概要
日本では大陸から入って来た知識の伝来によって、サイは霊獣の一種と考えられたらしく、水牛のような体で、額には大きな角(大抵は長い一本の角、あるいは長短日本の角)。足に蹄、背中に甲羅がある容姿をしており、水辺に棲む火難を退ける霊獣として扱われた。
また、薬学著である『本草綱目』では山林に棲息する山犀、水中に出入りする水犀、雌の犀を兕犀(じさい)の3つに分類し、これらの犀たちを「通天犀」とも呼び、千年を得た通天の角は長く鋭くなり、薬としても特に効果を発揮するとされた。
なお、新潟県佐渡島には「小川村の牛、犀と戦ふ事」という怪談が伝わっており、小川村という村に住んでいるある百姓の飼っている数頭の牡牛が、夜な夜な小屋を抜け出して「いしが尻」という場所の海辺で犀と戦っていたが、実力伯仲の為に、勝負がつかなかった。
ある日、牛の行動を不信に思った飼い主が後を付けてその事を知り、戦いを見守っていると、如何やら牛の方は尻尾が戦いの邪魔をしている様だったので、明け方に尻尾を切り落としてやり、百姓は今度こそ自分の牛の勝利を確信するも、それは見当違いだった様で、最終的に牛は犀との戦いに負け死んでしまったという。