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楽園の泉(A.C.クラーク)の編集履歴

2020-03-24 18:45:01 バージョン

楽園の泉(A.C.クラーク)

らくえんのいずみ

アーサー・C・クラークの手によるSF小説であり、軌道エレベーターの教科書。

※本来は単に「楽園の泉」で事足りるのだが、2019年時点で同名、かつ無関係のコミックと(その作品由来の)投稿が確認されている為「棲み分け」の観点から、この処置を講じた事を御了承願いたい。


概要

1978年にアーサー・C・クラークが発表した軌道エレベーター(作中では「宇宙エレベーター」と呼ばれる)の建設をテーマにした小説。

サイエンス・ライターの故、金子隆一氏が『~軌道エレベーターに関してはフィクション、ノンフィクションを問わず最高の教科書とされるSF』と著書「新世紀未来科学」でべた褒めしていたが、事実『軌道エレベーターの建設について起こりうる問題とその解決法』が(偶然、必然を問わず)網羅されており、小説としても面白い作品である。


あらすじ

材料工学が長足の進歩を遂げた22世紀、『赤道上の同期衛星から超繊維で出来たケーブルを地上に降ろし、地球と宇宙空間を結ぶエレベーターを建造出来ないだろうか?』ジブラルタル海峡を越えてヨーロッパとアフリカを繋ぐ世界最長の吊り橋を完成させた地球建設公社の技術部長ヴァニーヴァー・モーガンは力学的に吊り橋と同じ構造を持つ全長4万キロの『宇宙エレベーター』建設を実現しようと、赤道上の美しい島国タプロバニーへやって来た。これは地球上で、最初の宇宙エレベーターを安定して建造させうる(一つが完成してしまえば、後は他のエレベーターを物理的に横に繋いで固定させられる)唯一の場所がタプロバニーの高山の為だが、その『霊山スリカンダ』の山頂には3千年の歴史を持つ寺院が在り、宗教的な聖域となっている為使用できない問題が有った。

他にも様々な技術的課題や政治的、資金的な困難も山積していたが、『先に火星でエレベーターを完成させる』プランとそれに基づく支援が提示され、それに乗ったモーガンは火星エレベーターの実証実験での偶然から『ある伝説』が成就された事で寺院の僧達からスリカンダ山頂の土地を譲り受け、エレベーターの建設に着手する事になる。


登場人物

  • ヴァニーヴァー・モーガン:主人公。小柄で痩せているが筋骨たくましい51才(第4部では59才)。世界最長の吊り橋を完成させた後、『ある動機』から宇宙エレベーターの建設計画に乗り出す。
  • カーリダーサ王:古代タプロバニー王朝の王。タイトルの『楽園の泉』は彼の時代の建設上の偉業とモーガンの宇宙エレベーターのダブルミーニングと見られる。序盤は彼とモーガンの時代が交互に語られる為、慣れないと少し読み辛いかも知れない。
  • スターグライダー:スターホルム人が送り出した恒星間宇宙探測機(無人)。軌道を変えて地球近縁を通過する際に、それまでの地球との通信対話に於ける解答としてある『哲学的な爆弾』を送る事で地球人類にパラダイムシフトを起こした(それが無ければモーガンの計画はそもそも立案すら出来なかった可能性が有る)。

関連タグ

SF アーサー・C・クラーク 科学 軌道エレベーター

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