「いいんだよどうせ…俺は地獄行きの特等席だ」
概要
プロフィール
本名は菊田杢太郎(キクタ モクタロウ)。
大日本帝国陸軍北海道第七師団に所属する軍人。
大柄で恰幅の良い体格をした叩き上げの兵士で、師団内でもかなりの年配者。
「特務曹長」とは現在でいう「准士官」に当たるポジションで、階級的には鯉登少尉と月島軍曹の間に位置すると思われる。
人物
日露戦争に従軍中、奉天会戦での爆撃で部下の有古一等卒と共に重傷を負い、その治療のため長らく登別温泉での療養を余儀なくされていた。
性格はやや粗野で好戦的だが、基本的には突飛な言動なども少なく、常識人の範疇に入る。少なくとも奇人変人揃いの第七師団にあっては相当まともな部類の人物。
また激しい銃撃戦の最中に敵の習性を冷静に見抜くなど、ベテラン兵士ならではの老練さも持ち合わせる。
戦時中、斃したロシア軍将校から銃器(特に拳銃のナガンM1895)を鹵獲することに取りつかれており、現在も多くのコレクションを所持。服の下にいくつものホルスターをぶら下げてこれらを携行しており、戦闘の際はそれらを二挺拳銃で構え、弾を撃ち尽くすと同時に次々と持ち替えながら戦うというスタイルを取る。
有古とは戦場で共に死線を潜り抜けた間柄であり、彼に対しては特別な仲間意識がある模様。
実は杉元が軍に入る切っ掛けを作った男でもある。ちなみに杉元が常に被っている軍帽は菊田の物。
劇中での活躍
鶴見中尉の指揮する刺青人皮争奪戦には途中から参加するも、初期からの参加メンバーである宇佐美や二階堂からはあからさまに軽く見られており(もっとも、この二人は誰に対してもこんな調子なのだが…)、それを挽回せんと躍起になっている節が見受けられる。
長期療養を終え第七師団との合流を控えていた時、有古から「山奥の別の温泉(現在のカルルス温泉)で下駄らしき音と妙な上半身の模様を目撃した」との情報を入手。調査の結果、その正体が土方の命令で按摩師に化けこちらの情報を探っていた都丹庵士だと分かり、彼を追い真夜中の雪山で交戦する。銃撃戦の末に一度は取り逃がすも、後を追わせた有古から彼を仕留めた旨の報せを受け、その刺青人皮を入手する(なおこの時、都丹が着用していたスカーフも併せて戦利品として入手しており、以降は菊田が着用している)。
しかし、実はこの刺青人皮は別の脱獄囚(関谷輪一郎)のもので、土方が有古を懐柔し、鶴見中尉に接近させるため手渡したものであったことが発覚(都丹も後に生存が判明)。裏切り行為が露見した有古は、鶴見によって家族を人質に取られ、今度は逆に土方一派への二重スパイとして潜伏させられてしまう。
その後は主に鶴見中尉と行動を共にしているが、後に札幌にて刺青の脱獄囚の仕業と思わしき連続娼婦殺人事件が発生した際は、鶴見の命により宇佐美とコンビを組んでその調査を行う事となった。
実は…
※ここから先は24巻のネタバレを含みます
「いいか有古よく聞け お前を信じているのは俺だけだ」
「『中央』は鶴見中尉に金塊を見つけさせて 最後には消せと言っている」
その正体は鶴見を監視するため中央政府から派遣されたスパイ。
彼に対する随順の数々も演技である。
二重スパイを強要され苦しい立場に置かれる有古に対し、極秘裏にその正体を明かし、自分の下に就くよう彼を勧誘している。
しかし外様の菊田を鶴見陣営はハナから信用しておらず(二階堂や宇佐美の態度も、そのことを表している)、ポイ捨てタバコに偽装した本部への手紙が乞食に拾われ、それが宇佐美に渡ったことで正体が露呈。
刺青人皮の暗号を解いた鶴見中尉に撃たれ、月島軍曹に止めを刺され絶命。
「俺が言ってんのは中央のことじゃねえ」
「あんたを倒すのはノラ坊さ」
杉元との関係
現在より数年前に故郷を追われ、各地を放浪していた杉元が東京で兵隊相手に喧嘩していたところを仲裁。
「睨まれたから」という理由で喧嘩をする野良犬のような気性の荒さと故郷で食される「のらぼう菜」にかけて杉元のことを「ノラ坊」と呼ぶ。
そして、飯をおごった代わりに杉元を花沢勇作の替え玉として令嬢金子花枝子とお見合いさせ、縁談を破談させる作戦を実行する。
お見合い自体は紆余曲折あって替え玉であったことがバレたが、勇作との縁談自体をなかったことにさせることには成功。
杉元は今回の経験で「軍隊なら飯は食える」と考え、入隊を決意。後に「不死身の杉元」と呼ばれる英雄を作ったきっかけは自分だと回想していた。