概要
月刊アフタヌーンにて2016年11月号から2017年10月号まで掲載された。単行本は全二巻。
作者・園田ゆりは四季賞2009年冬のコンテストにて『ライオン』で大賞受賞し、連載が期待されていた。
連載の終了後、第21回文化庁メディア芸術祭のマンガ部門において審査委員会推薦作品に選出。
あらすじ
日本では、年間8万人もの人が消えている——。「人探し専門」の看板を掲げる探偵事務所の新人・麦野と、天才・寺崎のコンビが数々の失踪者を探し出す。それぞれの理由を抱えた失踪者に辿り着く手がかりは、残された痕跡と失踪者の心理だけ……探偵vs.失踪者、知恵比べと根競べの社会派人間ドラマ!
(『モアイ』公式ページより抜粋)
なお、公式サイトではメイン画像の第一話含め三話まで試し読みが可能。
登場人物など
犬養探偵社
作品の主な舞台。
「人探し、所在調査、行方調査」に力を入れている、犬養二郎が立ち上げた探偵社。
以下主要人物は大半がここに勤務している。
あるアイスクリーム会社の旧社屋をモデルにした建物だが、該当の建物は現存しない。
寺崎紺
主人公。「人探し、所在調査、行方調査」に力を入れている『犬養探偵社』のエースである天才探偵。作品内では現在25歳であり、探偵業は7年間続けている。
「使い分けるのが面倒」と全く敬語を崩さず、感情的になる場面がほぼ無く無表情(※でもあまり顔に出さないだけでうんざりしたり腹が立つことはある)。
真実を知る為なら何事も躊躇せず、その為に殴られたり殺されかけた事も。捜査に関してタガが外れているどころか全体的に道徳的意識と価値観が欠如しており、本人も自覚している。
「変な人」「おかしい」という第一印象を抱かれがち。
また重度のワーカホリック(セルフブラック企業)で、朝早くから深夜まで会社に勤務しており休日は何をしたらいいかわからなくなるらしい。
試用期間の麦野の教育係を任されるが、恐らく麦野は部長になって彼の面倒を見切れなくなった弓削の代わりの監視役を任されたと思われる。
トマトジュースが好きで、「理性的な判断が出来なくなる」為に恋愛とアルコールは避けている。
唯一誕生日が判明していて、6月24日らしい(公式サイトや漫画内に掲載されている情報ではない)。
麦野千尋
主人公。偶然見掛けた仕事中の寺崎に憧れ犬養探偵社に就職した。作中時間軸では最終回まで試用期間。28歳で中途採用。
妙なところが謙虚で、多くの場面で弱気であることが多い。本人の自己PRポイントは「何かと『副』の付く役職についてきた」こと。
しかし正義感が強く情熱的であり、探偵社に就職を決めたのも寺崎が人の人生を動かした瞬間に感動したから。寺崎の不法行為を引き留めたりいざという時には身を挺して庇ったり、行動力がかなり高い。たまに機転も利く。
自覚は無いが弓削や寺崎によると頑丈なのが長所。寺崎には驚くほど物理的な点でしか認められていない。他の会社に一度は就職しているので頭が悪い訳では無さそうだが、作品内では彼が頭脳で何かを解決する場面はほぼない。
寺崎に対して年下年上関係なく憧れから「寺崎さん」という存在で見ていたので当初は敬語だったが、ある事件を経て距離が縮まり敬語を辞める。
人当たりが良く好かれやすい。動物の世話が好き。
諸戸
犬養探偵社のアルバイト。有能な東大生のイケメン。麦野の先輩。
切れ者で、コンピュータ類に関して高い技能を持っている。他人のSNSアカウント等にログインすることも可能。自分の有能さがプライドで、誇りに思いすぎることもしばしば。頭脳だけでなく体術も会得しており、色々と試用期間の麦野の脅威になっていた。
過去の縁で寺崎の熱烈なファンになっていて、同じく寺崎の教育を受けている麦野に対して対抗心を持っている。加えて(勝手に引っ越してきた)社員寮では寺崎の隣の部屋に住んでいる。
弓削の娘のみのりに好かれている。
郡司とは犬猿の仲。
弓削
犬養探偵社の部長。探偵歴は社内において最長。バツイチで娘がいる。
常に笑顔だが気迫のある男性。ただ娘の事になると急に弱気になる。
以前は寺崎の面倒見をしており、恐らく共に行動していた。
ヌイ
犬養探偵社のみんなの愛犬。特に探偵犬的な能力がある訳ではない。
かわいい。
藤枝
犬養探偵社の社員。探偵社一番の美女(寺崎、麦野、椿原公認)で主要登場人物唯一の女性。探偵歴は3年で、現在25歳。
寺崎に好意を寄せているが寺崎本人は全く気付かず目の前で「恋愛とアルコールは避けている」と言われているが諦めず頑張っている。ちなみに「どこにでもいる感じの女性」とまで言われている。
また椿原に(恐らく頻繁に)言い寄られている。
画力があまり高くない。
郡司
探偵社の試用期間のアルバイト。元々少年院に入っていたヤンキー。
ムカつくとすぐに手が出るタイプ。特に寺崎、諸戸のような人間が嫌い。
ある事件においてバイトをバックレてしまいクビになり、責任を取ってもらう為犬養探偵社に雇ってもらった。
かつて自分の人生よりも大切な友人がいた。
椿原
探偵社の社員。探偵歴不明。軽薄な印象のある若い男性。
大抵の場合社内の電調室にいるか仕事をサボっている。
寺崎曰く彼以上に優秀な探偵らしいが、「利用できるゴミ」とまで言われている。
情報収集の能力に長けており、他人を騙ることは日常的。藤枝には「詐欺師」呼ばわりを受けている。
情報を聞き出すためならローションを使ってボイチェンして喘いだりもする。
たまに揺れ惑う女心を栄養にしたくなるらしく、藤枝に言い寄っている(恐らくからかっている)。
その他の人物
犬養二郎
元犬養探偵社の社長、及び創業者。探偵歴は作品内最長の老人。
謎の多い人物。寺崎が5年間追っていた。
ある重要な秘密を隠している。
鷲水
池袋警察署所属刑部の中年男性。
よく目を眇めているのが特徴。
寺崎と何かと繋がっており、警察に引き抜こうとしている。
関連作品
連載終了後の、作者本人によるクリスマス漫画。