もしも(呪術廻戦)
もしも
例えば先生の口癖を真似たり、昨日見た番組の話をしたり。そんな「もしも」。
※以下4巻の重大なネタバレ注意 |
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概要
呪いによる殺人事件を追う虎杖悠仁は、現場にいた高校生・吉野順平と意気投合。
だが順平は事件の犯人である呪霊・真人に心酔していた。
真人はそんな順平を利用し、虎杖と戦わせようと画策。
真人の策謀により順平の母親の元に特級呪物「宿儺の指」が送られたことで母親が指に呼び寄せられた呪いに殺され死亡する。
母が死んだことで追い詰められた順平は真人の甘言に弄され、半ば錯乱状態で自分の高校の生徒たちを呪殺せんとしたところを虎杖と遭遇。
虎杖と戦うも圧倒され敗北した順平は、虎杖に母を失って荒れた心を理解してもらい説得されて無事改心し、呪術高専入学を勧められた。
か、に見えたが・・・
「順平って君が馬鹿にしている人間の その次位には馬鹿だから
だから 死ぬんだよ」
グニィ
突如乱入してきた真人により、これまでの親しい交流を一笑に付すかのごとく順平は「無為転変」の餌食となり異形化。
虎杖は自身の内にいる宿儺に順平の救命を嘆願するが拒否され、自身に頼らなければ何も出来ない虎杖を真人と共に嘲笑する。順平は無理な改造が祟ってあっという間に死亡した。
「ゆ…うじ… な…んで?」
和解後の新たな友人になるかと思った矢先に、唐突かつ救いのない無惨な死を迎えた。末期の言葉から最後まで自分の死が信じられなかったことは簡単に察せられる。
家族諸共呪霊たちの策謀の犠牲になり最後まで嘲笑われながら死ぬという悲惨な末路は、「呪術師に悔いのない死などない」という言葉を文字通り体現したものであった。
事件終息後
その後の虎杖は、順平の死と人を殺してしまった事に傷心状態となっていた。そこで虎杖は七海に自身の葛藤を吐露する。
虎杖『ナナミン、俺は今日、人を殺したよ。
人は死ぬ。それは仕方ない。ならせめて正しく死んで欲しい。そう思ってたんだ。
だから引き金を引かせないことばかり考えてた。
でも自分で引き金を引いて分かんなくなったんだ。
正しい死って何?』
七海『そんなこと私にだって分かりませんよ。
善人が安らかに、悪人が罰を受け死ぬことが正しいとしても世の中の多くの人は善人でも悪人でもない。
死は万人の終着ですが同じ死は存在しない。
それらを全て正しく導くというのはきっと苦しい。私はオススメしません。
などと言っても君はやるのでしょうね。死なない程度にしてくださいよ。
今日君がいなければ私が死んでいた様に、君を必要とする人がこれから大勢現れる。
虎杖君はもう呪術師なんですから』
この順平を救えなかった出来事に、虎杖は呪術師としての道を改めて見つめ直す事になった。
そして里桜高校でも、順平のいじめ被害の発覚に伴い、いじめの調査アンケートが実施される事になった。
当然いじめの主犯格の伊藤翔太も、順平の担任から事情聴取を行われる事になった。
担任『…吉野のあの傷(額のタバコの火傷跡)、お前がやったんだな、伊藤?』
伊藤『あん時ブルって何もできなかった人にあーだこーだ言われたくないんっすけど…。
学校やめて引っ越したんだろアイツ。もうよくね?
…つーか俺、あれから左腕まともに動かねぇんっすけど』
担任『今聞いてるのは『罪』の話だっ!お前に下った『罰』については一人で噛み締めろっ!』
伊藤『…先生の『罰』は?』
担任『…俺はこれからだ。まずは見えてなかったものをちゃんと見る。
俺もお前も、吉野の心を殺した『罪』を一生背負って生きていくんだ。
見ているからな、伊藤!』
里桜高校も、これを機にいじめの撲滅に力を入れていく事を誓った瞬間であった。