リック(DQB2)
りっく
概要
ドラゴンクエストビルダーズ2、ムーンブルク編にて登場するキャラで、ムーンブルク1の剣士でもあり、アネッサとは戦友の関係であるようだ。
主人公一行がムーンブルクに着いて初めて出会う人物であり、ムーンブルクの現状やこれからやるべきことを、ものづくりに懐疑的な他の人々とは異なり協力的に解説してくれる。冒頭でムーンブルク城を包囲している包囲軍との戦いに加勢してくれたりと、重要な戦力かつ有能な人物として、ムーンブルクの住民たちは勿論のこと、新参者の主人公たちからも信用されている。
アネッサによると、リックにはかつて両親と妹がいたらしいが、終わる事の無い戦争の中で死別してしまっている。その影響もあり、リックは人一倍『死ぬことへの恐怖』が強く、ストーリー中でもその事をビルダーに打ち明け、味方が死ぬとその事を度々口にする。
以下ネタバレ注意
リックの奇妙な行動
そんなリックだが、ストーリーが後半に差し掛かるにつれ徐々に不穏な行動が目立ち始める。
主人公とムーンブルク軍がハーゴン3兵団を制し、後は総督のみとなった段階で「不届き者を入れる牢屋を作ってくれ」とビルダーに依頼してくる。依頼通りに牢屋を作るものの、そこに入れられたのはシドーであった。
リック曰く「アネッサが王に進言したため仕方がなかった」との事だったが、シドーは信じていたビルダーが自分を入れる牢屋を作った事に腹を立ててしまう。
元々ムーンブルクを訪れる以前から自身の頭に流れ込む「謎の声」に影響で精神的に変調をきたしていた事に加え、ムーンブルクを訪れてから募っていたビルダーに対する不信感と苛立ちがこの一件で爆発。ビルダーとの仲に決定的な亀裂が生じてしまい、これ以降最終戦までシドーは戦闘に参加しなくなってしまう。
シドーの戦線離脱後、ミナデイン砲を作るにあたり「ちからのオーブ」「魔力のオーブ」を手に入れたあたりでリックは「ゆうきのオーブのあるロンダルキアは恐ろしい場所であるため、ムーンブルク兵全軍(近衛兵は除く)でゆうきのオーブを取りに行こう」とムーンブルク王に進言。アネッサは城の守りを理由に難色を示すものの、最終的にムーンブルク王はリックの進言を支持し、ビルダーに全軍を率いさせロンダルキアへと送り出す。
リックの正体
辿り着いたロンダルキアには、見渡す限りに美しい草原と青い空が広がっていた。
ムーンブルクの見慣れた曇天と雪原からは全くかけ離れた光景であり、周囲に存在する魔物たちもビルダーたちを襲う事なくただ佇んでいるのみなど、一見すると美しいにも関わらず、どこか不穏で不気味な空気を漂わせている。
ロンダルキアと来れば当然ローレシア城も存在するのだが、城は何故か見る影もなく朽ちており、所々穴が空いてしまっている有様。
城内には人間がいるのだが、勝手に話を進めて枯れ草を渡してくる道具屋に始まり(ゴールドの話も出てくるが、そもそもドラクエビルダーズ2の世界にゴールドという概念はない)、ビルダーを王子様と呼ぶ者、ハーゴンを救世主扱いする者など、明らかに異常な言動や振る舞いをする者しかいない。
王の間に至っては、なんと拠点にいるはずのムーンブルク王がおり、話しかけてきたビルダー達にハーゴンを賛美する台詞を熱弁してくるのだが、話の途中で壊れた様に同じ言葉を繰り返した後に消滅してしまう。それに続くように他の住人も消えていく。
ローレシア城内の人々が全員消え去り困惑するビルダー一行の前に、一人のあくま神官が現れる。彼はいつわりだの消えゆく瞬間だの、ムーンブルクの面々からしたらとても理解できない事を喋った後「ハーゴンさまがお造りになったこのはじまりの場所を貴様らの墓標としてくれよう!」としにがみのきし達を呼び寄せつつ「そなたの働き、素晴らしかったぞ。さあ、こちらに来るがいい!」と呼びかける。この呼びかけに反応したのが、他でもない リック だった。
リックはアネッサが内心ではビルダーを信奉し、ハーゴン教団へ反旗を翻そうとしていた事に勘付いており、彼女と主人公達が対立するように立ち回りつつ、ビルダーとシドーが仲違いする様に工作を仕掛け、見事二人の仲を引き裂く事に成功。
更にはムーンブルク城の戦力を拠点から引き離し、その隙に総攻撃で拠点を制圧することを画策。見事にローレシア城に主人公一行を誘い込む事に成功する。
この功績により、リックはあくま神官の手で褒美としてシルバーデビルに姿を変えられ、そんな自身の姿に歓喜、狂乱しつつその勢いで主人公達に襲いかかる。
そのまま戦いになるが、ムーンブルク軍のほぼ全軍になど勝てるはずもなく敗北。
死に際、リックはこの世界がいつわりの世界であること、滅びの日が近い事を偶然知ってしまったが王は何も答えてはくれなかったこと、そんな時あくま神官から誘われて裏切り者になったことを明かし、あれほど恐れていた死への恐怖を全く口にせずハーゴン様万歳と絶叫しつつ消滅してしまった。
余談
あくま神官の発言やリック本人の言動を見る限り、主人公とシドーがムーンブルクに訪れる以前から魔物と内通していたらしく、物語の随所で裏切りの伏線となる言動を繰り返していた。
リックの壮絶な死に様は、内心ではビルダーを信じて希望を見出していたアネッサや、いつわりの世界の真実を知っても尚矜持を失わなかったムーンブルク王、そして彼らとともに戦い続けてきたムーンブルクの仲間達に多大な衝撃を与え、さらに彼の一連の行動は、ムーンブルク島の戦いが終わった後もシドーと主人公の間に不和を残し、それがハーゴン教団との最終決戦につながっていく事になるなど、死後もその影響を強く残す事となった。