概要
北村薫の《円紫さんと私》シリーズ第1作目「空飛ぶ馬」が発端とされる日本の推理小説のジャンル。概ね下記の特徴を持つ。
- 日常生活中に突如起きた謎を1人~複数人で推理、解決する
- 殺人事件が起きない、殺人犯が存在しない
- 基本的に本格推理であり、変格であっても推理小説としての体裁から逸脱しない(謎の解決に推理を用い、超常現象等を持ち出さない、など)
- 日常を舞台としながらも非日常の象徴たる謎を推理し、元の日常へと収束させる点が日常系とは異なる。
- 舞台は現代社会とする(時代劇や歴史もの、近未来SFではない)
ジャンル自体は北村薫の「空飛ぶ馬」の影響を受けて定着したものであるが、別に上記の要素は同作が発端というわけではなく、そのような推理小説は海外も含めて普遍的に存在している(英米の「コージー・ミステリ」と言われるものがこのジャンルと重なる面が多い)。したがって、特に「日常の謎」と銘打っていなくても上記の要素を兼ね備えた小説は膨大な数に上る。
ジャンル普及においては、推理作家若竹七海が、その昔、書店員として接客時、顧客から「1000円札を50円硬貨×20枚分に両替して欲しい」という両替依頼を受けて両替後に考察しても答えが出なかった経験をネタに戸川安宣他、法月倫太郎、依井貴裕、若竹七海を審査員とした(法月、依井、若竹は解答者兼任)一般公募によるアンソロジー小説『競作 五十円玉二十枚の謎』での商業的実証が決め手とされる。
主として同ジャンルの推理小説を手掛ける推理作家には北村薫のほか、米澤穂信、加納朋子、坂木司、大崎梢、近藤史恵、若竹七海等がいる。
「日常の謎」作品
※記事が存在する単独作品ないしシリーズ作品のみ
推理小説
- 京都寺町三条のホームズ
- 〈古典部〉シリーズ(氷菓)
- 珈琲店タレーランの事件簿
- 小市民シリーズ
- ハルチカシリーズ
- ひきこもり探偵シリーズ(青空の卵)
- ビブリア古書堂の事件手帖シリーズ
- 宝石商リチャード氏の謎鑑定
- ホーンテッド・キャンパス
- 和菓子のアンシリーズ
ゲーム
関連イラスト
関連タグ
外部リンク
日常の謎 - Wikipedia