バスケットボール
ばすけっとぼーる
概要
世界で最も競技人口の多い球技であり(4億5000万人)、2位のサッカーを大幅に上回る。
他の競技に比べて得点の機会が多く、ゲームの進行を促すルール設定もあってスピーディーな展開を特徴とし、公式試合はバスケットボールが成立した経緯から屋内で試合が行われる。
試合コートを半分だけ使用した、4対4、3対3、1対1など派生ルールも存在する。
その際、1on1(ワン・オン・ワン)3on3(スリー・オン・スリー)など呼称される。
説明の前に重要なこと
バスケットボールは、ルールの変更が非常に頻繁な競技である。もちろん古いバスケットボール漫画・アニメを見れば、古いルールで試合が行われている。
しかし、それだけでなく、新しく発表される漫画ですら、その時点における最新のルールが反映されずに古いルールで描かれていたりする。しかも、ルール変更がニュースなどで伝わらないため、競技者でないとルールの変更を知らないというケースも多い。
また、国際ルール、NBA・Bリーグでは、それぞれルールが異なっている。以下で記載するルールは基本的に国際ルール(中学生以上で適用)のものである。
歴史
バスケットボールは、アメリカのマサチューセッツ州に所在する国際YMCAトレーニングスクールで体育の教官をしていたジェームズ・ネイスミスという人物が、それまでの冬季の屋内における体育プログラムが学生の意欲が低いとして話が上がった際、屋内でできる既存の体育プログラムに代わる新しいスポーツとして、1891年に頭の上に設置されたゴールへボールを放り込むことを基本とするルールのスポーツを考案したものである。
この時、ネイスミスが考案したラフプレイの原因となるコンタクトプレイを極力取り除くことを目的に設定したボールを運ぶ際には片手で床にボールをバウンドさせる(ドリブル)ことを始めとする13のルールのほとんどは、現在まで受け継がれている。
このスポーツが「バスケットボール」と呼ばれることになったきっかけは、1891年12月21日に行われた9人対9人による史上初のバスケットボールの試合において、ボールを放り込むゴールとして現行のルールの高さに桃のかごを設置したことにあり、その後、底のあるゴールでは入ったボールをそのたびにはしごや棒を使って取り出す必要が生じるため、内径45cmのリングに底を抜いた網を取り付けたものに変わった。
なお、ネイスミスが考案したルールでは、一度にコートに入れる競技人数について対戦するチームの人数が同数であれば良いという程度の規定しかなく、授業のカリキュラムとして取り入れた学校において50人対50人の試合が行われた際には、その時の試合の授業を担当した教官いわく「体育館が破壊されるかと思った」というほどのものであり、一度にコートに入れる選手の人数と選手の交代に係るルール整備についての検討が行われ、紆余曲折の末に一度にコートに入れる選手の人数は1チーム5人とするルールの他、選手が交代できる機会は試合が止まったときのみとするルールが作られた。
大まかなルール
コート
広さが、短辺15メートル(エンドライン)、長辺28メートル(サイドライン)のコートで行われる。
コートに描かれる線の幅は5cmで、サイドラインとエンドラインに関しては描かれた線の内側が競技区域との境界になる他、長辺を二分するセンターラインが描かれており、センターラインを境に自チームが守るバックコートと相手チームが守るフロントコートに区分される。
また、ゴールは内径45センチのリング(リム)を幅180cm、高さ105cmの板(バックボード)へ15.1cmのフランジを介して取り付けたもので、これをゴールのリムの上端が床から高さ3.05メートル、バックボードの表面がエンドラインの競技区域との境界からコート内へ1.2mの位置になるよう取り付ける。
バックボードはゴールのかごを直接壁面に取り付けていた時代に熱狂的な観戦者によるシュートの妨害が頻発したことを受けて考案されたもので、バックボードの裏側及びゴールを取り付けるための支持体は競技区域外の扱いである。
ボール
- 男子:7号球(周囲75~78cm、重量600~650g)
- 女子:6号球(周囲72~74cm、重量500~540g)
得点
このスポーツが考案された原点である「頭の上に設置されたかごにボールを放り込む」の考え方に則り、フロントコートにゴールとして設置されたリムの内側を競技区域外の場所に触れずに上から下へボールを通すことで自チームの得点が成立する。
- フィールドゴール
試合時間の進行中に成立したゴールのことをフィールドゴールと呼ぶ。
基本的な得点は2点で、コートに描かれているゴールのバスケットの中心から半径6.75mの半円(スリーポイントライン)の外側がスリーポイントフィールドゴールの境界になっていて、この境界の外側からのシュートが成功すると3点入る。
なので、シュートしたとき、最後に足がスリーポイントラインを踏んでいた場合は2点のゴールになる。
- フリースロー
フリースローが与えられることが規定されている反則が発生した場合において、フリースローが成功すると与えられる得点。(1点)
試合時間と計時
試合は1ピリオドを10分(NBAは12分)とする第1から第4までの4つのピリオドと、同点の場合の第4ピリオドの継続として行われる5分単位での延長ピリオドで進められる。
ピリオドの間には休憩時間が設けられ、第1と第2の間が2分のインターバル、第2と第3の間が10分のハーフタイム、第3と第4の間が2分のインターバル、延長ピリオドついては第4ピリオドの終了後に2分のインターバルが置かれた後に5分間の延長ピリオドが開始され、点差がつくまで2分のインターバルを挟んで延長ピリオドが継続される。
試合の終了は、残り時間が0.0秒になった後にボールが選手、もしくは物に触れた瞬間であり、残り時間が0.0秒になる前に選手の手からボールが離れたシュートは有効である。
なので、得点差が2点以内の場合は、ギャンブル・シュートと呼ばれる遠方からのシュートによる逆転劇も発生する。
また、計時については、試合時間中であるライブとそれ以外のデッドと呼ばれる概念があり、デッドとなっている時間については時計を止めるため、ロスタイムが発生することはない。
公式試合では残り時間が選手や観客から見える形で表示され、試合時間を管理する専門の係員がいる。
出場人数
ベンチ入り選手は12人まで(学生の大会では人数が12人より多かったり、ベンチ入りは無制限で試合での最大出場選手数が決まっている場合もある)、ベンチ入りした選手のうち一度にコートに出て試合に参加できるのは5人とされており、時間が止まっている時のみ回数の制限なく選手交代ができる。
試合が成立する最低人数は、試合開始時においてコートの競技区域内に5人、試合途中においてはコートの競技区域内に2人であり、この条件を満たせなくなった時点で、そのチームは自動的に負けとなり、ルールに規定される方法に則って得点の処理が行われる。
1試合で5回(NBAでは6回)のパーソナルファウルを犯すと、ベンチの選手と強制で交代させられ、試合終了まで出場できなくなる(いわゆる退場であるが、サッカーや野球などとは異なりベンチに残ることは許される。ただし、極めて悪質な反則ではコートのあるフロアから退場させられる)。
審判団
バスケットボールでは、スピーディーな展開の試合を的確に裁き、複雑なルールの管理を行うために審判団が組織され、公式試合の審判団には2~3名のレフェリーと4名のテーブルオフィシャルズがいる。
レフェリーは、あらゆる方向から試合を見るよう、全員で立ち位置を分担して同等の権限で試合を裁く。
また、テーブルオフィシャルズには、スコアシートの記入を行ってタイムアウトや選手の交代について管理する他、レフェリーに合図を送るスコアラー、スコアラーを補佐してファウルの回数、オルタネイティング・ポゼッション、得点の管理を行うアシスタント・スコアラー、ゲームクロックと呼ばれる時計を使用して試合時間を管理するタイマー、ショットクロックと呼ばれる24秒計を使用してショットクロックバイオレーションに関する管理を行うショットクロックオペレーターがいる。そして、待機場所はコート全体が見渡せるよう選手が待機するチームベンチより高い位置に設けられている。
ファウル
バスケットボールにおける反則の一種で、不当な身体の接触を伴うものやスポーツマンシップに反する言動がこれに当たる。
フリースローが与えられない場合はスローインで試合を再開する。
主なものとしては次のとおり。
- パーソナルファウル
相手選手との不当な接触プレーは、たいていがパーソナルファウルである。
ピリオドを単位とする回数の管理が行われ、ピリオドでチームの通算が5回目以降にファウルを受けたとき、シュート動作中のファウルについては、反則を受けた選手に対して規定の回数のフリースローが与えられる。
ディフェンス側が取られる場合が多いが、ディフェンスが正当な進路に立ちはだかっていたにも関わらずオフェンスが突っ込んだ場合はオフェンス側のファウルとなる。ただし、バスケット中心から1.25mの半円内ではオフェンスのファウルは取られない(ノンチャージセミサークル)。
- テクニカルファウル
審判団やオフィシャル、相手チームに対する無礼な態度、暴力行為、観客に対する不作法な行動、言動、肘を振り回す行為、相手チームのプレイヤーに対する妨害行為、ゲームの遅延行為、等はテクニカルファウルが取られる。
テクニカルファウルがコールされたときは、反則をした相手のチームに規定の回数のフリースローが与えられる。
監督、コーチに対しても適用されるファウルで、1人に対し、試合において2個累積すると退場になる。
例外は暴力行為に関するもので、こちらは1回で退場である。
- ファイティング
いわゆる不穏試合の究極形となった場合に適用される反則で、試合中の暴力行為に至った場合においてベンチの監督、コーチ、選手が当該暴力行為への加勢を目的に所定のベンチエリアを飛び出したと認められた場合にコールされる。
例外は、当該暴力行為を押しとどめるために出て行ったと認められた監督とコーチだけであり、反則としての処理は関係者をまとめてコートのあるフロア外への退場である。
ファウルの回数管理としては、監督のテクニカルファウルとして、退場となった人数に関係なく1個が加算される。
フリースロー
上記のフリースローが与えられるファウルがあった場合に行われ、ゴールから4.6m離れたフリースローラインから誰にも邪魔させることなくシュートができる。
通常は1回2本。3ポイントシュートの動作中のファウルの場合は3本、またシュート動作中に受けたファウルでシュートが入った場合は、その得点が認められた上に1本のフリースローが与えられる。
いずれも通常は最後のシュートは両チームの選手がリバウンドに入ることができる。
ただし、テクニカルファウルなどでは最後のシュートもリバウンドはなく、シュートを投じたチームによるスローインで試合が再開される。
バイオレーション
バスケットボールにおける反則の一種で、ファウルとされるもの以外がこれに当たる。
バイオレーションが発生した場合の処理方法はバイオレーションを犯した選手が属する相手のチームによるスローインでの再開で、ファウルと違って回数の管理は行われない。
主なものとしては次のとおり。
- アウト・オブ・バウンズ
ボールまたはボールを持った選手の身体が競技区域外の床または物に触れることをアウト・オブ・バウンズという。
競技区域外の床に触れなければアウト・オブ・バウンズは成立しないので、選手は競技区域外へジャンプして着地する前に競技区域外の床に触れそうになったボールを押し戻すようなこともできる。
- トラベリング
ボールを保持して3歩以上歩くと成立する。
- ダブルドリブル
バスケットボールにおけるドリブルの終了は「ドリブルを行っている者がボールを片手または両手で支え持ったとき」と定義されており、この状況に至った後にドリブルを行うと成立する。
オルタネイティング・ポゼッション・ルール
第2ピリオド以降のピリオド開始時、またボールを両チームの選手が掴んでプレーが止まった場合はジャンプボールシチュエーションとなるが、この場合はポゼッション・アローが指しているチームによるスローインで再開するルールとなっている。このアローは試合開始時のジャンプボールでボールを保持できなかったチームから始まり、シチュエーションが起こりルール適用される度に向きが入れ替わる(つまり、ジャンプボールは試合を通じて試合開始時の1回しかない)。
なお、公式試合におけるポゼッション・アローの操作はテーブルオフィシャルズの役目である。
ポジション
基本ポジション
シューティングガード
オフ(オフェンシブ)ガードと呼ばれる事も。
主に長距離のシュート精度が高い『シューター』タイプと、素早くゴールに切れ込む動きを得意とする『スラッシャー(切り裂く)』タイプに分類できる。
略称:SG、2番
パワーフォワード
『リバウンドを制する者はバスケを制す』為の重要なポジション。
リバウンドはジャンプする前の位置取りで大半が決まるので、ゴール近くの肉弾戦で押され負けない体幹(たいかん)の強さが必要。
略称:PF、4番
センター
チームで一番の(腕を上げた時の)高さを活かし、攻守に共にゴール近くでの動きに専念する。
オフェンスでは、ゴールを背にした状態で行なう『ポストプレイ』が多くなる。
デフェンスではブロック・ショットを狙う。
またPFとともにリバウンド争いの主力を務める。
略称:C、5番
特殊ポジション
上述のポジションの中から複数こなせる選手が多い。
これらをまとめてユーティリティプレイヤーと言われる。
シックスマン
スーパーサブ。
正確にはポジションでは無いが、試合の途中で登場する選手。
チームに勢いが欲しい時に投入され、悪い流れを変える様なプレイをする。
その重要性はNBAにベストシックスマン賞が存在する程。
他にスモールフォワードとパワーフォワードを兼任できる選手もこれらに劣らぬ数が存在するがこれといった呼称が無いので紹介しづらい。
これらの中からさらに複数を兼任できる選手も存在する。例えばNBAでバスケの神とまで呼ばれた名選手マイケル・ジョーダンはSGを本職としているが、それ以外にPGとSFを兼任できることで知られる。