概要
まず、砲戦車とは戦車部隊の主力戦車である中戦車及び軽戦車では素早い対処が困難な傷害(戦車・対戦車砲)を取り除いたり、時には敵の攻撃を引きつけ味方戦車部隊の盾となることで、その進退を円滑に行わせたりする車両である。
そのために、砲戦車には主力戦車と比して強力な大口径砲と重装甲、さらに整備性を考慮し中戦車をベースにすることが要求された。
本記事で扱う新砲戦車(甲)も主力戦車に位置付けられた五式中戦車を支援するべく開発計画された車両である。開発時の名称はホリまたはホリ車である(以下ホリ車と表記)。
武装
武装は試製十糎戦車砲(長)が固定砲塔正面に1門、副武装として車体正面に機関銃1挺と双連式の一式37粍戦車砲1門、固定砲塔天板に機関砲が搭載される予定だった。
主砲
ホリ車の計画が採用される前は、砲戦車の主砲はどちらかといえば対戦車砲陣地を榴弾で吹き飛ばすことを重視し、75~105mm級程度の短砲身砲を旋回砲塔式に搭載する計画であり、対戦車戦は駆逐戦車が引き受けるという想定だった。(この砲戦車は、後に四式中戦車にハッテンする新中戦車をベースとした車両でありホチ車と呼ばれた。また駆逐戦車は五式中戦車に発展する。)
しかし、ドイツとソビエト連邦の戦争の情報から、砲戦車も対戦車能力が重視されることになったため計画は1943年に開かれた会議で変更され、長砲身105mm砲を固定方式に搭載することになる。この砲は同時期に計画されていた新型の105mm対戦車砲と同じ性能とし、1000mで200mmの装甲板を貫通することが同会議内で求められたが、現時点ではそのような火砲を1~2年以内に開発することは困難とされたため、妥協して要求性能は1000mで150mm貫通することが目標となり、200mm貫通はその後に目指すということになった。砲は装塡速度を補うことが目的で半自動装塡装置が追加された。
砲は幾多の困難を乗り越え1945年半ばに完成したが、
量産化は絶望的だった。その少し後に日本は無条件降伏を受け入れ終戦を迎えた。
装甲・機動性
最大装甲厚はソビエト連邦の重対戦車砲を1000m内外で防げるように125mmとされた。側面は25mmである。
移動性能は、五式中戦車とだいたい同じ程度され予定重量は約40tとされた。
なお、ホリ車の形状はいくつか案が存在しヤークトティーガーやフェルディナンド駆逐戦車に類似した案もあったが実際に採用されたのはどの案であるかは不明。