念仏の鉄
ねんぶつのてつ
概要
時代劇・必殺シリーズの『必殺仕置人』『新必殺仕置人』に登場する裏稼業者の一人。元は住職だったが檀家に不義を働いた事で島送りとなり、放免となった後江戸の観音長屋にて接骨医を営みながら、酒と女に明け暮れる日々を送っていた。
その後ある事件をきっかけに、棺桶の錠、中村主水、鉄砲玉のおきん、おひろめの半次と共に、法で裁けぬ悪人を闇に葬る「仕置人」となった。
性格は非情かつ自己中心的で、錠、主水、巳代松などの命を懸けて殺り合った仲間しか信用しないが、一度信用した仲間が危機に陥った時には自分の命を危険に晒してでも助けようとする(ただし、その仲間ですら裏切り行為を行った場合は容赦なく制裁を加える)。
一方で、金銭ではなくどれだけ恨みがこもっているかで判断する、外道仕事をしない、という自身に課した殺しのルールを決して曲げないという一面を持つ。
また、一介の同心以上の手回しができず仲間から詰め寄られがちな主水を庇うなど、迂闊に仕置できない悪人が標的の際には血気盛んな他のメンバーに対するブレーキ役としての言動を度々見せた。
「新仕置人」の頃になると自己中心的な性格が鳴りを潜めた一方で、殺人の快楽そのものに溺れかけた姿を見せるようになる。
殺しの技は「骨外し」。服役中に我流で習得した骨接ぎの技術を生かし、関節技や貫手を仕掛けて骨を外す、折る、砕く等の技を用いる。
直接相手を絶命させるのみならず、気絶させる、喋れなくする、動きを奪い拘束する、等々、その応用範囲はまさに自由自在で、外した骨を再び戻して動かせるようにすることすらも可能。
また、他人は勿論、自分自身にも使うことができ、悪人に捕まり閉じ込められた際には自分の関節を外して牢屋の隙間を通り脱出したことも。
仕事人の代表格として挙げられる事が多いが、『必殺仕事人』の名がつく作品には登場していないため、鉄が厳密な意味での「仕事人」だった事は一度も無い。