概要
ウラジーミル・ナボコフの小説「ロリータ」のヒロイン。小説「ロリータ」については、Pixiv百科事典「ロリータ(小説)」の記事に詳しい。
本のタイトルである「ロリータ」とは彼女のことを指しており、本名は一応「ドロレス・へイズ(Dolores Haze)」となっているが、これは作中において、ある事情から便宜上つけられた仮名であり、本当の名前は不明で、実は作中ではほとんどの場合「ロー(Lo)」と呼ばれている。これは「ドロレス」の短縮形が「ロー」で、それを可愛く呼んだもの(指子辞)が「ロリータ」だからで、日本の名前で例えれば、「花子」が短縮形の「花」となり、そこから「お花ちゃん」という愛称で呼ばれるようなものである。
なお、物語の終盤で結婚しており、名前を「ドリー・シラー」に変えている。
キャラクターとしてのロリータを検索する際に「ロリータ」「Lolita」のいずれで検索しても、性的嗜好としての「ロリータ」か、あるいは「ロリィタファッション」の意味ですでに大量のタグ付けが行われているため、意図した検索結果とはならない。キャラクターとしてのロリータを描いた作品に「ドロレス・ヘイズ」のタグを付与することで検索が容易になる可能性がある。
なお、OVA「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」の登場人物であるドロシーも、小説版における後付け設定で本名をドロレス・へイズとされたが、本来ドロレスをドロシーと呼ぶ事はない(ドロレスはスペイン系の名前だが、ドロシーはイギリス系の名前)。
日本人の作者にありがちな勘違いと言える。
人物像
1935年1月1日に生まれ、1972年12月24日、死産の末に死去。享年17歳。物語ではハンバートと出会う1947年から亡くなる1972年までの五年間のことが語られている。
作中から、ハンバートのイメージに強く残ったのであろう初登場時、12歳の頃のドロレス・ヘイズの外見的特徴について記述すると、身長147cmで、体重はおそらく37kg前後と思われ、「栗毛色をした髪」「幼い乳房」「灰色の虚ろな目」「脇腹に小さな褐色のほくろ」。ある程度客観的に検証できる点から「愛らしくへこんだ腹部」「子供らしい尻」など。
ただし、小説「ロリータ」はハンバート・ハンバートという信頼できない語り手が残した手記を、獄中の彼を担当した精神科医が、プライバシー保護の観点から登場人物や地名を仮名にした状態で発表したという体で書かれており、ハンバートの半ば願望的・主観的な記述までが織り交ぜになった文章からは「実際のドロレス」がどのような少女だったのかを検証するのは難しい。(逆に言えば、「ハンバートのフィルターを通したロリータ」が視覚的・感覚的にどれほど魅力的な少女だったかに関しては、いたるところに記されている)
性格は奔放で、母親の言うことを聞かないわがまま娘として描かれている。
ハンバートとの交わりを受け入れる以外に同年代の男子とも性的接触を持っており、華奢な体つきに反して精神は性的に早熟であることが伺える。
概要の項で少し触れたとおり、彼女は物語の終盤で結婚をしているが、実はこれが本当に作中であったことなのかどうかで、研究家の間では意見が分かれている。
というのも、結末から問題の箇所まで逆算すると、実際に考えられる作中の時間経過と語り手(ハンバート)の証言とで数日のズレ=時間的な矛盾が生じており、そのため、終盤で語られる出来事はハンバートの思い描いた幻想なのではないか?という説が出ている。
単なる作者のミスだとする意見もあるが、途中まで時間経過に関する記述はかなり正確であり、にも関わらず、結末に向かう肝心な箇所でこのズレがそのままになっているのはおかしい。ミスならば気づいて必ず直しているはずだ。というわけである。