日本軍最強の計画戦車
新砲戦車(甲)、秘匿呼称『ホリ』(ホリ車)は、太平洋戦争中に日本陸軍によって五式中戦車の車台を原型に開発されていた砲戦車。
『五式砲戦車』という呼称でも知られるが、これは正式なものではない。
脅威の進化を遂げていた独ソ両軍の新型戦車に影響を受けて1943年から開発開始。
敵の重戦車に対抗する大火力でもって五式中戦車の進撃を支援するものとして計画されていたが、試作車の完成は終戦までに間に合わなかった。
以降、本記事では該当兵器を『ホリ車』と呼称する。
火力
主砲としての搭載が予定された105mm砲は、米軍が本土決戦で投入を予定していたM4シャーマン中戦車やM26パーシング重戦車を正面から撃破するのに十分な射距離1,000mで150mm厚の装甲射貫を目標に開発されており、1944年12月には試作砲が完成している。
ただし、大型の105mm砲弾は装填に時間がかかり、火力効率が悪いことから、車体正面の下部に小型で装填速度が早い37mm砲を7.7mm機銃とセットで副砲として搭載する予定もあったという。
防御力
正面の防御力を確保しつつも重量増加を抑えるため、計画された装甲厚は正面が最大125mmとかなり厚かった一方で、側面は25mmと薄かった。
このような値が実現されれば、M4シャーマンの砲火力を戦闘距離で防げる程度の正面防御が確保されたと考えられる。
なお、ホリ車の正面装甲厚はソ連の重対戦車砲を想定して設定されていた。
機動力
車重はおおむね40トン程度に達すると見込まれており、当時の日本戦車としては最大級の重量だった。
一方、搭載予定のエンジンは旧式化により余剰した液冷V型12気筒航空エンジンの流用品で、出力は550馬力を発揮、これにより最高速度は40km/hを目標としていた。
3種の設計案
- I型:エンジン・トランスミッションを車体前部に集中配置。ドイツのフェルディナント/エレファントによく似ている。
- I型傾斜装甲版:I型にあった車体正面の段々構造を大傾斜の一枚板に置き換え、副砲は廃止。モックアップの写真が現存している。(メイン画像上)
- II型:エンジンを車体後部に、トランスミッションを車体前部に配置。ドイツのヤークトティーガーと少し似ている。(メイン画像下)
フェルディナント/エレファント | ヤークトティーガー |
---|
登場作品
関連イラスト
上画像のように『五式砲戦車』のタグが付けられたイラストも存在する。