概要
明治から昭和初期にかけて活躍したアイヌ出身の言語学者・知里真志保著の『えぞおばけ列伝』で紹介される、樺太に住むアイヌに伝わるお化け(オヤシ)。
神降ろしを生業とするお婆さんが家にいると、夜中にお化けが戸をガタガタと揺さぶって取り外し、墓場のほうに持って行くのが見えた。
それに気付いたお婆さんは、尻まくりして追いかけていって奪い返し、戸口にはめ直したのだが、お化けはしつこく「戸をよこせ、戸をよこせ」とガタガタ揺さぶった。
あまりのしつこさに参ったお婆さんは「私はまだ子供だから何も知らないんだよ。何でも知っている連中の所へ行っておくれ。」と言ったがお化けは戸を揺さぶることをやめなかったのだという。
なおこのお化けとお婆さんがどうなったのか、またアイヌ語で何と呼ばれるのかは不明である。