小市民シリーズ
しょうしみんしりーず
概要
小市民シリーズとは、創元推理文庫より発行された「春期限定いちごタルト事件」「夏期限定トロピカルパフェ事件」「秋期限定栗きんとん事件(上 / 下)」の推理小説シリーズ三作の総称である。ちなみに「冬季限定」で完結する予定。
なんでも推理してしまう癖を改善したい小鳩常悟朗と、ある性癖と決別して穏やかに暮らしたい小佐内ゆきの二人が、互いを利用し合う互恵関係を結び、目立たない小市民になることを目指す物語。
「日常の謎」と呼ばれるカテゴリに属するライトミステリであり、犯罪行為は描かれても死人が出ない。青春の名に恥じない爽やかな読み口をしているのが特徴で、謎解きそのものより主役二人のキャラクターと関係性に主軸が置かれている。
小説は2009年の『秋期限定栗きんとん事件(下)』刊行を最後に長らく新作が発表されていなかった。しかし2016年5月14日に行われたトークイベントにて作者本人の口から『ミステリーズ!』12月号に短編『巴里マカロンの謎』が掲載されることが語られた模様。2020年1月、『秋期限定栗きんとん事件(下)』から11年ぶりとなる『巴里マカロンの謎』が刊行された。
ヒロインが無類のスイーツ好きのため、各巻とも推理小説らしからぬ可愛らしいタイトルがついているが、内容も甘く可愛らしいかというと・・・・・・。
既刊
主要登場人物
小鳩常悟朗(こばと・じょうごろう)
シリーズの主人公で、一人称「ぼく」。謎を見つけると推理し、開陳せずにはいられない性質で、頼まれてもいないのに名探偵よろしく推理をひけらかし、他人に嫌われていた過去がある。現在は反省し、目立たず、余計なことをしない小市民を目指しているが・・・・・・。
自らの本性のことを自嘲気味に「狐」と呼ぶ。小佐内ゆきとは互いの本性を理解し、互いの目的のために必要な範囲で相手を利用し合う互恵関係にある。
小佐内ゆき(おさない・ゆき)
シリーズのヒロイン。高校生だが中学生と間違えられるほど小柄で地味な印象の少女で、甘い物を何よりもこよなく愛する。小鳩以上に危険で厄介なある性癖を持つが、それを矯正して小市民になりたいと考えており、同じ目的を持つ小鳩と互恵関係を結ぶ。
小鳩が「狐」なら、彼女は「狼」。情報戦に長ける。その秘めた本性のあまりのインパクトの強さにやられる読者が多い。ヘアスタイルは尼そぎ。
堂島健吾(どうじま・けんご)
小鳩の小学校時代の同窓生で、小鳩の過去を知る男。新聞部所属。剛毅で筋の通った性格の体育会系男子で、小市民の仮面をかぶった小鳩を腹黒と酷評する一方、頼られるとすぐに駆けつける面倒見の良さも併せ持つ。いささか強引なところがあり、トラブルを避けたい小鳩には苦手に思われているが、基本的には困った人を見逃せない好青年。姉がいて、「春季」時に小佐内に情報提供したことがある。