条文及び罰則
刑法第130条:
「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」
罰則:
3年以下の懲役または10万円以下の罰金
概説
条文の前半は「住居侵入罪」を指し、後半が「不退去罪」を指す。
不退去罪は他人の住居、建物、土地などから出て行くように命じられたのにも関わらず、退去しなかったことで成立する。
ただし、
1、相手に対して明示的に退去要求(「帰れ」など)をすること
2、退去に必要な合理的な時間(荷物をまとめるなど)を与えること
が必要となる。
日常生活での実例
しつこい訪問販売や営業活動、新聞購読などの勧誘行為、宗教団体による布教活動、またアンケートなどの訪問調査など。
また「NHKの受信契約」を迫るしつこい訪問は、契約そのものが放送法を根拠とするため、不退去罪に問えないという誤解がある。しかし訪問の理由の如何に関わらず居住者が「帰れ」と要求したにも関わらず、しつこく居座る行為は不退去罪の対象となる。
ちなみに「NHKの訪問員に応対しなければならない」という法律は元々存在しない。また「受信契約」をめぐる争いは民事裁判の事案のため、警察は介入できない。
対処方法
不退去は刑事事件なので、警察を呼ぶことが基本となる。逮捕まで至ることはまれであるが警察による退去命令、厳重注意を受けることになる。職務中であれば、減給、解雇といった処分の対象となり得る。
一方で職務上の不退去行為は、基本的に会社や組織ぐるみの体質に帰するところが大きいので、警察や消費生活センターなど公的な機関を通して抗議することも、再発を防ぐ上で重要である。