Ta183
ふっけばいん
フォッケウルフ社が開発を進めていたジェット戦闘機。愛称「フッケバイン」。
1944年、ルフトヴァッフェ(ドイツ空軍)の偵察機がイギリスに立ち寄っていたアメリカ軍のB-29を偶然発見し、ドイツ空軍はこれを撃墜可能なジェット戦闘機の競争試作を各社に指示し、フォッケウルフ社の案が採用された。
16機の原型機が発注され、初飛行は1945年6月頃を目指していたが、フォッケウルフ社の工場は4月にイギリス軍占領下に置かれ、試作機が作られることはなかった。
MiG-15とTa183について
・同じナチス・ドイツの技術の利用である
・後退翼やT字尾翼を採用している
・火力と上昇力に優れた迎撃戦闘機である
以上のような共通点により、MiG-15はTa183のコピーと見做されることが多い。
しかし実際には『似ているだけ』であり、共通性は航空歴史家Yefim Gordon氏にも否定されている。大戦終結時、Ta183は初飛行も済ませていない状態だった。そのうえ、生産していたフォッケウルフ社の工場を占領したのはイギリス軍なのだ。たとえソビエトが研究者を吸収していたとしても、これではすぐに有効な研究は望めない。
(試作機と研究チームが別々になってしまった)
また、そもそも機体の寸法が違う。エンジンも別であり、武装の配置も違っている。Ta183では、空気取り入れ口の左右に機銃を配置する予定だったようだが、MiG-15は機首下にガンパックのようにまとめて配置している。
武装は戦闘機の要である。
いくら同じ目的の戦闘機であっても、機銃の重量や必要になる補強が違えば、機体の重量バランスも変わる。以上により、『機体設計が全くの別物になった』と推測するのは適当だろう。
このように相違点は数多く、共通点は『似ている』という事だけである。
やはりMiG-15とTa183は別物であると言えるのではないだろうか。