概要
プレス加工鋼鈑を用いた近代的な車体構造採用する大型有蓋車で1965年1969年にかけて1515両(ワキ5000~ワキ6514)が製造された。1965年10月のダイヤ改正から混載貨物を主とする特急貨物列車(最高速度85kn)で運用を開始した。
製造区分
前期形
先行量産車
1965年に100両(ワキ5000~ワキ5099)が製造された。
車体構造をワキ10000の試作車の仕様に準拠して製造した区分で、屋根は天井板を併設する丸屋根、
妻面の「縦樋」は装備しない。普通鋼製の側扉の下部両端に開閉用の戸車を設ける。台枠の中梁魚腹部には縦補強を片側6本設ける。
量産車
1965年から1966年235両(ワキ5100~ワキ5184・ワキ5265~ワキ5414)が製造された。
車体の基本構成は先行量産車と同じであるが強度向上を企図して屋根の材質を対候性高張力鋼に変更している。側扉は戸車を中央寄りに移設し、雨樋は妻面向かって左側に「縦樋」を1本追設した。台枠は中梁魚腹部の縦補強を片側2組に削減した。
TR63D装備車
1965年に80両(ワキ5185~ワキ5264)が製造された、
量産車の台車をTR63Dに変更した区分である。
台車以外の仕様は量産車と同じである。
後期形
量産車
1966年から1968にかけて817両(ワキ5415~ワキ6231)が製造された。
屋根をプレス鋼板に変更し、天井板を廃して断熱材を直接吹き付けする工法が採用された。軽量化及び製作工数低減のための設計変更で、屋根の形状は前期形の丸屋根から中央部が高い角屋根に変更された。これは同時期に製造されたワキ10000と同一の変更である
TR220装備車
1969年に3両(ワキ6232~ワキ6234)が製造された。
TR63形台車ブレーキ装置で顕在化した種々の問題解決を企図し、試作台車のTR220を装備して製造された区分である。台車以外の仕様は後期形量産車と同じである。なお、後に台車をTR211に交換している。
TR216A装備車
1969年に330両(ワキ6235ワキ6514)が製造された。
台車とブレーキ装置に大規模な変更がなされた区分である。
車体は後期形量産車と同一の仕様であるが、最終製造分の280両(ワキ6285~ワキ6514)では側扉が改良され、戸車をテフロン樹脂製に変更し、摩耗した戸車の在姿交換を可能とする点検口が追加されたほか、引戸鍵を強度向上形に変更している。
運用
国鉄時代
1987年の国鉄分割民営化時には1303両がJRグループに継承された。(JR北海道1両JR西日本2両JR貨物1300両)
JR化後
JR貨物所属車は2002年までに全て廃車となった。
旅客会社に継承された3両(全て救援車代用)のうちJR西日本所属車(ワキ5677)(ワキ5245)は2009年までに全車廃車となり北海道所属車(ワキ5233)が2018年に廃車となり形式消滅した。
関連項目
秩父鉄道ワキ800形:同形車