「ボクが作った偽物の刺青人皮 鶴見さんに必ず届けてヨシヨシペロペロしてもらうんだッ」
概要
プロフィール
ファンからの愛称は鶴見中尉からの呼称にちなんだ「江渡貝くぅぅん」。
人間の皮を用いた革細工制作を行う屈折しまくった性癖の持ち主で、劇中でも指折りの変態。
実の母親も含む人間の剥製を複数体持っていた他、人間の皮をパーツとして用いたおよそ常人には理解し難い奇天烈な衣装も作成している。
職人としての腕は確かで、彼の作品である人革手袋は「素手と変わらない使い心地(by鶴見中尉)」と絶賛されていた。尚、なめし方法は化学薬品よりタンニン派で、木五倍子(キブシ)の実を使うのが拘り。
同好の士と認定した鶴見中尉を熱愛、崇拝している。
劇中での活躍は短いものの、その圧倒的な存在感から高い読者人気を誇る迷キャラクターである。
作中での活躍(ネタバレ注意)
入れ墨を持つ囚人が夕張の炭鉱事故で死亡したとの情報を元に、鶴見中尉達がその死体の行方を捜索中、彼が墓荒らしをしている現場を目撃。後日探りを入れてみると、彼が人間の死体の皮を用いて革細工制作を行う怪人であるという事が発覚した。
証拠を隠滅するために鶴見を殺そうとする江渡貝くんであったが、彼をも上回る狂気の住人である鶴見は一切動じず、むしろ江渡貝くぅんの全てを受け入れ惜しみない賞賛を送った。
かつて母親から歪んだ愛情と教育を受け、男性としての機能も奪われていた江渡貝くぅぅんは、歪んだ己を受け入れてくれる理解者に出会えたことに感激。自分を縛り付けていた母親の呪縛を解き放ち、彼に協力することを決意した。
なお鶴見中尉の前で多種多彩な人皮製のコスチュームを身に纏い繰り広げられる、江渡貝くぅぅぅん狂気のファッションショーは、漫画版・アニメ版・ドラマ版どれも一見の価値あり。
その腕を見込まれ鶴見中尉から刺青人皮の偽物製作を依頼され、ついに6枚の偽物を完成させる。だがその直後に尾形百之助の襲撃を受け、同時に杉元達からも追われることとなり、月島軍曹と共に逃走するも、炭鉱の爆発事故に巻き込まれ崩落した瓦礫の下敷きになってしまう。
足を潰されもう逃げられないと悟った江渡貝は月島に偽物の刺青人皮を託し、その後各々が酸欠に苦しむなか同じく事故に巻き込まれていた尾形が脱出する際に瓦礫に埋もれたまま死亡しているのを確認されている。また、月島が爆発による火災を止めるために炭鉱に川の水を注水したという情報を得ており、それを伝え聞いた鶴見たちにも生存は絶望的であると認識された。
しかしその作品は月島を通じて鶴見の手に無事受け渡され、やがてその後の刺青人皮争奪戦に大混乱を引き起こす存在となってゆく。最後に姿を見た月島も彼の死によって一層暗い影を落とし、後のエピソードでもそれを回想している。
なお製作にあたり、参考のため鶴見中尉から2枚の本物の刺青人皮を預かっており、逃走時にも上述の6枚の偽物と一緒に持ち出したはずだったのだが、それら合計8枚のうち一枚が剥製所内に取り残されてしまっており、土方歳三の手に渡る事となる。
ただ、この一枚が本物か、あるいは偽物なのか土方達には判別がついていない。
現状、この偽物の刺青人皮を見分ける方法を心得ているのは、月島軍曹から江渡貝くぅんの最期に遺した「ある言葉」を伝え聞いた、鶴見中尉ただ一人である。
また彼には母親の幻聴が聴こえるのだが彼の妄想なら絶対しないような発言が母(の剥製)から聴こえている(後述)。そういう芝居を演じていたのか本当に亡霊が取り憑いていたのかは不明。今風に言えばPTSDに似た症状だと思われる
モデル
死体を材料に雑貨を作る、皮を剥いで被る描写などからモデルとなった人物はかのエド・ゲインと思われる。
(ちなみに「エドガイ(EDGUY)」というドイツのHR/HMバンドが存在するが、恐らくそちらとは無関係。)
作中の描写を見るに、江渡貝の母は、江渡貝を支配していたようである。母親は、江渡貝から全てを遠ざけ、剥製づくりの仕事も褒めないなど、精神的な虐待を行っていたらしい。これは、やはり母が子に友人を作らないように強要したエド・ゲインの家庭環境と類似している。
余談
よく勘違いされるが、彼自身は刺青の脱獄囚でも何でもなく人皮を使った作品を作るただの変態である。
江渡貝の弁によれば、江渡貝の父親は彼の味方(ここでいう「味方」が、単に剥製職人という仕事に理解を示していたという意味なのか、それとも人の革を利用して革製品を作ってることを指してるのかは、良く分かってない)であったらしいが、母によって殺されたらしい。
また、幻聴の母が鶴見を「ズル剥けおでこ」と罵倒するシーンがあるが剥製の幻聴は江渡貝くぅぅぅんにしか聞こえないため「江渡貝くぅんも鶴見の事をそう思ってるのか」と少しネタにされた。
鶴見中尉の冷酷な性格を考えれば江渡貝くぅぅぅぅんは体よく利用された様にも見えるが、実は鶴見とは確かな友情を築いており、およそ人間性が見当たらない鶴見が作中羽目を外して胸襟を開いて見せたのも江渡貝くぅぅぅぅんだけである。
目的のためなら非情に徹し、他人を利用する事も厭わない鶴見中尉も江渡貝くぅぅんの死は流石に堪えたようで、月島軍曹から彼の顛末と最期の伝言を聞かされた後は「芸術家の本懐」を説きながらも、生前の彼の言葉を思い返しながら偽刺青人皮を見つめ「決して無駄には使うまい」と誓っていた。
彼はある意味、鶴見中尉の異常性と狂気を真っ正面から受け入れた只一人の人間だった。文字通り「類は友を呼んだ」のである。
江渡貝くぅんは歪みきった趣味嗜好というサガを背負った怪人であり、誰からも、親からも理解されぬ孤独な人間であった。そんな彼を真っ正面から受け入れ肯定してくれた鶴見中尉は、彼にとっては唯一無二の存在だった。江渡貝くぅぅんは結果として鶴見に関わったことで短い一生を終えることになったが、その最期は穏やかで満足げであった。結果がどうあれ、鶴見と出会えたことは、彼の人生にとっては幸せなことだったと言える。
また、鶴見以外には監視役である前山や月島との絡みが描かれたが、一部ではのちに登場する彼らと邂逅しなくて本当によかったと言われることも…