概要
ゲームや小説の世界を舞台とする物語で、本来の主人公兼ヒロインの肉体を憑依転生形式で乗っ取った、或いはモブキャラとして転生するも原作知識を利用し、そのポジションを奪った性根の腐った女性転生者達の総称。
基本的に悪役もしくは迷惑キャラとして登場し、語源であるヒドインのように物語本筋のヒロインとしてはほぼ扱われない。
一応、転生ヒドインであっても後に反省・認識を改めれられるなら改心の余地はあるものの、中には前世から他人を陥れるのを好む陰湿な性格、極度の面食いかつ他人の恋人の略奪に悦に浸る性根の腐った性格の転生者もいたりする。
尚、ヒロインの肉体も立場も奪えていない状態で、一方的に「この世界のヒロインは私!」と自認しているだけの転生者は含まない。
ちなみに、転生者ではないがお花畑思考のヒロインの場合は『お花畑ヒロイン』と呼ばれる。
特徴
キャラ造形
以下の傾向の内どれか1つで済むケースもあれば、複合型のケースもある。
- 自分至上主義
転生ヒドインは往々にして好きな作品の世界に転生した状況を「自分はこの世界に招かれたのだ、来訪を望まれたのだ」または「望む世界を与えられた」と解釈し、「故に自分はこの世界で最も特別な存在なのだ」と思い上がって暴走する。
これはヒロインの立場に憑依転生した事実が当人の中で根拠になる場合もあれば、モブ転生であっても「自分の方が正ヒロインより特別なのだ」とする信念(妄想)によって行動してしまう場合もある。
このような転生ヒドインは「自分が周囲から『至上の存在』としてちやほやされる」状況を求める余り、注目を集めたり愛情を独占したりする為なら虚言を用いてでも、邪魔と見なした他者を貶め害するのも厭わない。
- 読者・プレイヤー感覚を引きずる
転生者である主人公は自分が今生きている世界を『ご都合主義のフィクションの世界』ではなく、『厳しさも美しさもある現実の世界』と認識し、『キャラクター』達を1人の人間であると理解して向き合うようになる。
しかし転生ヒドインは今の世界をVRのような『フィクションの延長線』としか見ておらず、『キャラクター』達を『自身に都合の良い嗜好品・玩具・舞台装置』としか認識しない。
当然ながら事情を知らない第三者から見れば「妄想と現実の区別がつかない頭のおかしい女」としか見られない。
- 言動が薄っぺら
これは「周囲から良く思われようとして取り繕っている」パターンと「本人にとっては本気の善意でやっている」パターンがある。
転生ヒドインは一見美しい理想論や情け深さに基づくような言動を取るが、実力や見識が伴わずに事態を悪い方へ引っ掻き回したり、思いが伴わずボロを出したりする。
前述の読者・プレイヤー感覚が合わさっている場合、「シナリオではこうだったのだからその通りにやれば大丈夫だろう」との浅はかな考えから生じる場合もある。
- 同じ転生者である主人公にだけ甘える(=地を晒し寄生する)親友
このタイプは普段こそ原作ヒロインとしてTPOに沿った振る舞いができるものの、主人公と2人きりになると往々にして「友達だからお願い!」 とばかりに、自分は一方的に欲求を押し付けながらも、逆に主人公の事情を一切酌む意思がない。
自分の目の前で主人公が死ぬような事態になれば、流石に良心に沿った言動を見せるが、逆説的に主人公が死ななければいかなる願いもガン無視する姿勢を貫く。
酷い場合だと原作知識を悪用し、主人公が自分に従わざるを得ない状況を作って、無理難題を押し付けるケースも……
- 推し以外に興味がない
文字通り『推しキャラ至上主義(中には「キャラの中の人が推し」 の声優オタクもいる)』であり、誰とも極力関わりを持たないスタンスを取り続けている為、基本的に無害で主人公に対し明確な邪魔や妨害行為はしない。
その代わりに、万が一推しが不利益に遭う事態になると知るや否や、推しを守る為だけに暴走する、主人公によって推しが守られても口でお礼こそするがそれ以上の行為はしない等々もあり、やはり精神衛生上良くない振る舞いを散見させる。
また、このタイプの中には推しに一方的な思慕を抱く危険人物もおり、仮に推しが主人公に接触する事態になれば、一気に危険度が跳ね上がる。
サブキャラorモブキャラ転生の転生者に多いが、積極的に正ヒロインを追い落とそうとせずただ相手役(の一人)の獲得を競うだけ、あるいは「推しさえ護れたら見返りは要らない()」という姿勢の場合「転生ヒドイン」の枠組みではなく「モブ転生・サブキャラ転生」の枠組みに寄るとも考えられ、分類が難しくなる。
行動
主に逆ハーレムや推しキャラ攻略の為に物語を引っ掻き回す役が多く、時にはラスボスとして対峙する作品もある。
- 目上の立場の存在に対する礼儀作法の欠如
転生先のジャンルにもよるが、攻略対象のほとんどは王公貴族などのやんごとなき身分ゆえに「カーテシーもなく急に抱きつく」「初対面なのに愛称で呼ぶ」等々の、本来ならば身に付けてしかるべきマナーを一切守らない挙動から「礼儀がなっていない非常識な令嬢」と周囲に白い目で見なされてしまう。
- 攻略対象の周辺をつきまとう
イベント再現の為に行っているが、対象からすれば自分の行動を予測するかのごとく必ず現れるので、相手から鬱陶しがられたり気味悪がられたりする。時にはその攻略対象しか知らないはずの『秘密の休憩所』にさえ押し掛けることもあり、攻略対象が心休まる暇もない。相手によってはスパイとして疑われる。
- 『悪役令嬢』に「悪役に徹しろ」と強要する
好感度が上がるイベントがなかなか起こらないからと、「自分をイジメろ」と悪事を働くよう命令したりする。将来的に破滅・死亡するかもしれない『悪役』からすれば理不尽な言い分である。
- 嫌がらせを捏造する。
- 公の場で断罪イベントを無理矢理再現しようとする
憎き悪役令嬢の「悪事」を衆目のもとで公表し、悪人として吊るし上げる、ざまぁ系の山場とも言えるシーン。
大抵は卒業式の最中に行うが、国王を初めとする名だたる貴族がいるパーティーを乱すのは問題行為であるので、そのまま衛兵に縛り上げられ会場から摘まみ出される。
- イベントを再現する為に主人公を暴行、殺害しようとする
自身の問題点を棚に上げ、「主人公がいるから攻略対象が自分を好きにならない」と逆恨みした末の暴挙。この時点で他者の命を奪うことに躊躇しなくなりはじめる。
- 好感度アップアイテムで攻略対象を魅了する
ある意味では最も質が悪く重罪な所業。
もともとの作品では『攻略対象の好感度が上がる』としか説明されていなかった代物が、実は依存性の高い違法薬物や、人の心を洗脳する禁断マジックアイテムだったりする。これらを王族にも使えば『クーデター』の謗りは免れず、後述の事態にまで至れば『国家反逆罪』となるのは必至。
中には主人公補正の一環として、先天的に『魅了』の能力を使えるケースもあり、作品によっては主人公と親睦を深めた者達ですら術中にハマる事態もあったりと極めて厄介。
仮にアイテムがない作品であっても、原作知識を「預言」「未来予知」等と吹聴して活用し、舞台となる国の権益をひたすら上げれば、それだけで攻略対象の王侯貴族や聖職者は『奇跡の聖女』と一方的に礼賛し依存する状況を作れる。
- 魅了した攻略対象を利用して贅沢三昧し、国を傾けさせる
主人公グループの介入が早ければ大事になる前で止められるが、作品の傾向・展開が復讐ものであれば、国際問題を引き起こし戦争に発展させるか、現状への憂いや不満から『旧体制の打倒』を掲げる騎士団や民草による内乱が誘発される。
末路
改心して主人公達に謝罪し和解するならばまだしも、最後まで自分がしでかした行為の意味を見いだせない場合、当然ながら相応の報いを受ける末路を迎える。
- 退学処分
公の場で問題行為を起こし続けた末に学園から追い出され、そのまま実家に引き込むことになる。
- 賠償金の支払い
多額ではあるが比較的無難な謝罪方法。
- 修道院行き
二度と男性に言い寄れないように、ふしだらな性根を叩き直すべく入れられる。修道院なので将来結婚できる確率は低く、娯楽もほとんどないかなり厳しい戒律のもとに奉仕作業に勤しむ。
- 貴族席を剥奪され平民になる
爵位が上の家柄に敵対するような真似をしたとして、実家から事実上の勘当を言い渡される。平民の時代の実家に素直帰れればまだいいが、今さら貧乏暮らしは嫌だと帰るのを拒んだりすることもある。
これらの罰ならばその後の生活態度次第では穏やかな余生を送れる為まだ温情。
しかしもっと重いものであれば……
- 牢屋に閉じ込められる
場合によっては無期懲役。
何らかの希少な特殊能力を持っていて始末するにできない場合は、能力を封印する措置を施されたりもする。
修道院行きと似ているがこっちは完全な刑罰である以上、劣悪な環境下である場合が多い。
- 娼館に売られる
仕事の都合上醜悪な男とも寝なければならないので、面食いにとってはこれ以上ないほどの屈辱。
それでも割りきって見目麗しい姿で客を取り続ければ生きていく分には大丈夫だが、加齢により若さと美しさが陰っていけば客足が遠退く。最終的には性病を貰って衰弱死もありうる。
- 罪人として鉱山で働かされる
肉体労働による苦痛だけでなく、粗暴な罪人の男性に慰みものにされたりもする。
- 機密情報を知っていた場合は情報源を吐かせる為に拷問
ある意味では知識チートの代償。
本来ならば最重要人物しか知り得ない情報を誰から聞いたのか、あるいは他に話した者がいるのかを調べる為に拷問される。
当然ながら「自分は転生者でフィクションの設定を見たから」と真実を告げても信じられるはずがない。
- 『国を混乱に陥れた魔女』として、民衆の前で処刑される
上述の『魅了』で国の中枢部を傀儡にした末に内乱・国際問題が発生した場合、その全責任を押し付ける意味でも処される。
- 「世界の秩序を乱した」として異世界の神に肉体もろとも魂を消される。
果ては転生先の神じきじきに天罰を下し、二度と転生することがないようにと消滅させる。
だったらなんでこんな悪女を転生させたんだと思わなくもないが………
……等々、死か死ぬよりも過酷な罰が下されることもある。
該当者
- ピナ・ブランシュ(悪役令嬢の中の人)
- マリエ・フォウ・ラーファン(乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です)(メイン画像の子)
- エイミー(町人Aは悪役令嬢をどうしても救いたい )
- ミミリア=ボルドール(悪役令嬢に転生した私と悪役王子に転生した俺)
- ヒローニア・インデロン(自称悪役令嬢な婚約者の観察日記)
- レナリア・ダチェス(転生したら悪役令嬢だったので引きニートになります)
- ルシア(残り一日で破滅フラグ全部へし折ります)
- アイリス・ペラム(脇役令嬢に転生しましたがシナリオ通りにはいきません!)
- クララ・オルタ(残念令嬢 ~悪役令嬢に転生したので、残念な方向で応戦します~)
- ローゼリア・リーベル(空の乙女と光の王子)
- キャロライン・ラムゼー(弱気MAX令嬢なのに、辣腕婚約者様の賭けに乗ってしまった)
- ピクセル・ルノー(私の上に浮かぶ『悪役令嬢(破滅する)』って何でしょうか?)
関連項目
知識チート:転生ヒドインが備えるチート。転生先となる作品(乙女ゲームなど)を知り尽くしている事情もあり、その情報の量と深さは同じく知識チートを備える主人公以上であるのが定番。
転生主人公:同じく作品世界に降り立ったイレギュラーたる存在。転生ヒドインの不倶戴天の敵。「悪役令嬢が憑依転生者だったため蹴落とそうとしたら返り討ちにされたor復讐された」、または「非転生者の悪役令嬢を蹴落とそうとしたらノーマークだった転生モブに阻まれ自分が悪者に」という展開になるのが鉄板。知識チートの強度や活動開始時期は作品によって様々。
悪役令嬢:転生ヒドインが破滅させる対象。しかし相手が憑依転生者なら人脈やガッツで負け、相手が非転生者なら前述の転生モブによって阻まれた挙げ句、悪役令嬢は原典のメインヒーローである婚約者(王族の御子息)を見限り、自分を救ってくれた転生モブに好意を寄せるようになり、最終的に転生モブとくっつくのが鉄板である。