概要
ドイツ海軍の軽巡洋艦の艦級である。いずれの艦も「K」で始まる艦名を選んで名付けられたのでK級巡洋艦とも呼称される。
本級はヴェルサイユ条約でドイツに課された巡洋艦の排水量制限枠である6,000トンを守るために数多くの新技術が投入された。軽量化に船体設計の重点を置いており、艦上構造物の材質には高価な軽合金を多用し、船体の建造方法も当時の主流であるリベット止めではなく、最新技術の電気溶接を採用し、船体の85%が電気溶接で組み立てられた。
主砲は防御力と火力を向上しつつも武装重量を軽量化すべく新設計の三連装砲塔を採用して3基計9門を装備したが、前方に1基を配置、後方に2基が配置された。ドイツ巡洋艦史上、前例のないこの配置は艦の排水量を縮小する他に撤退時の後方火力を優先したためであった。艦の火力が前方に3分の1しか配置されないという不利を補うため、後部の2番主砲塔は左舷よりに、3番主砲塔は右舷よりにオフセット配置された。この配置により3番主砲塔を右舷側のみ前方に指向する事が可能となった。しかしながら、無理な軽量化と主砲配置を行ったために長期の巡航に溶接が耐えられず船体が割れる問題が生じた。一隻は巡航を中断してサンディエゴで修理を行わなければならなかった。
武装
本級の主砲には新設計の「SK C/25 1925年型 15cm(60口径)速射砲」を採用した。性能的には重量45.5kgの砲弾を、仰角40度で初速960m/秒で撃ち出し最大射程25,700mまで届かせる長射程を持っていた。この新型砲を、従来の小型巡洋艦では単装砲架が主体で、装甲巡洋艦の時代でさえ連装砲塔であったが、本級はドイツ巡洋艦では採用していなかった三連装砲塔に収めた。砲身を載せた砲架は3門それぞれが別個に上下できる独立砲架で、砲身の俯仰能力は仰角40度・俯角10度で旋回角度は360度の旋回角度を持っていたが、実際は上部構造物で射界に制限を受けた。主砲身の俯仰・砲塔の旋回・砲弾の揚弾・装填は主に電力で行われ、補助に人力を必要とした。
他に対空兵装として前級に引き続き「Flak L/45 1906年型 8.8cm(45口径)高角砲」を採用していた。元は対水雷艇用の速射砲を高角砲に改造した代物で、その性能は9kgの砲弾を仰角43度で14,100mまで、最大仰角70度で最大射高9,150mまで到達させた。砲架の旋回と俯仰は電動と人力で行われ、砲架の旋回角度は360度の旋回角度は360度の旋回角度を持っていたが、実際は上部構造物で射界に制限を受けた。俯仰は仰角70度・俯角10度であった。これを丸い防盾の付いた単装砲架で竣工時は2基を搭載したが、後に4基に増加した。後の近代化改装において新型の「SK C/31 1932年型 8.8cm(76口径)高角砲」を採用した。その性能は9kgの砲弾を仰角45度で17,200mまで、最大仰角80度で最大射高12,400mまで到達させた。砲架の旋回と俯仰は電動と人力で行われ、俯仰は仰角80度・俯角10度で360度の旋回角度を持っていたが、実際は上部構造物で射界に制限を受けた。
艦型
本級の船体形状は乾舷の高い長船首楼型船体を採用した。軽くシア(甲板の傾斜)の付いた艦首甲板上に新設計の「SK C/25 1925年型 15cm(60口径)速射砲」を三連装砲塔に収めて1番主砲塔を1基配置した。艦橋構造は司令塔を内部に組み込んだ箱型の操舵艦橋の両脇に船橋(ブリッジ)が付き、艦橋後部から上面に突き出るようにチューリップ型の単脚式の前部マストが立ち、マスト頂部に射撃方位盤室が、中部に探照灯台が設けられた。測距儀は操舵艦橋と前部マストの上部にそれぞれ1基ずつが配置された。