勇尾
ゆうお
概要
ゴールデンカムイのキャラクター、花沢勇作×尾形百之助のBLカップリングの作品につけられる。
お互いへの呼称は、花沢勇作=「兄様(あにさま)」、尾形百之助=「勇作さん」「勇作殿」「勇作」。
使用する際は、金カム腐や腐向けタグなど併用することをすすめる。
「規律がゆるみますから」
本編の勇尾(単行本のネタバレあり)
本編の時点で花沢勇作が死亡している為、尾形百之助や第三者の視点で物語は展開する。
しかし、死してなお花沢勇作は尾形百之助の中で明確に生き続けている。
勇作は腹違いの兄である尾形を慕い、避けられていると気付いていながらも尾形にまとわりついた。元々父親からの言いつけや軍の中での自分の立場を意識する真面目な性格であるが、規律が緩むことより部下である尾形を「兄様」と呼び、親交を深めることを優先するという一面もある。
人は皆誰かを殺すと罪悪感を抱くものだという考え方の勇作と対照的に、尾形は道理があれば人を殺しても罪悪感など抱かないと考えており、価値観の相違が目立つ。
尾形も罪悪感を抱くことのできる人間だと、尾形の善心を信じた勇作だったが、旅順攻囲戦の最中尾形に狙撃され、死亡する。
この出来事により、尾形は勇作に対し無意識に罪悪感を抱くようになり、幻覚や夢で勇作を見るようになる。
103話「あんこう鍋」
百之助が語る花沢勇作の初登場の回である。
初登場時から勇作は既に故人であり、本誌掲載時は「高潔な人物」「少尉であること」「戦時中尾形が後ろから頭部を撃ち絶命させたこと」などを尾形が台詞で語り、その姿は遺影で描かれた。
コミックス修正時に兵営での二人のシーンが加筆され、勇作の瞳以外の顔が判明する。「勇作」という名前や、隊を代表する優秀な聯隊旗手であること、部下である尾形を「兄様」と呼び屈託のない性格で交流があったことなどが描かれる。花沢少尉の登場は7コマとなる。
164話「悪兆」、165話「旗手」
まさかもう出てくることはあるまい、と油断していた読者を弟兄愛憎エピソードで大量死させた衝撃の二話である。
日露戦争派兵前(旭川)、派兵中(露)の2人のエピソードが二話に渡り詳細に描かれており、花沢勇作の瞳もぼんやりではあるが登場する。
187話「罪穢れ」
尾形が金塊争奪戦の中不殺を貫いているアシリパに、生前高潔であった勇作の姿を重ねていることがハッキリと描写された回である。
「清い人間なんてこの世にいるはずがない」 「自分の中に殺す道理さえあれば罪悪感なんぞに苦しまない」と尾形は主張しており、アシリパや勇作のような清い人間の存在を否定した。
「私は殺さない…」と断言したアシリパに対し尾形が言い放った「…お前達のような奴らがいて良いはずがないんだ」という台詞は、165話での勇作の「人を殺して罪悪感を微塵も感じない人間がこの世にいて良いはずがないのです」という台詞を彷彿とさせる。
また、勇作の姿を重ねているアシリパに殺しを促し、「清い人間なんてこの世にいるはずがない」ことを証明しようとした尾形は、アシリパを通じて間接的に勇作の高潔さを否定したがっているようにも思える。
243話「上等兵たち」
初めて第三者が尾形と勇作の関係に言及した回である。5話で杉元佐一との戦闘の末崖から転落した尾形が、入院中うなされながら「ううう 勇作…殿」と勇作の名を呼んだことがあったと宇佐美上等兵によって明かされた。尾形の夢の中に勇作が出てきたことも同時に描写されている。宇佐美によると、この時の尾形の印象は「うわ言で殺した弟の名前を呼ぶヤワな野郎」である。
加えて菊田特務曹長視点で、生前勇作が兵舎の廊下で尾形と話していた姿が描かれる。菊田はこの時の二人を「仲は良さそうだった」と表現したが、実際は勇作が尾形に一方的に話しかけていただけのような印象が強い。
尾形は父親から愛されていることを証明したいがために勇作を殺した。父親の愛情を勇作と同等に受けていた場合、自分と勇作の違いは何一つなく、勇作も人を殺して罪悪感なく生きられる「素質」があるのだと考え、やはりここでも勇作の清さを否定している。
246話「アイヌの偶像」
アシリパに銃を向け、場の混乱を狙う尾形の背後に勇作のものらしき脚が登場する。
尾形の中で無意識に勇作が罪悪感の象徴となっていることが読み取れる。
252話「貯酒室」
アシリパに銃口を向けた尾形の傍らにまたしても勇作が現れる。246話では足元のみの描写であったが、今度は肩から下が描かれている。
気配に驚いた尾形が「うッ‼︎」と声をあげ体を大きく動かしたことで、遠くから尾形を狙っていたヴァシリの銃弾を避けることができた。勇作の出現により、結果的に尾形は助かったことになる。
253話「父の汚名」
252話でヴァシリの銃弾を避けることができた尾形は、「俺を助けたのか?」「まさかな…そこまでお人好しではないだろう?」「俺の邪魔をするつもりか…悪霊めが」と独り言を呟く。
この台詞により、気配の正体が勇作であると、尾形自身も気付いていたことが読み取れる。加えて、尾形が勇作をお人好しだと認識していたことが分かった。
勇作の出現によって尾形が助かったこの一連の出来事に勇作の意志が存在しているかどうかは不明である。
310話「祝福」
尾形が初めて罪悪感に向き合ったことにより、今まで明確に表現されていなかった勇作の顔がはっきりと描かれた。
尾形が自問自答する中で勇作だけが俺を愛してくれたという台詞があり、勇作のみが自分を愛してくれていたことに本当は気付いていたようだ。勇作が楽しそうに尾形に話しかけている場面も確認できる。
錯乱して銃口を自身へと向ける尾形の後ろから、幻覚の勇作も銃に手を添え、「兄さまは祝福されて生まれた子供です」と呟いた。
最後には勇作が笑みを浮かべた尾形を抱擁し、共に闇へ落ちていく様が描かれた。
ファンブックについて(ネタバレあり)
ファンブック内の質問箱にて、ぼっとん便所に片足がハマった勇作が尾形に着替えを借りたエピソードがあると回答されている。