概要
元気娘と鈍感男の組み合わせって良くない?
香霖は魔理沙が生まれる前、魔理沙の実家に修行入りしていた。
香霖堂設立後も霧雨家と交流はあったらしく、魔理沙とは生まれた時からの旧知の仲。昔馴染み。
現在でも魔法道具を扱うこともある香霖堂へ魔理沙はやってくる。腐れ縁。
これだけ分かれば充分じゃないか。
たまにはノーマルな愛もいいよね!
やり取り
本編より一部抜粋。
*****~霖雨の火炉~
あいつは昔から私に遠慮している。実家に戻ることはもうないと言っているのに。
その時、妖精が腰掛けている大きな茸が目に入った。
この茸は人を陽気にさせるから、疲労回復には持ってこいだ。
あいつはいつでも愛想もなく気だるそうにしているし、これでもお土産に持っていってやるか。
(―魔理沙)
----まだ実家に居た頃にこんなことがあった。
あいつが珍しく家に来ていて、鉄くずを抱えて何やら親と口論していた。
幼い私は必死に盗み聞きしていたが、
「ひひいろかね」とか「希少な金属」とか何とか聴き取るのが精一杯だった。
それからというもの、そのことが気になって、
鉄器から古びた鉄の棒、原形を止めていない鉄くずまで金属なら何でも集めた。
結局、何にも意味はなかったが、実家を飛び出した今もその時集めた鉄くず、
――まぁゴミだが、それが私の今の家にある。
実家は捨てられたのに、鉄くずは捨てられないんだな。呆れるぜ。
(―魔理沙)
----あいつは昔から姿も中身も何一つ変わっていない。
私が物心ついたときには、すでに店はかなり年季が入っていたので、
修行といってもいつの時代の話なのかわからない。
あいつはいったい、どのくらい生きているのだろう。
(―魔理沙)
----突然の異質な単語が、相手が魔理沙じゃなくなったという錯覚を起こし、条件反射で営業口調になってしまった。
「あいにく、そのような物は取り扱っていないのですが。」
「香霖に足りないものは嘘をつく能力だな。他にも足りないものばかりだが。」
----数日後。魔理沙はまだ上機嫌が続いていた。
いやなに、これだけ喜んでくれれば貴重な緋々色金を使った甲斐があったというもの。
わざわざ交換条件にしなくても良かったかもと思った。
*****~夏の梅霖堂~
「駄目だな、香霖。いろんな食材が黴びてるぜ。
いくら雨が長引いたからって少しは整理しないとな。
仕方がないから今日は味噌と香の物がメインの料理だ、侘しいとか言うなよ。」
*****~神々の道具~
「お待たせ。外は寒いけど、陽が出てきて綺麗だぜ」
「雪は止んだんだな?」
「ん?雪なんて最初から降ってないぜ?」
「君の帽子に雪が積もっていたじゃないか」
「ああ、あれは森の木にやられたんだ。きっと巫山戯た妖精の仕業かな?
人が木の下を通ろうとすると木を揺らせて雪を落とすんだよ。
お陰で頭が重くてしょうがなかったぜ」
何で雪を被ったその時に払わなかったのか気になったが、
どうせ『首を鍛えていた』とか言うに違いないから訊かない事にした。
*****~幽し光、窓の雪~
「よう!昨日はすごい雪だったな」
店を開くなり、寒がりの魔理沙がやって来た。
「魔理沙か。扉は静かに開けないと危ないよ。屋根の雪が落ちるから」
「あれ?でも屋根に雪はなかったぜ。というか珍しいな」
「何がだい?」
「香霖が屋根の雪下ろしをするなんてさ。
いつもだったら、そういう体力仕事はやらないじゃないか」
「ああ、親切な人間がいてね。屋根雪も、店の周りも全部雪をかいてくれたんだよ」
「ふーん……あれ? 妖夢じゃないか、ここに来るなんて珍しいな。
そんなストーブに近づかなくても店内は暖かいだろう?」
彼女には朝から開店まで屋根の雪下ろしをしてもらったので、凍えていても仕方がない。
「もう、体が冷え切って……。魔理沙っていつもこんな酷い店主を相手にしているの?」
「ああ、してやっているぜ。酷い奴だろ?」
*****~無々色の桜~
「さあ香霖、花見の季節だぜ。神社で毎日」
「魔理沙か。帽子に花びらが積もっているよ。払ってから来なさい」
「ワザと載っけてきたんだがな」と言うと、魔理沙は外に出て帽子をぱたぱたと振った。
*****~奇跡の蝉~
「何にしても11年前の不思議な音も、蝉の鳴き声だと言う事が判った。
僕は親父さんにこの蝉について何か知っていないか質問してみたんだ。
あ、そうそう親父さんは元気だったよ?」
「蝉が五月蠅すぎて良く聞き取れないぜ」
----稗田家の資料は人間向けに書かれた一部を除いて門外不出であったが、
最近はその規制も緩くなり正当な理由があれば一般にも公開するようになった。
有難い事に人間以外にも公開しているのである。
「ふーん。そんな人間が居るってのは霊夢に聞いた事が有ったが……
そんな面白そうな資料を抱え込んでいたとは驚きだな」
魔理沙は、今度はそこに遊びに行こうか、と言って帽子を取って団扇の様に扇ぎ始めた。
魔理沙の言う遊びとは言うまでもなく盗みの事だろう。
牽制のつもりで「稗田家の主人と霧雨の親父さんは仲が良いよ」と言うと
魔理沙は悔しそうな表情を浮かべて「さっさと蝉の話に戻せ」と言った。
関連イラスト
これは間違い。