黄帝
こうてい
概要
黄帝とは、神話・伝説上の皇帝。姓は姫、名は軒轅。中国語ではホァンティーもしくはホヮンティー(Huangdi)と呼ぶ。
「三皇」の治世を継いで中国を統治した「五帝」の最初の帝であり、中国人の先祖神。
中国において、皇帝を表す色が黄色なのは、黄帝を由来としている。
治世(伝承):紀元前2510年~紀元前2448年
黄帝の誕生と統治
漢代に司馬遷によって著された歴史書、『史記』や『国語・晋語』によれば、
少典の子、姫水のほとりに生まれたことに因み、姓は姫姓、名は軒轅という。
帝鴻氏とも呼ばれ、山海経に登場する怪神・帝鴻と同一のものとする説もある。
『史記』はその治世を、従わない者を討ち、道を開いて、
後世の春秋戦国時代に中国とされる領域を隅々まで統治した、
開国の帝王の時代として描いている。
(※中国に都市国家群が形成され、それぞれ都市国家の君主が諸侯となっていく過程で、
擬制的な血縁関係を結んでいった諸侯達の始祖として、
黄帝のイメージが仮託されたものと考えられる。)
東洋医学と黄帝
黄帝は中国医学の始祖として、現在でも尊崇を集めている。
漢の時代には、著者不明の医学書は、黄帝のものとして権威を付けることが流行した。
現存する中国最古の医学書『黄帝内経素問』、『黄帝内経霊枢』も、黄帝の著作とされており、
また、これは現代においても、東洋医学の基礎を成す古典として扱われている。
黄帝の書
紀元前1世紀の漢書『芸文志』には、
黄帝著作(とされる)の書が下記のように分類されている。
- 道家
『黄帝四経』四篇、『黄帝銘』六篇、『黄帝君臣』十篇、『雑黄帝』五十八篇
- 神僊
『黄帝雑子歩引』十八巻、『黄帝岐伯按摩』十巻、『黄帝雑子芝菌』十八巻、『黄帝雑子十九家方』二十一巻
- 天文
『黄帝雑子気』三十三篇
- 五行
『黄帝陰陽』二十五巻、『黄帝諸子論陰陽』二十五巻
- 雑占
『黄帝長柳占夢』十一巻
- 医経
『黄帝内経』十八巻、『黄帝外経』三十七巻
- 経方
『神農黄帝食禁』七巻
- 房中
『黄帝三王陽方』二十巻