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概要

エフェソス(現在のトルコ西部の古代都市)で信仰されていたアルテミスである。

アルテミスはギリシャ神話のエピソード上では処女神であるが、エフェソスのアルテミス像は複数の乳房を持ち、たくさんの獣たちを纏う姿で造形された。

この乳房は睾丸とする説もある。処女神アルテミスと趣を異とする豊穣神・地母神としての特徴を色濃く備えたアルテミス像である。

ヘレニズム期以降の像だと頭に城砦を模した「城砦冠」を被っている。これは都市の幸運と繁栄を司り運命を左右する女神テュケーの持物であり、エフェソスのアルテミスが都市・国家の守護神とも看做されていたことの現れである。

この女神を祀る「エフェソスのアルテミス神殿」は世界の七不思議にも数えられる、雄大で壮麗なものであった。しかし「これ燃やせば歴史に名を残せるんじゃね」と考えたヘロストラトスの手により放火され失われてしまった。

現地の住人は実行犯の名前を残させたくなかったが、歴史家のストラボンが書き残した事で「ヘロストラトス」という愚か者の名前は後世まで残ることになった。

この神殿焼失の事件はアレクサンドロス大王の誕生と同日であったとされ「アルテミスが彼の誕生で頭が一杯だったので自身の神殿が焼けるのを止められなかった」という伝説も生まれた。

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