概要
紫禁城の大和殿にある皇帝の座る玉座の真上にある飾り付け。天井に彫られた天帝の使いとされる龍が咥えた大きな鉄球の装飾のこと。もし玉座に天命を受けていない者が座ると、鉄球が落下してその者を撃ち殺すという伝説がある。逆に玉座に着いてもこの軒轅鏡が落下しない、ということによって皇帝の正統性を保証する仕組みでもあった。軒轅というのは古代中国神話の三皇五帝の最後の帝「黄帝軒轅」から来ている。
本当に落下するような仕掛けがあったのかどうか、この軒轅鏡の構造は解かっていないらしい。しかし、清朝末期の実力者にして中華民国に寝返って王朝を滅ぼした袁世凱はこの玉が怖かったと言われる。すなわち、今も大和殿の玉座が軒轅鏡の真下ではなく斜めにずらしておかれているのは、袁世凱が軒轅鏡の真下を避けたうえで玉座に座ろうとした為と言われている。確かに寝返りの条件として中華民国の大総統となっただけでは飽き足らずに、袁世凱が紫禁城内廷に住む清朝廃帝宣統帝を差し置いて皇帝を自称し、内外の猛反対を受けて程なく退位し死去したのは史実である。また宣統帝溥儀には軒轅鏡と一緒に写っている写真が残されている。