概要
プロフィール
大日本帝国陸軍北海道第七師団に所属する軍人。
菊田特務曹長の直属の部下であり、彼とは共に日露戦争で死線を潜り抜けた戦友でもある。
師団内でも屈指の大柄で筋骨隆々な体格と、特徴的な浅黒い肌を持つ。
和名は「有古力松」(アリコ リキマツ)。
北海道登別近辺出身のアイヌで、アイヌ名は「イポㇷ゚テ」(意味は『煮立たせる』)。
人物
日露戦争の奉天会戦にて塹壕を爆撃され重傷を負い、菊田と共に命からがら生き延びた過去を持つ(顔面に走る大きな傷跡はその時のもの)。その後も彼と登別温泉で長期療養を続けていたが、再び第七師団の招集に応じ、鶴見中尉の指揮する刺青人皮争奪戦に途中参加した。
雪深い山岳地帯での行動を得意としており、日露戦争の2年前に起きた八甲田雪中行軍遭難事件におけるアイヌ捜索隊の一員にも選ばれたほど。
特に地元である登別の地形には詳しく、作中でも地の利を活かして活躍している。
そのゴツい体格とは裏腹に物静かな性格。しかし内にアツいものを抱えている。
第七師団では数少ない常識人の一人である。
劇中での活躍
登別温泉での長期療養を終えようとしていた頃、山奥で下駄らしき音と妙な上半身の模様の男を目撃。やがてその正体が按摩師に化けてこちらの情報を探っていた都丹庵士だと判明、菊田や宇佐美らと共に彼を追い、真夜中の雪山で交戦。逃げる彼を最終的には一人で追跡、得意の雪山での行動能力と生まれ育った登別の地の利を活かし、追い込んだ先で雪崩を誘発させることで彼を仕留める。
その後、剥がした都丹の刺青人皮(および、彼の着用していたスカーフ)を戦利品として菊田に渡し、第七師団復帰時の「手土産」とさせた。
造反、そして
だが実は、この刺青人皮は都丹ではなく、土方歳三から手渡された別の脱獄囚(関谷輪一郎)のものだった。
まだ息のあった都丹を雪崩から救い出した直後、有古はそれを迎えに来た土方と遭遇、自陣営に加わるよう勧誘される。有古の父親が、かつてのっぺら坊によって殺されたと言われる7人のアイヌの内の一人であることを土方は調べ上げており、その遺志を継ぐよう促された末、第七師団の離反を決意していたのである。
しかしこの時、鶴見は先の網走監獄襲撃事件の際に土方達の保有していた刺青人皮の大半を奪取しており、その中には都丹の刺青の写しも含まれていたため、上記の偽装はすぐに発覚。
鶴見の持つ刺青人皮を奪い去ろうとした現場を待ち伏せされ捕えられると、家族を人質に取られた上で、逆に土方一派への二重スパイとして潜入することを強要されてしまう
(なおこの時、土方達を攪乱するため、かねてより江渡貝くぅぅんに作らせておいた複数枚の偽物の刺青人皮を持たされている)。
やがて(必死に脱出してきた様を演出するためボコボコに痛めつけられた上で)土方達に合流するが、一方の土方も鶴見が有古の造反をすぐに見破ることを承知の上で、わざと彼をそそのかしていたことが判明。土方の狙いは、まさしく鶴見の用意した偽物の刺青人皮を一括入手し保管しておくことであり、そのために有古を利用したのである。
当然、彼が鶴見の間者として送り込まれきたであろうことも計算ずくだった。
かくして有古は、土方の陣営に身を置きながらも始めから信用されない状態で、それでも鶴見中尉に人質に取られた家族のため二重スパイを演じ続けねばならないという、非常に苦しい立場に追い込まれてしまう。
だがその後、彼は再会した菊田から意外な勧誘を受ける……。