に槇村や香の実力のなさを指摘しながらも彼らを突き放すことなく、相棒にしている。

また自信家なところもなく、ファルコンからは「基本的に不器用でバカ。度胸・勘・頭の回転の早さは抜きん出ているが、それに自分で気付いていない」と評されている。

前作での『シティーハンター』は裏社会No.1と恐れられる凄腕スイーパーの代名詞だったが、こちらでは「ただの新宿の掃除屋」程度の呼称になっている。


今作でも日本には密入国し、正確な戸籍は持っていないが『シティーハンター』と比較すると、そこまで悲惨な過去を送ってきたわけではなく香と出会う以前も、前作ほど殺伐とはしておらず、表情も柔らかい。

他人を遠ざける雰囲気もなく、海坊主、李大人や芳玉などの友人も存在している。

芳玉には戦闘中に(彼女に生きる意志を持たせるための方便だったかもしれないが)プロポーズまでしている。

香に対しても屈折した面は見られず、他人にも比較的柔和で素直な感情表現をしている。

また『シティーハンター』では、香に過去を知られることを恐れていたが、こちらでは会って間もなくの香に、自分に戸籍がないこともあっけらかんと明かしている。


こちらでも本名は不明だが、「冴羽獠」という名前は、たまたまポケットに入っていた身分証明書の中から香が適当に選んだものに書かれていただけという設定である。

しかし「リョウ」だけは海外勢を含めた多数の人物から呼ばれる事から元々の名前の一部である模様。


元々は傭兵であり(この頃にファルコンや芳玉、李大人に出会っている)、殺し屋として新宿のシティーハンターを(槇村秀幸)を抹殺するために新宿にやって来た。

しかし、負傷して生き倒れたところを香に助けられ、彼女の勤務先の診療所で介抱される。

意識不明の(ふりをしていた際に)自分に「あなたが死んだら悲しむ人になる」と告げた香への恩義から、「槇村が死んで香が悲しまないように」という思いで、素人同然の力量だった槇村を守るため、彼の相棒としてシティーハンターになった。


このような経緯から香を非常に大切に思っており、エンジェル・ハートの獠は彼女ありきであるとも言える。戦う理由もスイーパーとしての存在意義よりも「香が好きなこの街で、彼女の笑顔を見ていたいから」と語っている。

香にプロポーズしていたこともあり、こちらでは彼女は完全に内縁の妻であり、彼女の想い出に胸を打たれると人目をはばからず泣く(因みに『シティーハンター』では海原と再会した時の一度しか本気の涙を見せていない)

香の心臓を移植された香瑩に対しては、親友である李大人の依頼ということ、そして彼女自身の依頼から、父親として接する。

作中での行動は、親バカ以外の何者でもない(獠も本当の父親というものを知らないため、彼なりの誠意を尽くしているのだろう)。そして、彼女のために何度も命を投げ出そうとする。と同時に、相変わらずもっこりしてくれるのが嬉しいところである


香のハンマーを避けられない?

「なぜ獠は香のハンマーを避けられないのか?」というのは長らくファンの謎だったが、ついに公式ツイッターにて回答があった。

「避けられない」のではなく「避けない」のだと思います。行動にオチがつくといいますか、心のどこかで香に止めてほしいと思っているのかもしれませんね。」とのこと→北条司オフィシャル


余談

アニメで獠の声を演じた神谷明氏の一番のお気に入りキャラクターであったため、神谷氏が立ち上げた事務所の名前は『冴羽商事』である。

神谷氏が事務所を立ち上げる際に、事務所名をどうするかで親睦があった原作者:北条司氏に相談したところ、北条氏より『冴羽商事』『もっこりカンパニー』の二つ名前が挙がり、「公の場で事務所名を言ったり電話口で応対する事もあるから、『もっこりカンパニー』は流石に選べなかった」と現在の名前を選んだという逸話がある。


名前の漢字

「獠」の字は「僚」のにんべんがけものへんになったものであるが、漢検対象外であり、一部の日本語入力システムに非対応から、当時名前が似たキャラ名「遼」「リョウ」「りょう」などで代用されることがある。

  • 実はJIS X 0213でのサポート外であり、JIS規格ではJIS X 0212に対応している。しかしこの規格は補助漢字と呼ばれる、あくまでも補助的な規格に過ぎず、サポートしているフォントも意外と多くない。
    • 例えばメイリオは両規格を含むため単独で表示が可能だが、ヒラギノでは日本語版単体では表示できない環境がほとんどだろう。游ゴシック体ならば日本語フォント単独で表示できるが、macOSの場合はヒラギノに簡体字・繁体字バージョンも含まれているため、簡体字版を併用することでヒラギノでも表示可能となる。

派生作品

ファミコンジャンプ』では主人公に協力するジャンプヒーローの一員として登場。

彼の登場する第二エリアでは、彼以外では孫悟空(このゲームでは少年時代)が仲間になり、主人公は獠と悟空をお供にレッドリボン軍と戦うことになる。

最終決戦ではコルト・パイソンの他、バズーカをぶっ放して攻撃できる。

ちなみにヒゲゴジラのセクハラ攻撃を受けるとなぜか意気消チンするどころか逆に喜んで攻撃力が高くなる

2019年発売の『JUMP FORCE』というジャンプのオールスターゲームにもプレイアブルとして参戦している。


劇場版 & TVスペシャルでの活躍

愛と宿命のマグナム(1989年)

記念すべき最初の映画作品。

獠と海坊主は、チャリティーコンサートのため来日していた西ガリエラ国の天才ピアニスト、ニーナ・シュテンベルグから父親捜しを依頼される。ニーナは友人から二人のことを私立探偵と聞き、祖父クラウスの目を掻い潜って依頼しに来ていた。

やがてニーナの父親の正体が、東ガリエラ国の情報部大佐ヨハン・フリードリッヒ・フォン・ヘルゼンだと判明する。「赤い死神」の異名を取る凄腕であり、冴子には「獠でも敵わないかもしれない」と言われたほどだった。


一方、冴子たちは別件の仕事に追われていた。

来日した情報屋キルヒマンが、東ガリエラの極東破壊工作の資料を警視庁に高く売ろうとしていたのだが、ヘルゼンの狙撃によって射殺されてしまう(東ガリエラ側は口封じまでするつもりはなかったが、キルヒマンが空港を爆破して情報料を値上げしようとしていたのを見抜いたヘルゼンが独断で殺した)。

資料はマイクロチップに保存されており、それを預かっていたのがクラウスだった。東ガリエラはクラウスからマイクロチップを奪うため彼を狙い始め、ニーナまで巻き添えで連れて行かれそうになったことから獠たちは東ガリエラと対立することに。


マイクロチップ強奪の指揮を執るのは、東ガリエラの駐日大使ボンダル。

その側近ギュンターによってニーナとクラウスは拉致されてしまうが、獠とヘルゼンの活躍によって無事に連れ戻される。獠はニーナの前で殺生はしたくないとしてギュンターの右手を撃ち抜くだけに留め見逃した。


獠はニーナの改めてボディガードを受けるが、着替えを覗く、風呂場に先回りして一緒に入ろうとするなどしたことで信用がまったくなかった。しかし戦う姿の獠を見たことで好意を抱かれるようになった。


失敗続きのボンダルはライプニッツ大尉率いる子飼いの特殊部隊を投入。獠はニーナと共にマンションの地下にいたため対応が遅れ、香とクラウスを連れ去られてしまう。

そんな中、獠はニーナが持つペンダントにマイクロチップが隠されていることに気づく。居合わせた冴子からボンダルのアジトについて話を聞いた後、合流して来た海坊主と共に殴り込みを掛けることに。

この際、ニーナのペンダントを念のため胸ポケットに入れて持って行った。これが後に獠の命を救うこととなる。


ボンダルの屋敷を舞台に特殊部隊と銃撃戦を繰り広げる。敵の相手は海坊主が引き受け、獠は香とクラウスの救出に向かう。

特殊部隊とそれを率いるライプニッツ大尉は海坊主によって倒され、香を殺そうとしていたギュンターも獠に左手を撃ち抜かれ戦闘不能となった。しかしギュンターは、シティーハンターに対する恐怖と怒りから恐慌状態となり、地下に隠してあった無数の爆弾を起爆させて屋敷を吹っ飛ばしてしまう。


間一髪のところで脱出した獠たちの前に最後の敵ヘルゼンが現れる。

ヘルゼンにとってクラウスは義理の父親。東ガリエラの意向に従っていただけでクラウスとニーナに手を出すつもりはなかった。

20年前、若き日のヘルゼンは血と硝煙の世界から妻子を遠ざけるために姿を消していた。だが互いに信頼して戦う獠と香の姿を見て自分の決断は間違いだったのではと思い始める。

その答えを知るためにヘルゼンは獠との一騎討ちを望んでいた。


かくして、愛する者を全力で守り続ける男と、愛する者を遠ざけ孤独に生きた男の決闘が幕を開けた。

早撃ちの実力はまったくの互角であり、獠もヘルゼンも互いに胸を撃ち合う結果となった。

しかし獠は死ななかった。ニーナのペンダントがヘルゼンの凶弾から守ってくれたのだ。地に伏したヘルゼンは、密かに戦いを見届けていた部下によって「死亡した」と東ガリエラに伝えられた。


そして屋敷も部下も失ったボンダルは脇目も振らずに逃げ出すが、戦意を持たない小物に興味を示す者など誰もいない。

ヘルゼンの死、特殊部隊の全滅。これだけのことをしておいてボンダルが無事で済むはずがなく、逃げ帰った先で東ガリエラ側から強制収容所送りになることを告げられるのだった。


ベイシティウォーズ(1990年)

美樹から東京ベイシティホテルの落成式に誘われた獠だが、チケットを失くしたため参加出来ず空腹のまま新宿を彷徨っていた。

そこへ外国人美女を見かけナンパするがなぜか海坊主が割って入り、彼女を連れ去ろうする。モッコリを取られると思った獠は海坊主とケンカをしてしまい、その間に美女は車に乗って逃げてしまった。

一方その頃、ベイシティホテルはギリアム将軍率いる兵士たちによって占拠されていた。パーティーに参加していた香と美樹は囚われの身となってしまう。


獠は海坊主の運転する車に無理やり乗り込んで美女を追い掛けるが、兵士たちにいきなり攻撃され海へと落下してしまった。訳も分からないままベイシティホテル近郊の遊園地で兵士たちと銃撃戦を繰り広げ、居合わせた海坊主と共闘する。


ギリアム将軍は南平のコステロ共和国の支配者だったが、7年間に渡って7万トンものの麻薬をアメリカ国内に密輸入していた。これによりアメリカから軍事介入(起訴)され追われる身となったギリアムは、共和国から逃亡して日本へと渡る。

ギリアムの目的は、ベイシティホテルのスーパーコンピューターを用いてアメリカの防衛機構をハッキングし、アメリカ国内にミサイルを落として報復することだった。獠が追い掛けていた美女はギリアム将軍の娘ルナであり、コンピューターのスペシャリストだったのだ。

海坊主は冴子からルナを確保するように依頼を受けていたというのが真相だった。


獠はルナを説得しようとしたが拒否され銃を向けられる。これを容易く制圧すると、今度は色仕掛けをされるが無視して香の居場所を問う。香は35階の一室に監禁されていると聞き出すが、2、3分で部屋が爆破されるという。獠はルナを放置して救出に向かうが、これは罠であった。

部屋には香はおらず美樹が監禁されていた。しかもドアを開けると爆弾が起爆するように仕掛けられていた。幸いにも獠は窓を壊して侵入したため難を逃れ、美樹を助けに来た海坊主とも合流して香の救出に向かう。


ギリアム将軍は初めからホテルを爆破して兵士たちを消し、自らも死んだと偽装するつもりだった。そうすることで追及の手から逃れようとしていた。

ルナによって報復が果たされようとする寸前、駆け付けた獠は銃を向けて説得しようとする。しかしルナもまた祖国から自分たちを追い出したアメリカ軍への復讐心に取り付かれており「あなたに女性は撃てないわ」と言い放ち、ハッキングを終えようとする。

そこへ遅れて現れた海坊主がバズーカ砲でスーパーコンピューターを破壊。計画を潰されたギリアムはホテルを爆破しようとするが、獠の銃弾に撃たれ、よろめいたところをスーパーコンピューターと接触して感電死するという末路を辿った。

しかし爆破スイッチを押されていたためホテルの各所で爆発が発生する。獠はルナの手を掴んで仲間たちと共に脱出する。


復讐計画を阻止され父も喪ったルナは無気力な人間となってしまい、わずかに生き残った兵士たちと共に警察に連行されて行った。獠はルナの改心を望んでいたが、それが成されることは最後までなかったのだった。

エンディングでは香から「あの時、海坊主さんが現れなかったらルナさんを撃ってた?」と問われるが、獠には「さあな」としか返答出来なかった。


百万ドルの陰謀(1990年)

ベイシティウォーズの後日談。

香から冴羽商事の宣伝活動に引っ張り出された獠。やる気もなく手伝っていたところ、ロサンジェルスからやって来た金髪美女エミリー・オハラから依頼したいと言われる。

彼女はマフィアのドンのスケベ息子に迫られた際、股間を蹴り飛ばして病院送りにしてしまっていた。ドンが息子を説得するまで1か月ほど掛かるというので、それまで守ってほしいということだった。


依頼料は100万ドル(日本円にして約1億5千万)、生活費が欲しい香にとっては喉から手が出るほど欲しい大金だった。そこに付け込んだ獠は、エミリーに対するモッコリ1発を黙認させようとする。報酬に目が眩んだ香はモッコリ1発は認めるとしたが、セクハラだけは許さないとして獠は幾度も妨害を受ける。


そんな中、獠は殺し屋ダグラスが操る武装ラジコンに襲われるがこれを撃破。エミリーがダグラスへの憎しみを露わにしたことで、彼女の正体がCIAのキャリアエージェント(25歳)であることを知っていたと語る(冴子に調べさせたらしい)。


実はエミリーは、同じくCIAの兄をダグラスに爆殺されていた。獠と接触して来たのは、ダグラスが彼を狙っているからと聞いたためであり、側にいれば兄の仇が討てると考えたからだった。

獠は「トリガーは憎しみで引くものじゃない。心で引くものだ」と復讐をやめるように告げたが受け入れられることはなかった。


終盤では香とエミリーがダグラスに拉致されてしまい、獠は廃墟となった競馬場に呼び出される。ダグラス曰く「新宿の種馬の墓場は競馬場が相応しい」。

爆弾を仕込んだラジコンの前に防戦一方となり、6発目を撃った隙を突かれダグラスに背後を取られる。しかし即座に装填をすることでダグラスへの反撃に成功。そのまま銃撃戦となり、ダグラスが持っていた爆弾を打ち落として起爆させ、瓦礫の中に埋めて勝利する。


ダグラスの背後には更なる黒幕が潜んでいた。それはエミリーの上司であるディッグ支部長であった。彼は祖国と敵国の二重スパイであり、その秘密をエミリーの兄に知られたことで口封じを計り、ダグラスに暗殺させたというのが真相だった。

しかしダグラスにも秘密を知られてしまったことで強請られるようになってしまった。自分で手を下すには失敗のリスクが高いとして獠の暗殺という名目でぶつけ、獠にダグラスを殺させようとしていた


ディッグは人質の役割を終えた香とエミリーを始末してから立ち去るつもりだったが、その前に獠に乗り込まれ阻止される。逃げ出すディッグだがエミリーに追い詰められ逃げ場を失う。

そこへ息を吹き返したダグラスがラジコン飛行機を使って逆襲に出る。ダグラスもディッグの企みには気付いており、エミリー諸共爆殺することで仕返しをしようとしていた。

ダグラスは獠に殴り倒されたがラジコンは自動操縦のため止められない。だが復讐心を振り切ったエミリーは、飛行機を打ち落とすことで難を逃れディッグを逮捕したのだった。


ディッグの悪事を暴いたお礼と口止めを兼ねてCIAから100万ドルの小切手が送られ、海坊主に自慢する獠。しかし冴子に小切手を取られてしまった。派手に競馬場を破壊した代金とのこと。

獠の手元には、エミリーから手付金として渡されていた1万ドルの小切手のみ。それも海坊主にダグラスが破壊した店の弁償代とツケの分として取られてしまった。

無一文になった獠は泣き叫びながら海坊主の足に縋りついてしまうのだった。


作画ミスなのかは不明だが、エミリーがタイツを穿いていたにもかかわらず終盤では生足になっている(生足風のタイツではなくどう見ても生足)。

このためラスト付近のアクションでミニスカートの中が見えた際、お尻が丸出し(どう見てもノーパンになっていた。よい子が見るにはなかなか過激なシーンである……。


ちなみにダグラスの声優は石丸博也であり、後述のジャッキー版シティーハンターにて獠の声を演じている。


シティーハンター(1993年・香港映画)

香港での表記は“城市猟人”

ジャッキー・チェンが主役を務める実写映画『シティーハンター』では、東京ではなく香港を舞台としている。映画製作のきっかけは、ジャッキーがファンから「冴羽獠に似ている」と言われたため。

ジャッキー特有のオリジナリティを出しながらも原作の雰囲気はかなり重視されており、随所にコミカルなシーンが挿入されている。


槇村との死別や香を引き取る経緯などは原作と変わらないが、獠は私立探偵に変更されており香はその助手になっている。

また香が幼少期の頃に引き取っており、ちょっと目を離した隙にあっという間に成長していて大層驚いていた。

このため香に対する感情は、妹や娘を見るものに近い(香の方はまた違うようだが……)。

ただしこの作品のメインヒロインは、オリジナルキャラクターの清子であり、彼女が原作における香のポジションを務めている(香の方は脇役に据えられており、獠と一緒に行動することは少ない)。


性格は原作と同様にスケベなもっこり男で、たびたび香から手痛いツッコミを受ける。

ジャッキーの獠は実力が少し怪しく、序盤と終盤で敵に負けそうになったり捕まってしまったりと、ジャッキー映画らしく原作にはないピンチシーンが描かれている(原作でも獠が捕まることはあるが、それはワザとだったり抜け出すための策を用意していたりする場合が殆ど)。


原作と同じくドジなところもあり、物陰に隠れて不意打ちを決めようとしたが外してしまい、敵に気づかれて一斉射撃されてしまっている。

ただし、1993年当時に大流行していた格闘ゲーム『ストリートファイターII』のキャラに扮して戦うというコミカルなシーンがあり、ジャッキーが春麗になった時は屈強な幹部キムを圧倒した。

銃の扱いは抜群で、敵にも情けを掛けるが警告を無視して攻撃して来た時は容赦なく射殺するなど冷酷さを見せるシーンもある。


ストーリーは「日本の大手新聞社の社長令嬢・清子を探し出して日本に連れ帰るよう依頼される」というもので、清子を追って豪華客船に乗り込むもマクドナルド大佐率いるテロ集団に船を占拠されてしまう。

居合わせた獠は、香や清子の力を借りながらテロ集団と対決する。

更に獠の知人である冴子とその助手・銀子。そして二人に味方したギャンブラーの青年も別動隊として協力する。


終盤ではマクドナルド大佐たちに捕まってしまい処刑されかけるが、清子や香たちの助けを得て辛くも脱出。そのまま幹部キムを撃破。雑兵も冴子らの助力で一掃し、最後はマクドナルド大佐と一騎討ちとなる。

素の実力では獠に分があり、大佐に命乞いをさせるほどに追い詰める。しかしドジを炸裂させたことで隙を突かれマクドナルド大佐が優位に立つ。更には二本のスティックを使った戦法を前に劣勢となる(素手ではスティックを防御出来ないため)。

獠も二本の棒をトンファーのように扱って逆転するのだが、実は大佐が持つスティックは三節棍のように分離が可能でありまたしても防御が出来なくなる。

が、今度は獠が長いスティックを棍として扱ったことで形勢逆転。大佐の間合いの外から攻撃することで一方的に打ちのめす。追い詰められた大佐は事前に仕掛けていた爆弾の起爆スイッチを押す。察知した獠が大佐を投げ飛ばしたことで立ち位置が入れ替わり、大佐が吹っ飛ぶという結末を迎えた。


プロットが上記のベイシティウォーズにかなり近いのも特徴。


ザ・シークレット・サービス(1996年)

ある日、ガイナム共和国の大統領候補ジェームズ・マクガイアが来日する。彼の護衛を務めたのは、冴子の部下である新庄安奈だった。彼女はマクガイアの生き別れの娘でもあった。

獠はマクガイアの秘書ローザから接触され、マクガイアの下まで連れて行かれる。マクガイアは「シークレットサービスの安奈を襲うという脅迫状が来たので安奈を守ってほしい」と依頼して来た。

当初は男の依頼ということで気乗りしなかった獠だが、ローザとのモッコリを条件にやる気を燃やす(安奈がマクガイアの娘というのも見抜いていた)。しかしローザには、タバコを手の甲に押し付けられるなど冷たい扱いを受けていた。

獠は安奈に対してもセクハラを行っていたためやはり冷遇されていたが、幾度もピンチを救う内に信頼されるようになる。ローザも次第に獠に心を開き、自分の感情に答えが出たら……と獠の誘いを受ける約束をした。


実は18年前、マクガイアはダイヤモンドの鉱脈をたまたま発見していた。そのことを同志ゴンザレスに話したところ、反政府運動の資金にするべきだと主張されたがマクガイアは拒否。今掘り出せば政府に気づかれる恐れがある。それよりも人民のために使いたいと。

両者の意見が分れたことでゴンザレスはマクガイアをたびたび脅迫するようになる。やがて安奈の存在を嗅ぎ付け、襲うと脅すことで鉱脈の場所を白状させようとしていた。


一方、海坊主はかつて傭兵仲間を裏切って殺した男ダンケルクを追っていた。ダンケルクは殺し屋となっており、ゴンザレスに雇われて安奈を狙っていた。このため獠と海坊主は合流することに。

安奈は連れ去られ、マクガイアも警護の目を抜けてゴンザレスのいる船に向かう。獠、香、海坊主は船に乗り込んで最後の戦いを繰り広げる。

ダンケルクは海坊主との一騎討ちに敗れて死亡。追い詰められたゴンザレスはヘリコプターに乗って逃亡を企てたが、そこへ安奈が追って来たので射殺しようとする。しかしローザが庇ったことで犠牲となってしまう。


ローザ「ミスター冴羽…私の答えはでたわ。こんな私でもモッコリしてもらえるかしら…?」

  獠「もちろんだとも…喜んで…」

ローザ「ありがとう…」


激怒した獠と正気を失ったゴンザレス。どちらが勝つかなど明白であり、最後は獠の銃弾によってヘリを爆破され、ローザの後を追う形でゴンザレスは消え去った。


グッド・バイ・マイ・スイート・ハート(1997年)

TVスペシャル第2弾として「TVアニメ放送10周年」を記念して製作された作品。

さとうけいいち氏がキャラクターデザインと総作画監督を務めており、全体的に作画レベルが異常な程に高く、原作後期の北条司氏の美麗な絵がそのままアニメーションになった様な印象を受ける作品である。

香の髪が短いことから、原作における海原神の一連のエピソードが終わってから後の最終回よりも、更にまた後の世界観をアニメオリジナルで描いている可能性がある(ただし、アニメ未登場キャラクターのミック・エンジェルは登場しない)。


ある日、獠と香は真風笑美なる女性から依頼を受けたことで彼女の兄を探すことになった。

当初は美男子と見紛う笑美に対して獠は興味は薄かったが、いきなり胸を揉んで女性と確認したり、シャワーシーンを覗いたりとセクハラは忘れない。

特にシャワーシーンを見てからは強く女性として認識するようになった(ちなみに香は笑美にゾッコンであり、もしかしたら獠の態度は嫉妬の表れだったのかもしれない)。

やがて笑美は愉快犯の国際的テロリストである通称『プロフェッサー(声:山寺宏一)』から命を狙われるようになり、自然とボディガードを務めることとなった。

しかもプロフェッサーは、己の美学からくる戦闘行為への好奇心から海外でも名を馳せる『シティーハンター』とも戦おうとしていた。


実は彼こそが笑美の兄(義理の兄)である武藤武明であった。

彼は恵まれた頭脳を持っていたが13年前に突然行方をくらましていた。ヨーロッパの外人部隊に所属して湾岸戦争の最前線で戦っていたが、孤立したところを味方の軍に裏切られ敵軍諸共爆撃されてしまう。奇跡的に生き残った武明は上官を殺害して逃亡し、プロフェッサーを名乗ってヨーロッパを中心に犯罪に手を染めるようになった。

プロフェッサーは笑美に花束を贈り、これを受けて笑美は兄が生きているのではないか、日本に来ているのではないかと考えたことで依頼をするに至った。

しかしプロフェッサーの目的は、過去を消すために妹を殺すことであった。


プロフェッサーは新宿各所に爆弾を仕掛け、警視庁(日本政府)を脅して大金を要求する。だがこれは戦いの舞台を整えるための演出に過ぎず、香と笑美が乗る新幹線を爆破するのが狙いだった。獠は爆弾の制作者である山内悟を捕らえ、新幹線の爆弾を解除させようとしたがプロフェッサーに狙撃され失敗。山内は死亡する。

起爆まで間もないという時、獠の前にプロフェッサーが現れる。


武明「迫りくる敵。頭上に降り注ぐ味方の砲弾…!」

武明「そのとき、はじめて生きていることを実感して神に感謝したよ」

武明「君にも分かるはずだ! 否定しようと我々は同類だ!」

武明「つまりはこういうことでしか生きてることを実感できない人間なんだよ!」

 獠「違うな! そいつがお前の限界だ!」

武明「そうかね」

 獠「オレにはもっと大切なものがある!」

武明「それこそ君の限界じゃないのか?」


山手線の電車内で繰り広げられた最終決戦ではコルトパイソンがリボルバーで装弾数が6発だと云う事が仇となり、銃弾を装填する隙を突かれて背後を取られてしまうが、幸運から窮地を脱するなど獠が珍しく苦戦する様子が描かれた。

直後に獠とプロフェッサーが電車内でステゴロで戦うシーンが描かれており、相手のプロフェッサーが格闘でもガチで強かったために視聴者の度肝を抜く事になった。

ステゴロで押し負けて顔面を殴られた冴羽獠が鼻血を出すなんてシーンが観られるのは本作だけであろう。

獠もブレーンバスターで逆襲し、最後は互いに銃を拾っての早撃ちで決着を付けた。


劇場版シティーハンター 新宿PRIVATE EYES (2019年)

2019年に公開された劇場用の完全新作アニメ。

昨今の規制などどこ吹く風で原作通りの『もっこり』ぶりを発揮する。

モデルたちの更衣室を覗こうとするなど原作初期のオマージュのような展開があるが、そこは現代を意識してかドローンを使っている。

謎の男たちに狙われる女性・進藤亜衣からボディガードの依頼を受け、彼女を狙う大企業の暗部と対峙することに。

終盤では海坊主&美樹と協力して巨大なドローン兵器群と夜の新宿公園で死闘を繰り広げる。

最新鋭の強襲用大型ドローン『鋼の死神』との戦いでは防戦一方だったが、ジェネラル戦のオマージュなのか同様の戦法(ミサイル発射の瞬間をマグナムで狙撃し、発射口のミサイルを爆破して本体に装填されていたミサイルを全て誘爆させた)で逆転勝利を果たす。

その後、黒幕のアジトへと乗り込み最後の戦いへと赴く。


関連タグ

シティーハンター エンジェル・ハート

狙撃手 暗殺者 スナイパー アウトロー

大食漢 スケベ 残念なイケメン やる時はやる男

サイバリオン:鋭い人ならお分かりだろうか、名前が似てる


パートナー:マリィーの父親 / ブラッディ・マリィー / ミック・エンジェル / ケニー・フィールド / 槇村秀幸

 / 槇村香

ライバル:海坊主

腐れ縁:野上冴子野上麗香

元依頼人:名取かずえ

育ての親:海原神

義理の姉(?):立木さゆり

師匠:教授

パラレルワールドの養女:香瑩

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